「イントレランス」再び!『孫文の義士団』

昨日のバイト帰りにハードオフに立ち寄った。

ぼくがよく行くこのハードオフは何故かジャンク品のところに輸入盤がポツポツと置かれている。知人の報告によると、『ゾンビランド』のUS盤が500円で売っていたときもあったそうだ。買おうと思って次に行ったらもうなくなってたらしいから、好事家というのはどこにでもいるもんだなと思った。

売ってるだけならまだしも、たまーに種類が増えたり減ったりするので、一応行く度にチラチラとその棚をチェックしてはいた。誰かが買っては売ってるのだろうが、それにしても輸入盤を買ってまで見たいという映画好きが新潟にいるというだけでとてつもなく親近感が湧きまくる。もしこのブログを読んでいたら、もっと売ってください、お願いします。

昨日も同じようにその棚のところへとことこ歩いて行ったのだが、その日はなんとドニー・イェンの映画が105円で売られていた。

パッケージはレンタル店では見たことないもので、原題を読んでもピンと来ず、日本未公開の何かかなぁと思い、リージョンフリーのプレイヤーは持ってないが、Macで見れるからいいやぁという気持ちで購入。

帰って、原題を調べてみたところ、なんとそれが『孫文の義士団』だったことが判明した。

英語字幕での鑑賞だったため、細かい部分で分からないところもあるが、革命のために香港に訪れた孫文を暗殺するという計画があがり、彼が会議する一時間の間だけでも、暗殺者から孫文を守りぬこうとする即席義士団の活躍を描いた作品――――でいいと思う。というかあらすじも読んだし。

わざわざこの映画のために作り上げたというオープンセット*1がとにかく見事で、これだけ見事なものを建築すれば、どこをどう撮って、どういう風なストーリーにしようが、まずとてつもない画が描けるに違いないと思った。『イントレランス』がそうであったように、たった数秒しか映らないものが一番金がかかるということで、美術というのは映画の金食い虫と揶揄されているらしいが、この作品はその美術の大切さについて改めて制作者に訴えかけてるようでもあった。

役者の演技や演出がやや仰々しいが、それもこれも重厚なセットに負けないようにするためであり、実際熱いドラマの内容とあいまって絶妙なハーモナイズ。映画は前半一時間以上かけて各キャラクターのバックグラウンドが描かれていくが、その重厚な映像と群像劇としてのアンサンブルのおかげで飽きずに一気に見ることが出来る。

後半は一時間かけてアクションシーンが怒濤のように押し寄せて来るが、その迫力たるやまるで『十三人の刺客』であり、影武者を乗せながら、おとりとして街中を走りまくるという設定は『隠し砦の三悪人』のようでもあった。

アクションシーンは長めのワンテイクでありながら、キメカットでスローモーションやストップモーションを使うという手の込みよう。激しい動きの中でカメラが上下したりと、技を見せるというよりかは、激しい殺し合いが起きてるんだという様を延々見せつけていく。

それが証拠にカンフー映画では御法度的な「大勢が一度に同時に一人を攻撃する」というシーンが多々出て来るのが特徴で、次々とキャラクターが出て来ては、どんどん虫けらのようになぶり殺しにされていく。

我らがドニーさんは今回バクチで身をもち崩してしまい、女房子供に愛想を尽かされてるという設定。一応華麗な技やフリーランニングシーンが出て来るものの、敵が執拗に強いということもあり、最後は投げたり、投げ飛ばしたりという泥沼の戦いを繰り広げる。キャストはオールスターと言わんばかりの豪華さであり、一番最初にドニー・イェンがクレジットされてるものの、実は役どころも含め、そこまでドニーさんがメインといえるような感じではない。それほどまでに作品の中にドニー・イェンという役者が溶け込んでいるのである。

というわけで、『イップ・マン』といい、『精武風雲』といい、『導火線』といい、今年のドニー・イェン作品はハズレなしだ。これだけスクリーンで観なければならない作品なのになぜ新潟では公開されないのだろうか。まったくもって理解に苦しむわけだが、それ以前にもっとドニー・イェンを観る!という土壌が出来てなければならないので、何度も言っているが改めて声を大にして言いたい。とりあえずレンタル屋さんに行ってドニー・イェンと書かれた作品を観てみよう!特に『イップ・マン』な!

ジョニー・トーしかり、もっとこの手の映画を盛り上げたい所存である。「くりごはんが嫌い」はドニー・イェンジョニー・トーをこれからも断固支持する!あういぇ。

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*1:また『イップ・マン』の時とは違うから驚く