奇しくも今の日本の状況を描く『ハッピーフィート2 踊るペンギンレスキュー隊』
『ハッピーフィート2 踊るペンギンレスキュー隊』鑑賞。
『ベイブ』の思想に『マッドマックス』の狂ったフレーバーとスピード感が加わった前作はまぎれもない大傑作で、その年のベスト1にしたほどだけど、まさか続編が作られるとは思わなかった。それくらい一作で完結していたので、どの方向から物語を引っ張って来るのかに興味があって観に行った。監督はしっかりとジョージ・ミラーであるし。
前作で見られたスピード感みたいなものはほとんどなく、多種多様なキャラクターが登場し、それぞれの視点で進むような、ある種の群像劇スタイル。元々キャラクターをデフォルメせずにリアルにペンギンを描いていたが、そのリアル指向が三倍増しになり、水の表現から氷の表現、雪の細かさなどすべてがまるで本物のよう。特にオキアミの大群がやってくるシーンは吐き気をもよおすほどのリアル感であった。
確かに映像はパワーアップしているものの、前作のクオリティに作品自体が達してるかと言われるとそんなことはない。むしろ映画としては物語が一直線に進まず、とても歪な形をしている。
なぜなら『ハッピーフィート2』は未曾有の災害に見舞われた皇帝ペンギンを様々な種族と他の動物でもって助けようというお話だからである。
キャラクター設定などは前作を観ていないとついていけない部分があるかもしれないが、災害で身動きができないペンギンと、たまたま遠出してその災害に遭遇しなかった主人公と息子、さらにオキアミ、イワトビペンギンのコミュニティ、ゾウアザラシ、そして人間と、物語の視点はあっちこっちに飛ぶ。それを多面体と取るかどうかで作品の評価は分かれそうだが、ここで描かれてるのは奇しくも今日本が置かれてる状況と一緒であり、CGアニメの製作期間が平均してどれくらいなのか分からないが、これを今公開するのはとてもタイミングがいいなと思った。故に意外と泣かせる部分が多かった。
ぼくは日本語吹替版で見たのだけれど、この作品に限っては英語字幕版の方がいいかもしれない。何故か沖縄の方言で話すキャラクターになっていたり、おそ松くんのイヤミのような話し方をするなど、少しばかり作品の世界に入り込めないようになっているからだ。しいていえばバナナマンの設楽が地に足のついたしゃべり方をしてたなくらいだが。
というわけで、もしかしたらタイミングによっては公開が延期になったかもしれないくらいの作品。今年のこの時期に公開されたのはとても意味があると思うので、是非観ていただきたいなと思う。前作を観てない方は予習してから行くことをおすすめする、あういぇ。
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