寅さん的発想の完璧な続編『ハングオーバー!! 史上最悪の二日酔い、国境を越える』

ハングオーバー!! 史上最悪の二日酔い、国境を越える』をレンタルDVDで鑑賞。

続編を作るというのはすごく難しいと思う。

基本的に3部作など最初から続編を念頭に作られてる作品は別にしても、大概はその作品がヒットしたから、続編を作ってくれと依頼されるケースが多いのではないだろうか。それがもたらす弊害はいくつかあって、例えばジョン・ウーの『男たちの挽歌』の続編は、前作で主要のキャラクターが絶命してるにも関わらず、そのキャラクターには双子の弟がいた!?というぶっとんだ設定で無理矢理作られたりしている*1。『エイリアン』に至ってはスリラーからアクションへとまったく違うアプローチで作られていて、まったく続編を想定してないものほど続きを作るのは難しい。

続編に関してはいろいろと方法論があると思うが、その中でもこの『ハングオーバー』の続編は今まで観て来た続編の中でも理想型というか、続編を作るならこうすべきだろう!という見本のような大傑作になっていた。

ストーリーは前作と同じく、結婚式の前日にハメを外しすぎて、記憶をなくし、目覚めたら予想も付かないようなことになっていたというもの。前回は花婿が消えたというのがストーリーの軸になっていたが、今回は花婿の義理の弟が行方不明になってしまったので、彼のことを溺愛している義理の父を怒らせないため、バンコクを駆け回る。

前作もかなり無茶苦茶でこちらの予想をこえる出来事になっていたが、今回はタイのバンコクを舞台に、その無茶苦茶さはパワーアップ。いきなり見知らぬホテルにいるわ、人の指が落ちてるわ、麻薬の密売人がいるわ、顔にタトゥーを入れられてるわ、あげくのはてに頭の良い猿がいるわ、これ全部伏線回収するのか!?と言わんばかりに何が何だか分からない状態。

前作を『北北西に進路を取れ』に通ずる観客巻き込み型のサスペンスと言ったが今回もその体裁は守られている。言ってしまえば前作とまったく同じ構成であり、それは何十年も『男はつらいよ』が同じパターンで作られたのとすごく似ている。

構成は一緒と書いたが、もちろん仕掛けも謎解きも金のかけかたも幾分パワーアップしており、前回はヒントめいたものもあったが、今回はそれがまったくない状態であっと驚くシーンから物語が進むので、ホントにどう転がっていくのか予想がまるでつかない。

前作でその文法を確立しているので、どっちが上だとか、超えた超えないという言い方は出来ないが、まずひとつの作品として超大傑作に仕上がっていて、前作を楽しんだ人には今回の続編も同じように楽しむことが出来るのは間違いない。特に事件を引き起こすアランというキャラクターが今回は数倍狂気に満ちており、前作の狂騒が忘れられずに今作でも暴走するというポジションになっているところが物語のミソである。

というわけで、詳しいことはまったく書けないが、今DVDレンタルされてる作品の中ではダントツの作品。絶対必見である。もし前作を観ていないというのであれば、その前作も一緒に借りて、連続して観るとそのおもしろさがより際立つであろう、あういぇ。

ハングオーバー!! 史上最悪の二日酔い、国境を越える [DVD]

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*1:ちなみに『男たちの挽歌II』は大傑作である