そのパーティーでリア充をぶっとばせ!『PROJECT X』

『PROJECT X』をUK盤BDにて鑑賞。日本公開されたら『プロジェクト X』になるんだろうか。NHKの番組とかぶるから、またクルクルパーな邦題になるかもしれない。

学校内でもイケてない高校生の3人組が、旅行にいくという両親の留守を利用して、パーティーを開き、女の子と乱痴気騒ぎを起こそうと計画する。その名は“PROJECT X” しかし、元来イケてないということもあって、パーティーの誘いをメールで一斉送信しても無視される。ところがパーティーが始まるとFacebookを介して「とんでもないパーティーやってるぞ!」と噂が流れだし、それを見た学生が大挙に押し寄せ、そのささいな動機からはじまった“PROJECT X”は収集のつかないものになっていく……

『スーパーバッド』な3人が『ルールズ・オブ・アトラクション』や『ジャッカス』や『ピラニア3D』や『ハングオーバー』のようなパーティーを繰り広げ、それを『クローバーフィールド』のように撮った、超大大大傑作。

ビデオカメラで「伝説になるはずの一夜」を克明にとらえた映像(POV)と、映画的なキメ絵を随所に差しこむという『第9地区』な構成ながら、後半一時間は「映画にしか出来ないすさまじい映像」が果てしなく続いていく*1。プールに飛び込む素っ裸の美女、トランスし続けるまで踊り狂う濡れた女たち、クスリをキメて、あっちこっちでの酒池肉林………それはまるで「終わってほしくない楽しすぎるパーティー」そのものであり、映画の終わりはパーティーの終わりを意味することになる。


ぼくはBDでの鑑賞で、このパーティーにいつでも参加出来るわけだが(なんなら巻き戻したりして好きなところを見続けることも出来る)、パーティーにはいつか終わりが来る。終わりが来るからこそ儚く楽しく、快感なわけで、その終わってしまうという一抹のさびしさと、映画を映画館で見る(はじまったら巻き戻すことも、一時停止することもできない)というイベント感が合致し、よりこのパーティーに参加している感が強まるので、これは映画館で見るとそのおもしろさが増すであろう――――とはいえ、今のところ日本での公開は決まってないようだが……

延々パーティーの映像が続くと書いたが、いかにも現実に起こりそうな障害を組み込むことで、ハラハラドキドキの展開を見せる。ホラー的な要素もあり、あまりの唐突な展開に驚き、爆笑すること必至だ。物語の文脈に関係ない映像が(しかし、この場合はかなり下品な映像なわけだけど)延々続いていくという意味で作家映画の側面でも語れるかもしれないが、それはあまりにも野暮なのでやめておく。

というわけで、去年の『ピラニア3D』のポジションにあたる、下品で最高な極上のパーティームービーが誕生した!文句なしぶっちぎりのベストワン。『ハングオーバー』が好きなら間違いない一本なはず。UK盤BDはなんと日本語字幕付きはおろか、メニュー画面もしっかり日本語表記されます。おすすめ!!

*1:いや、実際にやろうと思えば、このパーティーは出来るし、実際どっかで行われてるのかもしれない