わりと普通のラブコメ『世界にひとつのプレイブック』

世界にひとつのプレイブック』鑑賞。

わりといろんなところで紹介されてるあらすじを要約して引用すると「それぞれに最愛の人を失い心に傷を負った男女が再生していく姿を描く」となるが、そのあらすじとはうらはらに映画自体は終始明るく、決してダウナーになることはない。『ジュノ』もそうであったが、これが恐らく日本で作られるとこうはならないだろうなぁとハッキリ分かるので、この辺はアメリカ映画の懐の深さというか、アメリカ人の気質みたいのをハッキリ感じることができる。

さてこの作品、最愛の人を失い心に傷を追ったと紹介されてるが、実際はそんなにかっこいいもんじゃない。

まずブラッドレイ・クーパー演じるパットだが、彼はシャワーに入ってる妻を後ろから抱きしめようと近づいたら、そこに浮気相手がいて、カチンと来て、死ぬ寸前まで殴り続けたことにより精神病院に入れられる。薬も服用せず、癇癪持ちとして、妻から近づくことを拒否されるが、それでもまだ互いに愛し合ってると思って、妻が現れそうなところをウロウロする。しばらく妻の顔を見てないことから結婚式のビデオを夜中に探すが見つからずにぶちぎれて警察沙汰になるなど、とにかくイカれた男である。

そして近所に住むジェニファー・ローレンス演じるティファニーだが彼女は彼女で夫が事故死しており、そのショックから立ち直れず、会社の同僚11人(女も含む)と寝て会社をクビになっている。夫が事故死した理由もどうしてもエロい下着を着せたいと、下着を買った帰りということで死んでも死にきれないようなタイミングだが、こんな二人のラブストーリーである。

イカれたと書くと語弊があるものの、出会いからして独特だ。まず彼らは友人を介して出会うのだが、そのときにはずんだ会話が精神病院で配られる薬について、ティファニーはこれに気をよくしたのか、知人の食事会にはいられないと、パットに家まで送るように言い、ふたりはいきなり急接近。家の前まで着くとティファニーがこんなことを言い出す。

「離れがあって、両親は別にいるの。とりあえずアメフト嫌いだから、電気消してとっととファックしない?」

なんて夢がある映画なんだ!!

しかし、パットは未だに奥さんとヨリを戻せると信じているので、この申し出を無視し、彼女を避けようとする……

基本的にこの設定が他と一線を画してるだけで、ストーリー自体は超普通のどこにでもあるようなラブストーリーである。しかし、奇を衒った演出で出てきたデヴィッド・O・ラッセルのウエルメイドな演出とそれに答えるような役者の演技だけで最後まで小気味良く観れてしまうのは事実。現にクライマックスからラストに至る流れで泣いてしまったほど。

というわけで、ラブコメ好きにはおすすめしたいが、ぼくはこの手の映画を好んで観ないので、監督のセラピーに付き合ってるヒマはないわ!と思ってしまったのであった。が、ムチムチのジェニファー・ローランスがスクリーンで見れたのでよしとする。