『ガリレオ』第二シーズン全話感想
『ガリレオ』の第二シーズンが終わった。
いろいろと話題になってるようだが、ハッキリいって全然ダメだった。見てる間はいいんだけど、見終わってから「うーん…」と奥歯に物がはさまったような感じになるというか……ほとんどの話で湯川関係ねぇ!って言いそうになったし、基本的に岸谷は湯川に頼りすぎで、科学になんの関係もない事件まで押し付けていて、それは刑事としてどうなの?とも思った。あと柴咲コウや真矢みきがいかに重要だったか……という話はとりあえずやめておく。
しかし、ブーブー言いながらもついつい最後までかかさず見てしまうのは、やっぱりこのシリーズがなんとなく気になっている自分がいるからで、同じような内容でありながらも二話で観るのをやめた『お天気お姉さん』に比べれば遥かにマシであるということはいえる。
というわけで、一応短めながら、各話の感想を書くことにする。
一話。ゲスト大沢たかお。のっけからキャラクターの設定が間違っている。新シリーズということで妙なハイテンションで演じる福山は予習してから望むべきだったのではないかと思ったし、そもそもその湯川は前と違うキャラになっている。何よりも内海がいなくなるというのが無理矢理すぎるというか、映画版であれだけのやりとりをしたのに、別れのシーンがとってつけたような感じで今まで観て来たファンに失礼。ハイボールの人も鼻につく。クオリティはやや低めだったが、今思えば、この先、どんどん話の完成度が下がっていくので、まだ楽しいほう。
二話。ゲスト川口春奈。犯人探しのミステリーとしても、超常現象の謎を解くというところにしても中途半端だった。犯人が誰かわからないという状態で「ガリレオ」にしては珍しいが、まぁ、あんましこれも科学関係ない。
三話。ゲスト大島優子。月9コンビが再び。しかし、これがなかなかひどかった。犯人も動機もまるわかりだし、吉高ちゃんが酔っぱらって研究室にくるくだりは尺を伸ばすためのもので意味ないし、冒頭のトロミがある料理は伏線として使えそうなのにほったらかし。終わり方も中途半端で(これは全話にいえることだが)、それだったら酔っぱらうシーン丸々カットでもいいのではないかなと。
四話。ゲスト田辺誠一、古田敦也。新シーズンになってから満足いった回はなく、さらに話が進むにつれ、どんどん質が下がっていっていたが、今回は場外ホームランというべき大傑作。開始20分で事件は解決するが、その後に残された謎を解くという変化球。ランタイムの使い方も完璧でオチもバシっと決まった。しかし、後半はやっぱり科学関係ねぇ!!
五話。ゲスト桐谷美玲、桐谷健太。妻を殺す依頼をした夫。しかし、その妻には双子の妹がいて、奇妙なテレパシーで危機を察知。妹が執拗に家を見にいけと事件をしかけた夫にいうもんだからしかたなく夫も演技で心配するフリをし、様子を見にいくが、妻は一命を取り留めた……という話。観た人ならご存知だと思うが“ある意味”でおもしろかった。テレパシーで通じ合う双子を科学的に解明しようとするわけだが、実際この話こそ湯川関係ねぇ!変化球にしては真実へのたどり着き方がいかにも普通。もうこういうのはこれっきりだろうなぁ。
六話。ゲスト夏川結衣。トリックはまぁいいとしても、同じ科学者が犯人なのに、犯人の方が論理的じゃない。なんつーか、あきらめ早いっていうか、もっといろいろ言い訳できたりしたはずなんだが、はて。カットアウトな終わり方はあいかわらず。
七話。ゲスト香椎由宇。10分延長したにもかかわらず、あいかわらずの低クオリティ。っていうか、神主さんは結局なんだったんだよ!!盗まれたミイラは!?さらにいきなり心中したあのふたりの動機も結局よーわからんし!あと事件現場を変えてはいけないと釘をさしておきながら勝手に計算式書くな!
八話。ゲスト蒼井優。15分拡大したがトリックはどっかで観たような感じだし、あいかわらずブツ切りで終わるしで、なんとも中途半端。おもしろかったのは蒼井優の演技と自分の推理がハズレてムキになり捜査に協力する湯川先生かなと。っていうか、やっぱりこれも科学関係ないよね……
九話。生瀬勝久。出だしこそシーズン1の一話目という感じでものすんごくおもしろいし、もしかしたら古畑の「黒岩博士の恐怖」にインスパイアされたアレなのかなと思ったが、最後の最後でやはり失速。完全な竜頭蛇尾で拍子抜け。トリックは三話の「ん”ーー!!!!」に近いものも。生瀬という素材も活かされてるだけに惜しいが素晴らしかったのは宅飲みのシーン。「容疑者Xの献身」もそうだったが、つまみから酒の選択まで分かってる人が演出している。これは美術スタッフなのだろうか、それとも監督の指示なのだろうか。
ガリレオXX。まったく期待していなかったのだが、かなりおもしろかった。映画版『容疑者Xの献身』のクオリティというか、その事件を起こした発端となる犯人をはたしてそこまで責められるのか?というところが東野圭吾っぽいなぁと思っていたのだが、実は原作はなく、オリジナルのドラマだったことにも驚いた。話が二転三転して、さらに伏線もうまいこと張ってあってものすんごくおもしろかったんだけど。残念だったのはツメの甘さ。そもそもあれだけ頭がよく、異常なほど計算高い男があんなことですべてをぶち壊しにするだろうか。いくら以前にヒステリックな行動起こしていたとはいえ、それを無理矢理オチにするのはどうかと。あ、あとびっくりしたのはトンマという今作で相棒をつとめる男の役。なかなか濃くて独特の存在感を放つなー、誰だろう、どこから探してきたんだと思っていたら、柳楽優弥だった。いい感じに老けたねー。
最終回。ゲスト天海祐希。本人がそういう人なのか、よーわからんが東野圭吾の小説には必ず利己的で頭が良いと思われるヤツが犯人や追いつめる側にいることが多く、今作もそれにならったような人物が犯人で、その犯人が湯川学には想像もつかないような――――いわゆる本人のことばを借りるなら「あり得ない」感情――――つまり、恋愛やらそこからうまれる複雑な復讐心みたいなものが動機になるというこれぞという回でそのへんは楽しめた。しかし、それ以外が全然ダメである――――ここからネタバレ――――浄水器のフィルターに毒を仕込んで殺害したというが、なんと、その毒は一年前から仕込まれたもので、一年の間、犯人――――つまり奥さんは旦那の行動をソファから逐一見張っていたという。なんとも気の遠くなるような計画であり、もしこれが本当ならば考えられないといわしめたトリックだが、これ一年前じゃなくてよくね?
というわけで最後の最後まで結局観てしまったわけだが、なんと驚くべきことに新潟では今日からこの第二シーズンが再放送される。恐らく映画に向けての宣伝も兼ねてるのだろうが月曜に終わったドラマを水曜から再放送するっていうのはどうなんだ……
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