「オークションには出さないで下さい!」に込められた意味

AKBのゲームを購入してプレイした。告ってきたメンバーをフってフってフリまくるヤツ。

正式な名前は「AKB1/48 アイドルとグアムで恋したら… (初回限定生産版) オークションには出さないで下さい!BOX」であり、これを某中古ショップにて780円で手にいれた。前からすこしだけ興味はあったのだけれど、さすがに正規の値段で買おうとは思わずにスルーしていた。しかし、特典豊富なヤツがたたき売りのような値段で置いてあるとなれば話はべつであり、発売から二年弱。思わずサイフのヒモをゆるめて購入にいたる。ただ、もっとおどろいたのは帰ってAmazonで検索したら、送料とはべつで300円で売られていたということ……

しかし、その状況もなんとなく理解できる。「オークションには出さないで下さい」というタイトルだが、まぁこの商品。お世辞にも良い物を買ったとはいえず、お得感はゼロ。豊富な特典っぽく見せているが、わけわからんポスターやカードのようなものが大半であり、前作の告白シーンをまとめたブルーレイはよかったが(それにしてもこれを買ってしまうとこの映像見たさにコンプリートを目指してゲームをしていたひとにとっては「なんだとー!?」と怒りを買うことになりかねない)、メンバー全員分を網羅したメイキングはふたつのケースにわかれて封入されているという徹底ぶりで中身も中途半端であり、なんともカサ増し感が目立つ*1。そりゃすぐにオークションに出されるはずで、ぼくのように若いちゃんねーのムッチムチ水着姿に釣られて買ってしまったひとは売りさばくに決まっている。

いちおうこれまで手のとどく範囲のモノはふつうのひとよりも買ってきたが、そのなかでもいちばん悪意があるというか、商魂たくましさが目立つような商品であった。まぁタイプべつのCDや握手券など、これまでも商魂たくましかったわけだが。

さて、このゲーム。特典もさることながら中身もなかなかの代物。

下じきになってるのはいうまでもなく「ときめきメモリアル」ということになるんだろうが、いきなりメンバー48人から着信の嵐で、オトすための道筋や多様なイベントはなく、メンバーを選んだらフルボイスによる猛烈なアピールがはじまり、適当に返事を選んで気に入られれば告白される。いや、途中にも告白めいたようなことはあるんだけど、最終的に「神告白」イベントなるものがあり、これは高画質のムービーでもって再生され、それがデーターに保存されていく。

このようにAKBの動画や画像をコンプリートするというたのしみはあれど、恋愛ゲームとしての醍醐味はほぼないに等しく、ファンにとってはたまらないだろうが、それ以外のひとにとってはまさに誰得?となるはずである。デートの場所は選べないわ、自分のパラメーターをあげるようなこともないわでなんの苦労もせずにエンディングまでいけてしまうので、一体自分が何のゲームをやっているのかわからなくなる。もしこれがスマホで数百円で売られてるとしたらとてつもなくクオリティの高いものだっただろうが、ムービーやフルボイスを使いたいという理由であればもっとゲームとしてのおもしろさを追及すべきではなかっただろうか。

それだけじゃなく、このゲームの設定がよくわからない。

AKBのメンバーが全員グアムにいるのだが、まず彼女たちはそこで何をしているのだろうか。タイトなスケジュールのメンバーがのんびりバカンスなどしてるはずもなく、仕事の合間という設定にしてはのんきすぎる。誰かとデートにいくと、それを他のメンバーに見られてしまうというイベントも発生し、軽くやきもちを焼かれたりするのだが「ふたりでいるところを見つけて、あとをつけてしまいました」なんてことを言われたり、そうとうなヒマ人であることが推測される。メンバー全員がグアムで長期のバカンスに出かけているという設定ならそういう説明をひとつでもつけてほしかった。

まぁ、そこは置いといても、もっと納得いかないのはこのゲームの主人公(自分)にあたるキャラである。

メンバー全員から電話がきて、メンバー全員が端から好感をもっていて、デートをしなければすねたようなメールがとどき、デート現場を見られれば「私ともデートしてくださいよねっ!」とか言われる……

一体なにものなんだ!?!?

さすがに秋元康にこういう願望がある……とは思いたくないが、まぁいろいろとノイズがジャマして素直にたのしめなかったというのが本音である。とはいえ、酒呑みながら夜中にイヤホンをつけてプレイすると思わずニヤニヤしてしまうし、ホントにヒマつぶしでプレイするにはいいだろう。だからこそこれをiPhoneでできるように作ればよかったのだが。

じつはこのゲーム、ほんとうにすごいというか、ひどいのはこの先にあることなのだが、あまりに前フリだけでながくなってしまったので、次回はその辺について詳しく書きたいと思う。

*1:ただAmazonレビューを見てみると、前回の特典はもっとあざとくファンでもヒドいと感じるものだったらしいので、いくぶんマシになったということでもあるのかもしれないが……