『狼/男たちの挽歌・最終章』の元ネタ『心のともしび』
タランティーノのお気に入りでもあり、ジョン・ウー『狼/男たちの挽歌・最終章』の元ネタ。
この映画の存在を知ったのは映画を見始めた16〜7年ほど前に「タランティーノの肖像」という本に載っていたからで(その本に載ってたタランティーノのお気に入りをメモして片っ端から観ていった)、後に改めてあらすじを読んで『狼/男たち〜』と一緒じゃん!と思ったが、まさかジョン・ウーがシネフィルでダグラス・サークを観てるとはその当時は思わなかった。その後、どっかのムック本かなんかで元ネタだみたいなことが書かれていたような気がしたが、決定的になったのは町山智浩のポッドキャストで、やっぱりそうだったかと思ってずーっと観たかった。
親の財産で遊びほうけていたボブ・メリックという男がボートに乗って事故に遭い、フィリップス医師の家にあった人工呼吸器のおかげで九死に一生を得るが、逆にフィリップスが今度は発作を起こしてしまい、人工呼吸器が家になかったせいで亡くなってしまう。自分のせいでフィリップスが亡くなってしまったことを知ったボブはフィリップスの奥さんになんとか許してもらおうと何度も迫るが今度はその奥さんが事故に遭い失明してしまう。失明した奥さんに別の名前で近寄るボブだが、奥さんはボブと知らずにその男に惹かれていく………とまぁなんとも凝ったあらすじ。
1935年に一度映画化された原作の再映画化(らしい)。よく「昼ドラのような」とか「大映ドラマ的」みたいな言い回しがあるが、これでもか!と押し寄せる「いくらなんでもそれは……」の連打で息もつかせぬ展開になっているのがとにかくすごい。なんで人工呼吸器がその医者の家にしかないんだという話はこの際置いといて(恐らく大変高価な物だったのだろう、っていうかつねに救急車に積んどけ!)、絶対に結ばれてはいけない二人の禁断の恋というのは、その後『天はすべて許し給う』という作品で決定的になるが、そこに贖罪やゆるしという聖書における原罪感みたいなものが入り込んでいて、さらに「人生いかにやり直しがきかないか」という裏テーマみたいなものが重なり、無駄な時間をすごしてきた小生にとっては刺さる作品であった。
ちなみに失明させてしまった男がその失明した女性に身分を偽って会いにいき……というプロットがそのまんま『狼/男たち〜』に使われていて、奥さんの義理の妹にあたる役が刑事に変わっている。確かにあの映画もよくよく考えたらメロドラマ的な展開になっていくのであった。大銃撃戦のせいで気づかなかったが。
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