ゲスの極み乙女、WHITE ASH、Wienners、KANA-BOONなどを聴いた。

めずらしくここ最近発売されたアルバムの感想など。


U2『Songs of Innocence』

実はぼくはU2が嫌いで、あの曇り空のようなどんよりした音像と「付点八分ディレイ」と呼ばれてるギターのテケテケしたヤツが特にダメで、それに影響受けたような………例えばコールドプレイやMUSEストロークスなどもそこまで好きといえない。ストロークスはガレージ寄りだけど、なんかそんなイメージがある。例えていうなら魚粉がたっぷり入ったラーメンが苦手な故、どんだけ美味しいと言われてるラーメンでもそれに似たような味は無理というか……まぁそれでも無料だからダウンロードして聴いたんだけど、ぼくがいままで聴いてきたU2のなかでは一番よかった。サウンドが晴れ渡ってクリアだし、何よりも曲がシンプルで普通にかっこ良い。それでいて何も知らない状態でかかってたら「これU2?」っていってしまうくらい「らしい」アルバムだ。



New Order『Lost Sirens』

もう今こればっか聴いてる。完璧。未発表音源を集めただけなのに、なぜこれを未発表にした!?って感じでベスト盤のようなクオリティ。個人的にニューオーダーはロック寄りな方が好きで『ゲット・レディ』からこのアルバムまでの流れが好きかもしれない。といいながら初期の方はベスト盤と『権力の美学』しか知らないんだが。



V.A.『ROCK AND SYMPATHY -tribute to the pillows-』

the pillowsのトリビュート盤第二弾。前作は随所でアーティストたちが節回しや構成を意図的に変えていて、それがオリジナルを超えていたところが多々あり(ストレイテナーのサビ前の「おーおーおー」やBUMPの「途中なんだってしんじたぁあああ ICAN……」やミスチル「いつーでもーおおーうぁああ!!」とか)、アレンジメントも含めて長く聴けるような素晴らしいコンセプトアルバムだったが、今回はそれが一切ない。よかったのはWHITE ASHの「White Ash」で及第点はグッドモーニングアメリカUNISON SQUARE GARDENか。髭と9mmはそのままやってる感じ。



WHITE ASH『Ciao, Fake Kings』

ジャケットからミックスに至るまで「Nevermind」を意識しつつ、ツェッペリンピクシーズ、アクモン、レディオヘッドティーンエイジファンクラブ、グレイプバインthe pillowsを彷彿とさせる楽曲がずらり。しかし、あくまで「風」に留まってるセンスはさすがで、そこは誰が聴いてもWHITE ASHのオリジナル曲である。1stに比べるとダウナーな曲も多いが、シングルをあえていれないという攻めの姿勢も含め、ニルヴァーナの「イン・ユーテロ」みたいな印象も受ける。地味ながらかなり良くできたアルバム。あえての歌モノや四つ打ちを意図的にやるなどJ-ROCK界への挑戦状だ。


Wienners『DIAMOND』

前作がアングラだとすれば、こちらはドメジャーなポップ仕様。楽曲の完成度がグンとあがり、作った本人たちも満足感は高いのではないだろうか。なかでもシングルで切ってる「蒼天ディライト」はやはり中毒性のあるキラーチューンである。向井秀徳は自らの音楽性を「法被を着たレッド・ツェッペリン」というが、その言葉を借りるならWiennersは「チャイナドレスを着たレッド・ツェッペリン」となるだろう。ただ、やっぱりでんぱ組に提供した「でんぱれーどJAPAN」がすばらしすぎて、これをこえてくれないかなーという感じで聴いてしまった。


ZAZEN BOYS『Live At 大牟田ふじ』

ライブ仕様の「泥沼」「Himitsu Girl's Top Secret」「Cold Beat」はより強力になり、あれだけ長いブレイクをとってるのに緊張感が途切れないのがすごい。これぞZAZENの真骨頂でありながら知らない人にもおすすめできるくらい間口も広く、セットリストも決定版。しかし、マイク二本で録音したとは思えないな。



在日ファンク『爆弾こわい』

ぶっちゃけ、ファーストはいうほどハマらなかったんだけど、このセカンドは泥臭さが増してて、完全な和製ジェームズ・ブラウンになってる。本場のトンコツラーメンに寄せたというか、紅しょうが入れないと食えないよーみたいな。これに嫉妬してるバンドは山ほどいるだろうなぁ。これ聴いてからメイシオもJBホーンズもアカ抜けたように聞こえてしまうのだ。サードもすぐ探しに行ったら見事にレンタル中。



ゲスの極み乙女。『踊れないなら、ゲスになってしまえよ』

ちゃんと腰を据えて聴いたのはじめてだが、バンド名から歌詞と曲、すべてが全力で奇を衒う方向にいってて逆に小気味良い。そこが鼻につくといえばつくが、ものすんごくかっこいいのも事実。特に『キラーボール』は途中でクラシックになってしまうのが非常に惜しいがそれを差し引いても現代の『勝手にシンドバット』といってもいいかもしれない。



KANA-BOON『DOPPEL』『フルドライブ』

ナンバガを彷彿とさせるオリエンタルなリフに裏の四つ打ちを駆使したリズム、全編リフレインといってもいいキャッチーなメロディとまさに「現在(いま)のロックンロール」を体現したような感じ。ちゃんとリフが立ってるのがよく、言葉もメロディを引き立たせるために使ってるので好感が持てる。最新シングルの『フルドライブ』は構成からアレンジまですべてが完璧でこれを頂点と考えると次あたりから音楽的に限界がくるはずなのでどこかでシフトチェンジしなければならないだろう。ちなみに「フルドライブ」はゲスの極み乙女。の『餅ガール』という曲とややかぶり、「MUSiC」という曲はForever The Sickest Kidsの「She's A Lady」とややかぶる。



cero『My Lost City』

やや土着的なシティポップミュージック。フィッシュマンズ、トーキングヘッズ、ヴァンパイアウィークエンドあたりが好きな人にはドンピシャではないかと。調べたら鈴木慶一に見出されたと書いてあり、納得。ミュージシャンズミュージシャンだろうな。特にタイトルチューンになってる「マイ・ロスト・シティー」がホントに「リメイン・イン・ライト」に入っててもおかしくないくらい変態的なポップソング。フィッシュマンズっぽいと書いたが、その歌詞を引用した曲もあるらしく、ちゃんとこういうところに影響があるのが嬉しい。



andymoriandymori』『ファンファーレと熱狂』

脱法ハーブで大暴れ、解散決定後に飛び降りて重傷など、何かと音楽以外のことで世間を騒がせていて、それが先行してたんだけど、よかった。ただ、そういう奇行もわかるというか、この人から音楽をとってしまったらどうなるんだろうみたいな繊細さが漂う。壊れてしまう故に美しいみたいな。言葉もあるべくしてそこにあるような、そんな感じ。解散してしまったが、新潟出身のPIECE4LINEにも通ずるものが。ファーストはギターを持って勢いで鳴らしてるのがよくわかるようなアルバム。荒削りながら良曲もずらり。和製リバティーンズと言われるのもわかるが、わりとスローテンポな曲に引っかかった。お気に入りは「誰にも見つけられない星になれたら」と「サンセットクルージング」


V.A.『サザエさん音楽大全』

いわゆる「サザエさん」のサントラ。これがホントにすばらしい。大全だけあって完璧に網羅されてる。改めて一切音楽が変わってないことが分かるし、こんなに身体中に染み込んでいたのかと思うほど。

ROCK AND SYMPATHY -tribute to the pillows-

ROCK AND SYMPATHY -tribute to the pillows-

Ciao, Fake Kings

Ciao, Fake Kings