実に15年ぶりの新譜/レンタルズ『ロスト・イン・アルファヴィル』

The Rentalsの15年ぶりの新譜『Lost In Alphaville』を聴いた。

はじめてフー・ファイターズのファーストアルバムを聴いたとき「あれ?もしかしてニルヴァーナってカート・コバーン以外のメンバーもすごい才能持ってたんじゃね?」と思ったが(すごく失礼だけど)、Weezerを脱退したマット・シャープがレンタルズとしてCDをリリースしたときも同じようなことを思った。

特にセカンドアルバムの『Seven More Minutes』が大傑作で、個人的にはWeezerの『ピンカートン』や『ブルー・アルバム』に匹敵する出来だと思った。実際このアルバムは本当に良く聴いた。

日本ではアジカンの後藤が大ファンとして有名で、自身が主催のフェスに呼んだり、「Hello, Hello」をカバーしていたり、新譜にコメントを寄せていたりとそれなりの啓蒙活動しているにも関わらず、今ひとつ知名度がないレンタルズだが、実際Twitterの公式アカウントもフォロワー数が4400人くらいで本国でも知る人ぞ知るバンドみたいになっていることが判明……日本ではWeezer人気もあって、普通に国内盤が発売されてるんだろうか………

さて、そんなレンタルズの15年ぶりとなるサードアルバム『Lost In Alphaville』だが、これが大変素晴らしかった。

過度に歪ませたパワーコード、それに被さるちゃちなモーグシンセ、女性ボーカルによる浮遊感漂う多重なコーラスワーク、際立つ泣きメロと、15年経っても変わらない、まさにレンタルズの世界としか言いようがない作品。特に二曲目の「Traces Of Our Tears」はド直球のパワーポップでコーラスワークも含め、やっぱりどこかWeezerっぽい……というか、そんなに音楽性が近いならまた一緒に活動したらいいのに……

間違いなくレンタルズが好きなら「きた!きた!」待ってました!となる感じだが、今作は全体的に切なく「ロスト・イン・アルファヴィル」というタイトルが象徴するように歌詞もSFっぽい。一応コンセプトアルバムなのだろうが、歌詞も「あの頃に戻りたいけど戻れない、だからぼくらは前を向いて歩かなければ」というのばっかりで、サウンドにもやや統一性が見られる。喪失感みたいなものが全体を漂ってるというか。

というわけで、レンタルズ好きはもちろんのこと、Weezer好きにも聴いていただきたい、渾身のアルバム。発売してから結構経つが普通にタワレコでは面出しされて売られていて、それにもビックリ。

ロスト・イン・アルファヴィル CD

ロスト・イン・アルファヴィル CD