もうひとつのDOCUMENTARY of AKB48『めちゃイケSPどっきり解散総選挙』

『めちゃ2イケてるッ!SP衆議院より一足お先に解散総選挙スペシャル』を観た。

AKBとドッキリというのは相性が良く*1、当然いままでも数々のドッキリを仕掛けられてきたわけだが、『AKBINGO』という長年レギュラーを務める番組でドッキリに対して警戒心が強いメンバーを本気でダマすために「長年MCを務めてきたバッドボーイズが番組を辞める」というドッキリを数年前にやられてから、AKBに対するドッキリはホントに規模の小さい、しょうもないものしかやらなくなってしまった。

それを踏まえて今回の『めちゃイケ』は総監督である高橋みなみの恋愛スキャンダルが発覚し、AKBを卒業/解散するという最後の切り札を放り込んできた。奇しくもこれが放送された直後、高橋みなみは本当に卒業宣言をしたわけだが……番組冒頭で秋元康が「一週まわってドッキリが新しいんじゃない?」といったのはそういう意味もあるのだ。

おもしろかったのは「誰かの恋愛スキャンダルが発覚したとき、他のメンバーはどういうリアクションを取るのか?」というのが見れたことである。

こんな残酷な側面も見せるのか!?と話題になった『DOCUMENTARY of AKB48』シリーズで唯一見られなかったのはスキャンダルに対しての他のメンバーのリアクションである。「こういうのが週刊誌に出ることになりました」と本人にいうシーンは見られたが、他のメンバーの様子は一切映されなかった。そういった意味でそれが見られたのはおもしろかったし、ハッキリいうとドキドキした。峯岸とかさしことか、実際にスキャンダルがあったメンバーのリアクションはかなり新鮮であった。

そして、スキャンダルがあったメンバーが他のメンバーに対して直接謝罪するというシーンもフェイクとはいえ大変おもしろかった。たかみなの演技もあいまって、ここは本当のドキュメンタリーを見ているようで、AKBを追っかけてきた者にとっては「ついに見れた」と感慨深いものだろう。

しかし、大勢を相手にリアクションの審査するという企画のせいで、番組としては後半がやや急ぎ足になってしまったように思う。

特にスキャンダルの相手が岡村隆史だというのを明かす場面は本人が直接現場にやってくるという展開だったが、わざわざ相手が岡村であることを分かる写真を撮っていたのだから、それを使って、もう一段階ドッキリをするべきだった。相手が誰かわからない状態で岡村が来てしまった結果、メンバーはまさかの事態に笑ってしまったのである。これはもちろん「アリ」と判断されたのだろうし、これがおもしろかったという人も多いだろうが、個人的にはちょっとあり得なさすぎる展開かな?と思ってしまった。単純にリアリティがなくなってしまったというか。それこそ矢部が言うようにたかみなの演技がなければ企画がオジャンになってた可能性もなくはないのだ。

さらにそのあと、スピードワゴンとニセ番組で「クリスマスを一緒にすごすなら誰?」といって岡村の名前を出すくだりもいらなかった。ハッキリいうと蛇足である。ここを削って岡村本人を登場させ、そのまま最後の記者会見に持っていった方がリアリティという意味では一本筋が通っている。裏を返せばこれは『めちゃイケ』流のAKBドッキリだということなのだろうが。

もちろん最後の記者会見も急ピッチというか、出席の予定がなかった高橋みなみを壇上にあがらせ、卒業を宣言させるというのもリアリティがない。その点『ロンドンハーツ』はありえないことを絶妙なラインでドッキリ組み込み、足元を固めて最後の最後にオトすのがうまいなと再認識できた。単純にウソと思わせない努力の方向性が少しだけズレているといえる。あげく、AKBは解散するという「てい」だったのに、それが最後までなかったのもいただけなかった。

とはいえ、観てる間はゲラゲラ笑ってたのも事実。むしろ「おもしろかった」という意味においては今年放送した「めちゃイケ」のなかでも屈指の出来。文句を言ったのもこういうのが見たかったというファンの勝手な意見をどっかに残したかったということなので気にしないでいただきたい。

*1:というかアイドルとの相性が良い