GACKTのゲーム実況がおもしろい件

なんとなく『ゲットバス』という釣りゲームがやりたくなって「このご時世やってる人なんているのかなぁ*1」と思っていろいろ検索してたら、GACKTがゲーム実況している「GACKTなゲーム!? ガメ先手ル!」という動画にたどりついた。

「すわ!なんだこれは!こんなことやってたのか!!」と早速見てみたらこれが意外とおもしろく、結局ゲームをせずに最後まで見続けてしまった。

まったく存じ上げなかったのだが、調べたところネスレがスポンサーとなりGACKTの実況動画を一年間、それも一日一回アップし続けるというとんでもない企画で、これをプレゼンして通したことがすごいが、それはともかく、関連のところに『ロックマン2』『魔界村』『グラディウス』といった名作ゲームの動画がたくさん並んでいてついつい見てしまった。

そこで今回はこの「ガメ先手ル!」についておもしろかった点をぼくなりに書いていこうと思う。ちなみにぼく自身は「プレイ動画」は見るけれど「ゲーム実況」自体にそこまで興味がなく、ヒカキンとマックスむらいとかいうAV男優みてーな名前のヤツしか知らないので、あまりそれらとの違いを書くことができなかった。その辺はご了承いただきたい。


・基本GACKTがカッコ悪い

GACKTのことだからあんまりミスせず、スマートにクリアしていくんだろうなぁと思うだろうが、これはいきなり裏切られる。仕事の合間をぬってゲーム(収録)をやっているらしいが、『ロックマン2』を半年もかけてクリアするほどの腕前で、お世辞にもうまいとはいえない。なので基本的にはつまづくシーンばかり映され、ハッキリいうとカッコ悪いのだ。しかも、さほどゲームがうまいわけではないのに、多趣味ということもあって、自分の得意な分野が出てくると少しばかり調子に乗ってしまい、例えば「お前らゴルフしたことないだろ!負けたヤツは腕立て40回な!」と『みんゴル』対決に挑めば、GACKTが120回も腕立てをすることになったり。「バス釣りねぇ……うん…するよ」といいながら『ゲットバス』では序盤に魚を逃しまくって「泣けてきた」と涙を拭うシーンも見られる。さらに怖がりということもあって『バイオ4』や『青鬼』などのホラーゲームではその演出にビクビクしながらプレイしたりと予想してたかっこ良さ、スマートさは皆無。しかし、その今までに見られなかったようなギャップが魅力的で、ぼくも含め、それにやられた人は多かったのではないかと思われる*2


GACKTが真剣

しかし、腕前こそ下の上といった具合だが、そもそも負けず嫌いな性格なのか、行けそうで行けなかったりすると「ちくしょー!」と声を荒げ、無茶苦茶な攻撃をしかけてくる敵には「何してんの!?何してんの!?」とつっこみを入れ、難関を突破すれば「どりぁぁぁ!!!」とガッツポーズでよろこぶなど、かなり真剣にプレイするのが特徴。ガチンコで挑んでるからこそのリアクションは他の「ゲーム実況」とは一線を画す。男は一度決めてたことを成し遂げなければならないをテーマにゲームに取り組む様は素直にかっこいい。サクサクと攻略すれば「ぼくのことスペランカーって呼んで」と言ってみたりするなどお茶目なところもあり、それも見てて微笑ましい。


・基本GACKTにやる気がない

今しがた真剣にプレイしていると書いたが、その反面、ゲームが難しすぎたり、おもしろくなかったりするとまったくやる気がなくなり、終始機嫌が悪くなる。絶対にクリアしなければならないというルールもないため、途中で投げ出して実況が終わることもしばしば。たとえば『ロックマン2』は37回続いたのに対し『塊魂』は「なんなの!?これ!?ボクに何を求めているの?これをボクにやらせようと思った意味が分からない!」とたった2回で終わってしまっている。『グランツーリスモ』のときは「これハンドルがあったらいいね」と言い、それならばと『F1 2014』のときはスタッフが高価なハンドルとペダルを用意するも、ひとしきりプレイしたあとで「これでまともに運転してる人を見たい」と言い残しやっぱり2回で終わってしまうなどかなり気まぐれ。しかし、それが良いユルさとなって安心して見てられる。


・ナビゲーターがビックリするほどポンコツ

天の声としてギタリストのTAKUMIという人物が画面外からゲームの説明をしたり、攻略法を教えたりとGACKTをサポートするのだが、これが絵に書いたような太鼓持ちであり、つねに「兄さん、兄さん」いっててジャージャービンクス*3級にウザい。しかも、このTAKUMIのアドバイスがほとんど的外れであり『ロックマン2』では「これにはこの武器がききますよ兄さん」と言いながら、やられたあとに「あ、ごめんなさい、間違ってました」といってGACKTの怒りをかう。それだけじゃ飽き足らず『ファイナルファイト』ではステージ2へ行ったあたりで「兄さん、これ二人プレイできるみたいなんでやりましょう、リセットしてください」と言った瞬間に「あ、すみません、二人プレイできるのは2からでした」というあり得ない凡ミス。さらにヘタクソなGACKTを天然でイジったりとやりたい放題で、常に「うるさい!」「お前ウザいよ!」「ぶっとばすからな!」と怒られる。攻略法も分かってるのに山場を作るためなのかあえて教えなかったり(そういう風に見える)、無理矢理盛り上げようとする様が見えたりといろいろ鼻につくのだが、むしろこの心地良いウザさがスパイスになっていて、この人がいなかったらこの動画はどうなっていただろうと思わせるくらいの名パートナーっぷり。『水曜日のダウンタウン』で「売れてる芸人の連れてる後輩ポンコツ説」という企画をやったが、まさにそんな感じで、そのポンコツっぷりにイライラしながらもかわいがってる様子が見て取れるのでまったく不快ではない。古畑に対する今泉といったところか。


————GACKTといえば「芸能人格付けチェック」で全ての問題を正解するほど感覚も感性も一流。豪邸に住み、バッキバキに身体を鍛え、寡黙でクールなのにもかかわらずバラエティ耐性が高く、ややオタ趣味もあるミュージシャンというのが世間的なイメージだろう。

そんなGACKTが難関ゲームに挑み、一喜一憂しながら艱難辛苦を乗り越えていく姿は妙に新鮮。その生まれもったスター性で凡百のyoutuberにはない圧倒的な華を見せつける。芸能人が難関ゲームに挑むという企画は有野晋也の『ゲームセンターCX』が有名だが、GACKTを起用したことによって二番煎じになってないのもすごい。このまま「○○の○○食べてみた」系の動画も配信していただきたいと思ってるくらいである。DVD化したら買うかもしれない、おすすめだ。

GACKTなゲーム!?帰ってきたガメセンテル - ネスレアミューズ

*1:『ゲットバス』はドリームキャストというハードで99年に発売されたゲームである

*2:ファンはそういう側面があるということを承知してたかもしれないが

*3:スターウォーズEP1に出てくるキャラクターで全世界の映画ファンから嫌われている