再び高倉健萌え!『ミスター・ベースボール』
『ミスター・ベースボール』鑑賞。BSで放送されたヤツ。高倉健が亡くなってからそこそこ経つのに未だに出演作がこうやって放送されるのがすごいな。もちろん嬉しいけども。
成績不振と素行の悪さにより、アメリカではオファーされず、日本の球団に移籍することになった大リーガーの話。そこで日本のやりかたや精神などを学び……みたいな感じ。
脚本を手がけたのは『ビッグ』や『デーヴ』のゲイリー・ロス。他にふたりクレジットされてることからアドバイザーとして入ってるんだろう。間違った日本感もあるにはあるが、どちらかというとリスペクトしているように思える。言葉や異文化であることを使いながらギャグとして構成しているものの、それに不快感が一切ないのもすごい。特にギャグが高度でかなりうまい。声に出して笑えるところも多々ある。
日本とアメリカのプロ同士のストーリーでありながらとてもドライでその関係性が仕事上だけのものであるというところもおもしろかった。監督がオーストラリアの人らしく、その辺は第三者目線みたいなものがあるのかもしれない。とはいえ、そこはもっと熱くしてほしかったといわれれば返す言葉もないのだが。
映像面でもドラマ部分は徹底的に長回しで撮り、どうしようもない会話ですら妙な緊張感が漂う。ところが試合のシーンになると実際の試合映像と合わせたのか、それが『狼/男たちの挽歌・最終章』や『野良犬』を彷彿とさせるくらい手が込んでいる。
さて、日本人としては高倉健がどういう役なのかが気になるところだが、これがまた『ブラック・レイン』ばりに魅力的で、今作も高倉健萌え間違いなし。つねに選手にたいして怒っていて、それをアメリカ人がなんとか変えていくという演技の変化もさることながら、誰も英語が堪能な高倉をあえて、コメディリリーフとして起用してるきらいがあり、ここぞという場面で「Let's Kick Ass!!」と言わせるなど、後半はノリノリで演じているのも見逃せない。
野球の本場で作られた映画のわりに「乱闘になってもベンチにいる監督」とか「審判に体当たりしてるのに退場されない」と野球に詳しくないぼくでさえ、おや?と思うところもあったが、役者の演技、映像、脚本とすべてがウエルメイドに作られているので高倉健を見るというよりはひとつの野球映画としておすすめ。
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