パリ、恋人たちの2日間

パリ、恋人たちの2日間 [DVD]

パリ、恋人たちの2日間 [DVD]

10時に起きて『パリ、恋人たちの2日間』鑑賞。もうすぐDVDが出るのに、今頃の公開。新潟恐るべし。その前の日は0時まで働いたのに、なんで、朝一で映画観るかって、、、、それは、、、、、

映画を観るのが死ぬほど好きだからさ!

んで、死ぬほど映画を観るのが好きなんだが、それは金のかかってない豊かな映画を観た時に余計に思う。『パリ、恋人たちの2日間』を観ると、ホントに映画を観る事が幸せだと思えるし、こういう映画がこれからもどんどん出来てほしいなぁって思える。『JUNO』とか『迷子の警察音楽隊』もそうだけど、映画にしか出来ない表現、映画だからこそ感動が深いという題材、映画しか持ち得ないカタルシス。それは戦闘機が出て来て、ドーンとかそういうのではなく、もっと繊細な映画で発揮されるもんだが、感情の移り変わりとかを表情だけで写したりするのはやっぱりこういう映画ならではだよなぁ。

カラックスの『汚れた血』でお人形さんのような容姿で登場したジュリー・デルビーだが、にゃんと!知らぬ間に映画なんぞを撮っていたのだね!

パリ、恋人たちの2日間』はパリ出身で写真家をやってる女とインテリアデザイナーをやってる男が、彼女の実家に旅行ついでに帰ろうとするところから始まる。つき合って2年になる35歳のカップルだが、彼女は2年間も人と付き合った事がないという、これは奇跡らしい。英語が通じず、慣れない街でストレスが溜まる彼氏、彼女の母親は元ヒッピーでフリーセックスを楽しんだ人、さらに彼女の父親は裸の男女やセックス関係を絵にしている芸術家、そんな家族と一晩過ごした後、彼女の友人と言う男たちに立て続けに会う彼氏、友人という男は実は元カレでフランスでは一度別れたカップルが友人に戻る事に抵抗はないという(映画の中の話)カルチャーショックを感じた彼氏だったが、セックスに寛容な家族で育った彼女に対し、ある不信感が…

ストーリー自体は倦怠期カップルのゴタゴタ。ところが、これを知的でエッチというセンスいい会話と、生々しいカメラで切り取った恋愛映画の佳作。ジュリーデルビーはウディアレンよろしくのスタイルでさらにアダムゴールドバーグもアレンばりの神経症で登場。写真のスライドショーを使ったり、ジュリーデルピー自身の言葉がそのまんまナレーションになるなど、明らかに『アニー・ホール』の現代版。というか、女性版というのが正しいか。倦怠期のカップルでお互いに妙に頭がよく、会話が知的というのもばっちし当てはまる。パスティーシュとまではいかないけども、かなり似ている。恐らく影響は大だろう。

猫の名前がジャン・リュックだったり、フリッツ・ラングの『M』を劇中で観てたり、『ラスト・タンゴ・イン・パリ』の冒頭と同じシーンで撮るなど、映画ファンへの心配りも忘れていない。

二人のやりとりに爆笑必至だが、スクリーンで笑ってるのオレだけだったぞ!どぎつい会話もあって、正直、下品なのが嫌いな人にはお勧め出来ないが、かなりおもしろい。まさに監督の才能あっての佳作だ!