2018-01-01から1年間の記事一覧

っていうか『愛の渦』と基本は一緒『何者』

『何者』をAmazonプライムにて鑑賞。 原作は直木賞を受賞した朝井リョウの同名小説。就活生たちが内定を取るまでの悪戦苦闘っぷりを瑞々しく描いた青春小説のような形式で進んでいくが、中盤から「内定が取れないものは人間失格」という概念が主人公たちを焦…

ファインディング・麻理『いぬやしき』

『いぬやしき』をレンタルDVDにて鑑賞。 職場や家族にもその存在自体をないがしろにされている初老の男がガンで余命いくばくもないことを知った。家族にその事実を打ち明けられないまま悶々と日々を過ごしていたが、ある夜、犬の散歩の途中で立ち寄った公園…

雪は白い、だからこそ何色にでも染まる『ミスミソウ』

『ミスミソウ』をレンタルDVDで鑑賞。 多少の粗さはあるものの、非常によく出来た作品だなと思った。監督はそのタイトルと内容で超絶な賛否両論を巻き起こした『先生を流産させる会』の内藤瑛亮。処女作にして黒沢清や北野武のような風格とセンスを見せつけ…

テレビ版に期待『後妻業の女』

『後妻業の女』をAmazonプライムにて鑑賞。 資産家のジジイをだまくらかして公正証書遺言を作成し、殺すか、病気で死ぬまで待ち続け、その遺産を奪いとる後妻業についてのお話。原作は黒川博行の『後妻業』。以前このブログにも感想を書いたので手短に済ます…

ベスト・オブ・黒沢清『散歩する侵略者』

『散歩する侵略者』をレンタルDVDで鑑賞。 映画はとんでもないショッキングなアバンタイトルから幕を開ける。続いて奇妙な言動を繰り返す男が病院で保護されているシーンになり、彼の妻が迎えにきて、医者にことのあらましを告げられるのだが、実はこの夫婦…

三人の生徒が三人の先生を!?!?『先生!、、、好きになってもいいですか?』

『先生!、、、好きになってもいいですか?』をレンタルBDにて鑑賞。 『恋は雨上がりのように』のアニメ版についてブログに書いたが、基本的に年をとったことによって「世間から手放しで祝福されにくい恋愛している人」に「甘酸っぱい青春の要素」が加わった…

ズブロッカをチョイスする粋な演出『孤狼の血』

『孤狼の血』をレンタルDVDにて鑑賞。 昭和63年の広島を舞台に、ヤクザよりも怖いマル暴刑事と彼の相棒に指名された大卒のルーキーが金融会社社員の失踪事件を追うというのがおおまかなあらすじ。マル暴が「毒を食わらば皿までも!」の精神で一線を越えまく…

グレイトだぜ!『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』

『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』をレンタルDVDで鑑賞。 「実写化不可能」と呼ばれてる企画は数あれど『ジョジョの奇妙な冒険』ほど、この言葉にふさわしかった作品はないと思われる。「アメトーーク」で「ジョジョの奇妙な芸人」企…

『凶悪』を想像すると肩すかしを喰らう『サニー/32』

『サニー/32』をレンタルDVDにて鑑賞。 いきなりだがこの作品、そのつくられた経緯というか成り立ちがすごい。監督は白石和彌だが、リリー・フランキーとピエール瀧のコンビに脚本の高橋泉と出世作である『凶悪』のメンバーが再集結。しかも内容は「佐世保小…

テレビの時間『カメラを止めるな!』

『カメラを止めるな!』をGYAO!の24時間限定無料配信にて鑑賞した。 映画がはじまってそのまま37分間という怒濤の長回しシーンがあるのだが、明らかにNGテイクであることが早々にわかり、なぜその状態でカメラが回り続けるのか、観ているあいだはよくわから…

NGTの曲がかかっても違和感ない『全員死刑』

『全員死刑』をレンタルDVDで鑑賞。 近くのレンタル屋さんに『孤高の遠吠』がなかったので観れず、結局小林勇貴監督の作品にはじめて触れたのはNGT48の『春はどこから来るのか?』のMVなんだけど、これがまぁかなり衝撃的な内容で、特報の映像も含め「オレ!…

家父長制という虐待『葛城事件』

『葛城事件』をレンタルDVDで鑑賞。 黒沢清監督の『トウキョウソナタ』のなかでこんなシーンがある。父親以外の家族が席に着き、夕飯もテーブルに並べられてるのに誰一人手を付けずに待っている。そこに父親がやってきて、おもむろに冷蔵庫を開け、缶ビール…

おかーさーん!麦茶ふたつ持ってきてー!『ヒメアノ〜ル』

『ヒメアノ〜ル』をレンタルDVDで鑑賞。 大・傑・作!!!!!とんでもない、とてつもない映画だった。観た後すぐには動けなくなるくらいの余韻を喰らったのは久々かもしれない。映画はまずある一組の男女が恋人同士になるまでの過程を丁寧に描いていく。バ…

戦場FIST『野火』

『野火』をAmazonプライムにて鑑賞。 何の情報もなく、Amazonプライムにあったから観たくらいだったのだが(そもそも戦争映画が嫌いというものある)、画面を覆い尽くす監督の執念みたいなものに圧倒された。観たあとに調べたら、製作にまつわる超絶な紆余曲折…

ザック・スナイダーしてやったり『東京無国籍少女』

『東京無国籍少女』をAmazonプライムにて鑑賞。 制服を着た女子高生が血まみれになりながら戦うアニメ『BLOOD THE LAST VAMPIRE』の制作に携わっていた押井守が、まったく同じコンセプトを使った短編映画を観て「これは俺が長編として作る」と思い映画化にこ…

爽快なノワール『紙の月』

『紙の月』鑑賞。Amazonプライムにあったのだが、以前BSで放送していたことを思い出し、BD-Rを引っ張りだして観た。 バブル崩壊後の1994年が舞台。銀行で働く一介の主婦がパートから派遣社員になり、微妙な夫婦関係のストレスから散財をしはじめる。ある日取…

はきだめの男女『愛の渦』

『愛の渦』をAmazonプライムにて鑑賞。 今作は乱交場を提供する風俗店に集まってきた強力な性欲を持つ男女8人の物語。とはいえ、それぞれのバックグラウンドが語られることなく、ひとつの部屋のなかという限定された空間だけで映画は進む。元は舞台劇だった…

黒沢清の真骨頂『クリーピー 偽りの隣人』

『クリーピー 偽りの隣人』をAmazonプライムにて鑑賞。しかし、映画のタイトルバックでは『クリーピー』表記なのに、なぜ公開されると山崎貴の映画のようなわけわからんサブタイトルがついているのか?まったく必要ない。 『CURE』からはじまり『回路』や『…

コントロール不能の気持ち『ディストラクション・ベイビーズ』

『ディストラクション・ベイビーズ』をAmazonプライムにて鑑賞。 そのタイトルの語感でいやがおうでも『コインロッカー・ベイビーズ』を思い出すだろうが、NUMBER GIRLの「DESTRUCTION BABY」からの引用であり、そのフロントマンであった向井秀徳が音楽を担…

暴力の是非を問わない“わらの犬”『アイアムアヒーロー』

Amazonプライムにて『アイアムアヒーロー』鑑賞。 「あの『アイアムアヒーロー』を佐藤信介監督と、大泉洋で映画化だと!?『GANTZ』はヘッポコだったし、大泉に至っては主人公に似ても似つかないじゃないか!!!」という下馬評を大きく覆し、映画秘宝の年…

荻野由佳センターだからこそ成立する人類愛/NGT48『世界の人へ』

結構前の話になるが、NGT48『世界の人へ』のタイプA、B、Cを購入した。酩酊状態でスマホから注文したのもあってか、タイプCだけが2枚届くというアクシデントがあった。みなさまも注意されたし。ちなみにそのもう一枚のタイプCはNGTファンである主任の奥さん…

楊天青は二度ベルを鳴らす『菊豆 チュイトウ』

先日、Twitterにてメーカーのアカウントが『菊豆』をBD化したくてしたんだけど、全然売れてない!みたいなことをツイートしていて、それがRTで回ってきた。 ついでに言います。自分がやりたくてやって、本当に売れてないのがチャン・イーモウの『菊豆(チュ…

くりごはんが嫌いな男が選ぶ「映画映画ベストテン」

ここ三年くらい映画から離れ、さらにはブログもほぼ放置状態だったので、ワッシュさんの毎年恒例のベストテン企画も二年間参加しませんでした(オールタイムベストテン2017は結果発表のときに記事にする始末)。映画映画ベストテン - 男の魂に火をつけろ!とい…

100円の女を全身全霊で演じる『百円の恋』

『百円の恋』をAmazonプライムで鑑賞。 一度も就職することなく、怠惰な生活を続けて32歳になってしまった一子。妹とのケンカをきっかけに家を出て、100円ショップでバイトをはじめる。深夜労働なのでわりとヒマな日々をすごし“バナナマン”と呼ばれていたボ…

剛、走る『日本で一番悪い奴ら』

『日本で一番悪い奴ら』をAmazonプライムにて鑑賞。 戦後の殺人事件のなかで最も“凶悪”と言われた事件を映画化した白石和彌監督が次に選んだのは日本警察史上最大の不祥事といわれた「稲葉事件」の映画化でその名も『日本で一番悪い奴ら』。非常に良いタイト…

たたきあげの監督の映画はおもしろい『凶悪』

『凶悪』をAmazonプライムにて鑑賞。 「女子高生コンクリート詰め殺人事件」や「埼玉県愛犬家連続殺人事件」、「北九州監禁殺人事件」、「東大阪集団暴行殺人事件」(いずれも映画化)など戦後犯罪史において胸くそ悪い殺人事件は山ほどあるなか、その事件をま…

タイトルからして思わせぶり『三度目の殺人』

どうもお久しぶりです。仕事が変わってスーパーホワイト企業に入社し、薄給ながらもバイトのような労働時間なので、映画を観る時間が増え、毎日映画を一本必ず観る生活と相成りました(といっても昔観ておもしろかった映画を見返してるだけだけど)。はてなダ…

サニーデイ・サービスの丸山晴茂が亡くなってしまった

サニーデイ・サービスのドラマー丸山晴茂が47歳の若さで亡くなってしまった。体調不良でバンドを離脱していたのは知っていたが、亡くなるなんて思ってなかった。 サニーデイ・サービスはとてつもなく思い入れがあるバンドである一方で、アルバムに良い意味で…

愛をこめてコミニュケーション・ブレイクダウン

ぼく佐野元春の「コミニュケーション・ブレイクダウン」って曲がすごく好きなんですけど、その理由ってのがへっぽこなラップなんです。VISITORS 20th Anniversary Edition (初回限定盤)(DVD付)アーティスト: 佐野元春出版社/メーカー: ソニーミュージックエ…

『ゼルダ』は人生を教えてくれるゲームである

すさまじく忙しかったのだけれど、そのほんの合間をぬって『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド(以下、BotW)』をWii Uでプレイしていた。スーパー定時会社になったので、これからますますプレイ時間が増えることでしょう。ホントはNintendo Switchを買っ…