グレイトだぜ!『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』

ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』をレンタルDVDで鑑賞。
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「実写化不可能」と呼ばれてる企画は数あれど『ジョジョの奇妙な冒険』ほど、この言葉にふさわしかった作品はないと思われる。「アメトーーク」で「ジョジョの奇妙な芸人」企画をプレゼンしたら、「ガンダム芸人」の二倍以上の得票数で企画が通ったくらい、熱狂的なファンを多く持つ作品であり、ぼく自身も呑み屋で「ジョジョ」の話だけで数時間イケるクチだったりする。

今までにいくつか映像化はされているが、タイトルバックのかっこよさに本編の作画がついていけてないアニメ版や、完璧に映像化してるわりにシステム自体が微妙なゲーム版*1など、やはりマンガ以外で完璧に「ジョジョ」を表現できてるものがなく、それが実写となれば相当な完成度が求められるのは企画に関わったスタッフ全員が分かってることであり、不退転の決意で挑んだことは想像に難くない。しかも監督が三池崇史ということもあって、もしかしたら園子温の『TOKYO TRIBE』くらい原作を破壊することになりかねないとも思っていた(あれはあれで好きだけど)。

ところが、いざ蓋を開けてみるとこれが見事なジャイアントキリングであり、大旨高評価だったのも納得。なんなら傑作といっていいかもしれない。

実写化したのは日本が舞台の「第4部」で、一番牧歌的なストーリーでもあり、屋内でのバトルシーンが多いということもあって日本でやるならこれしかないだろうとある意味案牌なのだが、これをなんとスペインロケで撮るという大胆不敵な作戦を決行。原作者がストーリーボードを入念にチェックしていたこともあってかおふざけは一切なく『十三人の刺客』と『一命』で見せたような、格式高い映像美で魅せていく。美術も相当リキが入っており、まさに真っ向勝負での「ジョジョ」実写化。その心意気だけでも泣かせる。

さらにCGのクオリティの高さがその映像美を援護射撃。かつて邦画において、ここまで実写映像とマッチングしてただろうか?というくらいであり、水の表現は『アビス』をはじめて観た時のような衝撃と感動を覚えた。企画は10年前から立ち上がっていたようだが、10年前に撮影してたらここまでのモノになってなかった可能性もある。技術の進歩もさることながら、相当なトライ&エラーがあったのではないかと思われ、それによってスタンドの表現は完璧で、これ以上何かを望んだらバチがあたるレヴェル。

ストーリーも大胆なアレンジがなされているが、それでいてしっかり「ジョジョ」らしさを残していて、なによりも素晴らしいのが2時間費やしながらもなにひとつ話が進行しないという点。それこそ『パシフィック・リム』のように「ジョジョ」のここが観たいんだよ!という部分しか抽出しておらず、スタンドのバトルが延々と続いていくだけ(しかもかなり長めに時間を割いていてそのあたりもよくわかっている)。『進撃の巨人』や『寄生獣』とは違い、客層を原作を知り尽くしてる人だけに絞ったのだろう。故に興行的にはその二作に負けているが、ファンが脳内で描かれてない部分を補完できるようになっており、だからこそ高評価につながったのではないかと思われる。

キャスト発表の段階で「絶対にありえない」と思っていた山崎賢人もスペインロケの高揚感もあってか、いきいきと仗助を演じており、誰もがハマり役だろうなぁと思った神木龍之介や小松菜々、観月ありさなど、その他の役者陣も完璧であり、これなら逆にスピンオフとかでもいいからもっと他のキャラクターの話が観たいなと思うほどであった。

他にもいろいろ言いたいところはあるが、とりあえずスタッフ、キャストを含め、この作品に関わった人たちに「グレイトだぜ!」という言葉を贈りたい。そしてなんとか第二章も制作していただきたく……なんで10億いかなかったんだろう……まぁレンタルで稼ぐんだろうが……

*1:ただし、例外としてCAPCOMの格闘ゲーは別格