バーン・アフター・リーディング


29日夜
泥酔して寝たら、3時に起きてしまって、そこからダラダラと過ごす。本棚を増築しようと板を発泡スチロールで出来たレンガではさんだり、いろいろやるんだけど、これと言った収納が出来ず、やっぱり本棚自体を買わなきゃだめという結論に至る。

風呂に入り、『ファンタスティック・フォー』の原作を読む。81年のヤツ。元々のコミックは昔からあるわけだけれど、今回ぼくが読んだストーリーがすごくて、『マトリックス』とか『トゥルーマン・ショー』に先駆けてるような内容だった。ファンタスティック・フォーの面々が悪夢を見始めるんだけど、実は、それはDr.ドゥームの仕業で、なんと、ファンタスティック・フォーの面々が住んでるのは、なんと模型の街で、自分の脳みそにプラグを埋め込まれ、脳みその中身を模型の街の人造人間に組み込まれてしまうという、無茶苦茶な話。81年ですよ!これ!

その後にマイケル・ゴールデンというアーティストの『マーベル・ファンフェア』を読む。この人の絵すごい!うまい、うますぎる!!大友克洋のような綿密な書き込みとメカ描写が秀逸だ。それにしてもスパイダーマンというのは原作でも情けないヤツなのね。

さらにX-MENの番外編的な『ウルヴァリン』を読む。バリー・スミスというアーティストの絵がやはりすごい。こちらは『ジョジョの奇妙な冒険』の荒木飛呂彦に絵が似ている。よく考えたら、ジョジョって、アメコミのヒーローコミックに似ているかもしれない。一枚の絵で妙なポーズをとったりとか、スタンドの能力だって、スーパーヒーローの能力みたいなもんだしね。

30日朝
9時半よりコーエン兄弟最新作『バーン・アフター・リーディング』鑑賞。

アカデミー賞を受賞した『ノーカントリー』がドシリアスな作品だったので、今回は方向をガラッと変えたのか、『ファーゴ』の後の『ビッグ・リボウスキ』のようにバカで明るく、ポップでバイオレントな作品になっている。

巷で言われている通り、『ビッグ・リボウスキ』+『ブラッドシンプル』な感じで、バカで間抜けなキャラクター達が複雑に絡み合い、事態が収集つかない方に転がって行き、最悪な結末を迎えるというもの。キャラクター造形はさすがの一言だし、役者は楽しそうに演じているし、ド下ネタから唐突に出て来る強烈なバイオレンスなど、やはり何処を切ってもコーエン兄弟印満載。

ただ、上映時間の短さから分かるように、これはコーエン兄弟流のポップコーンムービーであり、ハッキリ言ってしまうと、心の底から傑作!とは言えない出来である事も否めない。確かにコーエン兄弟らしい作品だが、かなり濃いスープを薄めてある感じで、一般の人にも食べやすく仕上がっている。だからこの作品がコーエン兄弟の中で一番のヒットになったというのはすごくよく分かる。逆にコーエン兄弟が好きな人には、かなりあっさりした仕上がりになっていて、マズくはないけど物足りないという風に感じるのではないだろうか。

コーエン兄弟の映画はセリフ回しが楽しく、2〜3人の掛け合いがおもしろいのだが、それが今回はあまりない。さらにコーエン兄弟と言えば、物語に関係ない無駄なシーンが多くあるのも特徴だが、今回はプロットを動かすだけに留まっている。CIAの内部以外のカメラワークも冴え渡ってないし、意表ついたキャスティングも今回は見られない。

だが、それでも『バーン・アフター・リーディング』はつまらなくはない。前半がややタルいが、後半のたたみかけは非常にスリリング。ぶっちゃけ、衝撃のあのシーンで思わず声が出た。オチも落ちてんだかなんだか分からなかったが、なかなかよかったと思う。無理して見ろとは言わないが。

30日昼
本棚を一つ増築。あういぇ。