新潟を舞台にしたゾンビ漫画『ライフ・イズ・デッド』
- 作者: ジェフ・ローブ,ティム・セイル,ヤスダシゲル
- 出版社/メーカー: ヴィレッジブックス
- 発売日: 2009/04/30
- メディア: 大型本
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それにしても「アメコミの枠を超えた」とか「単なるアメコミ」という言葉が乱発されるのはすごい事だと思う。よく考えると日本でも原作を超える映画って小説にしても、マンガにしてもなかなかない。ぼくはあまり本を読む人ではないので、映画を観てから原作を追うという事はあまりしないのだけれど、その中でも個人的に原作超えたなと思ったのは『砂の器』だけで、後は別ものとして傑作だったり、全然原作のスピリットを活かし切れてないものばかりだったりする。
だから「アメコミの枠を超えた」というのは、ある程度アメコミを読んで、それで原作を超えてると思ってるわけで、そういう人がたくさん居る事も驚くが、何よりもなかなか原作超えを果たせないでいる映画が日本でも多いのに、アメリカでは、原作超えしてる映画が量産されている(少なくともアメコミの枠を超えたと感想を述べている人はそういう風に認識しているはずである)という事にも驚くなぁ。ぼくは決してそうは思わないのだけれど。
話がずれたが、『ロング・ハロウィーン』はとにかくおもしろい。絵がぼく好みではなかったが、ストーリー自体は抜群のミステリー超大作である。しかもすごいのが、バットマンという世界観の中でこれだけのストーリーを構築出来た事だろう。だから、ジョーカーやトゥーフェイス、スケアクロウが出て来る意味がちゃんとある。
ドンデン返しに次ぐ、ドンデン返し。正義とは?悪とは?という問いかけ。衝撃の結末などなど読む者を決して飽きさせないのが見事。これが人気になって、賞をたくさん獲り、ハードカバー化された事は頷ける。ちなみにアメリカでハードカバー版の初版は一日で売り切れ、増刷された分も瞬殺で、今ではプレミアが付いてるとかなんとか。それくらい単行本として読みたい人が多かったという事なんだろうなぁ。
1日朝
いつものようにジュンク堂に行き、スタスタとアメコミのコーナーへ。そこでなんとアート・スピーゲルマンの『マウス』を見つけた!日本語版出てたんだ!『マウス』はホロコーストの体験を漫画化したもので、フランク・ミラーの『ダークナイト・リターンズ』やアラン・ムーアの『ウォッチメン』と同時期に作られたコミックで、アメコミルネッサンスの一端を担ってると言われている作品。当然のごとく、一冊2000円で、全二巻なので、4000円もかかってしまうので、買いそうになったのだが保留。散財しすぎてマジで金がない。
だが、みうらじゅん御大の『アイデン&ティティ32』と古泉智浩さんの『ライフ・イズ・デッド』は我慢出来ずに購入。ぶっちゃけ古泉智浩さんのマンガを一気に買おうと思ったのだけれど、金が、、、、
1日昼
古泉智浩さんの『ライフ・イズ・デッド』を読む。これは傑作だ!
新潟を舞台にしたゾンビ漫画なのだが、これがホントにホントに素晴らしい。今流行のスピーディーなゾンビではなく、ゾンビウイルスに感染した者も、徐々にゾンビ化していくという、ロメロ魂がみなぎってる描写もさる事ながら、それまでのゾンビ映画ではあまり描かれなかったセックスでも感染するという『汚れた血』を彷彿とさせるアイデアが見事で、そのおかげでおっぱいもあれば、身につまされるリアルなセックス描写もあって、ゾンビ好きな人が絶賛する理由もすごくよく分かる気がした。しかも日本、新潟の郊外というところがかなりリアル。ちゃんと新潟弁も出て来てその辺も好きだ。
主人公はあいかわらずのボンクラ、しかもニート。今回はゾンビものと言っても徐々にゾンビになってしまう男が主人公なので、ギャグも多いが、非常に切ない。あっけに取られるラストや衝撃の展開など、ゾンビもののツボをホントに心得ているような細かいところでの仕事っぷりも見事。よく考えたら、ゾンビになってしまった側から描いたゾンビものというのはかなり珍しいのではないだろうか。そこから自分が死ぬと分かったら一体何が出来るだろうという刹那な青春が生まれ、介護や闘病のメタファーになり、それによって生まれる家族の絆や友人関係など、ホントに泣かされる一冊だった。ゾンビ好きは必読だ!
それにしても読みたい本やマンガが多くて困る。まだ万城目学の本だって読んでないのに。あういぇ。
- 作者: 古泉智浩
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2007/02/28
- メディア: コミック
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