大胆予想!『大日本人』はこんな映画だ!

『頭頭(とうず)』を久しぶりに観た。松本人志の頭脳を観るという意味では、この作品が一番いいのかもしれない。

松本人志の笑いというのはフリートークで抜群に発揮されるが、それは一つの側面であって、コントになると、彼の笑いは急にマニアックになり、万人ウケしなくなる。『大日本人』を撮り、松本人志は「屁理屈こくのはもういい、面白くなかったらあかんのやろ」という一言を残している。面白くなければならない。という事は娯楽映画としてのおもしろみはあるという事になるだろう。

さて、今日は私がずっと追い続けている松本人志の作品を分析し、勝手に『大日本人』がどういう映画なのか予想してみた。謎に包まれてるというだけあって、いいネタになるじゃないか。

1.長い前フリ松本人志の笑いのパターンの一つとして、長い前フリというのがある。1人ごっつの『絶妙な間とタイミング』は13分近いノリツッコミがあり、さらに『親父関係あらへんがなまであと10分』では、10分の前フリでオチを言う。しかも親父関係あらへんがなというフレーズがタイトルになってるにもかかわらず、とにかく笑えてしまう。『発見のコーナー』も7〜8分の長い前フリがあり、一つのボケが爆発する。ごっつの『日本の匠を訪ねて』もそうだ。意味が分からない物を作っている匠のドキュメンタリーを撮るという設定で、浜田が最後に『んで、これ何に使うんですか?』と松本演じる匠に聞くと、『いやぁ、ねぇ、私にも分からないんだよ…』と言う、これもノリツッコミの種類だろう。『Mr.BATER』もそう、ひたすら松本演じる外人が今田のフリに対してノリツッコミをしていく。『頭頭』もそうで、あれは54分という長い長いノリツッコミなのだ。あのビデオを観た人はみんな驚いたというが、あのオチは誰も考えなかったんじゃないかな。

2.定型にシュールをはめ込む松本人志は普通にあるものにシュールをあてはめる。『日本の匠を訪ねて』は良くあるドキュメンタリー番組の風景だが、何十年も意味不明な工芸品を作り続ける。さらに弟子の今田と交わされる会話も「ふたりだか」「ひねりっこちゃん」など意味不明。『実業団選手権大会』もそうだ。普通のスポーツの風景だが、その競技はまったくもって意味不明。なんだかわからんが、休憩中に味噌を喰い、それを審判がメモして、観客に見せるくだりは何度観ても笑える。『ゴレンジャイ』もその一つだろう。ヒーローものなのに、アカレンジャイ喰いなる意味不明なユニフォーム。『相撲』に至っては「稽古つけてやりましょかの」と言いつつ、最後にはサッカーをする。『○○殺人事件』も刑事ドラマだが、殺されてるのが不可解な生き物だったりして結果意味不明。1人ごっつの『はぐきの長いおばはんの地図記号を書きなさい』というテストも同様だ。こういう日常でよく観かける風景が松本の手にかかると、一気に非日常以上の物に変化する。

3.裏切り松本人志がよく言う言葉の一つだ。『頭頭』のフリートークでも「裏切ってやるんだ」と出てくるし、一番言うのは1人ごっつの全国お笑い共通模試。『裏切りたいと言う気持ち』『ここで裏切らなければいつ裏切るんだ?』『こういうところで裏切っていきたい』など多数。相手が思ってる事に対して裏切るというのは松本の好みのようだ。『頭頭』なんて、53分笑いがまったくなく、笑いを期待した観客を裏切った事になる。『日本の匠を訪ねて』のオチも裏切りだし、1人ごっつの『作詞しよう!』のラストもそうだ。よくスカシという風に言うが、それとは違う、裏切るという気持ちは松本人志の作品に共通するテーマであると言える。

4.悲しさおもしろさと悲しさを同じ比重で漂わせるのも松本人志の得意技だ。『頭頭』『とかげのおっさん』『産卵』1人ごっつのマネキンコントの『義父』『紙猫芝居』『ピー助』等、多数。特に得意とするのはやりきれない悲しさだ。家族の事や孤独、蔑まれた人なども良く出てくる。

分析結果今の所『大日本人』で明らかになってるのはこれだけ

大日本人』とは高圧電流を浴びて巨大化し、 しばし出没するユニークな“獣”たちと戦う男たちのことを指す。松本演じる大佐藤家は先祖6代に渡って獣たちと戦ってきたが、 時代の流れと共に今やこの家業を営んでいるのは1人。世間からも有り難迷惑と罵られ、 もはやヒーローとしての地位は凋落の一途をたどっているところに、さらなる困難が訪れる。このストーリーは…もしかしたらこれはホントに松本人志の集大成になるのでは…

大日本人』はヒーローものという定型だが、出てくる人は普通のおっさん、さらに世間から蔑まれる事から、悲しみもあり、笑いもあまりなく、2時間かけて、最終的にノリツッコミかスカシをするという映画だ!

分析結果がしょぼ!