まぼろしの市街戦

起きて速攻『まぼろしの市街戦』鑑賞。ずっと頭の片隅にあって、見たかった作品。フランスの戦争映画という以外、なんの情報もなく見た。hackerさんに聞いたけど、精神病院の話なんだよね、あと動物がどうのこうの。『12モンキーズ』みたいだ。それだけ聞くと、

まぁ見た訳だけども…すばらしい!!!無駄が全く無いし、ブラック度も高い!

いろいろ言う事もたくさんあるけども単純に、

凡人が殺し合う方が狂人よりも遥かに狂ってるって事でしょ。あのラストはいいですね、驚きました。それだけじゃなくて、ストーリーもいい。しかも書けない(笑)

映像はビスコンティとギリアムを足して2で割ったような感じで、アメリカでは絶対に出来ない。ビスコンティのようにこってりしていて、ギリアムみたいにおもちゃ箱をひっかきまわしたようなポップさがある。重厚な絵作りと楽しさが共存してるだけじゃなくて、戦争を扱った映画だから、テーマも深い。絵だけ見ると、主人公の造形がよくて、それだけでグイグイ引き込まれていく。カメラも意外と動いて、1枚の絵として捉えてない所が好きかなぁ。

舞台でもやれそうな感じですけどね、原作は舞台かなにかなのかな?ちょっと勉強不足ですけど。ある村に時限爆弾がしかけられて、村人が全員避難するんですね、でも精神病院にいる患者はまだその村に残ってて、全員、外に出て来て、自分たちの街を作りだすという話なんですわ。主人公は時限爆弾がどこにあるか調べにきたんだけど、その患者(まぁこの場合狂人と書いても大丈夫だろう)に王様と勘違いされて、いろいろもてなすんです。

映画の中で白痴ってピュアの象徴みたいに描かれるでしょう。この映画もそういう感じなんだけど、一体何を持ってして狂人なのかっていう基準がね、人それぞれであって、この映画の場合、「精神障害者を狂ってるっていうなら、正常な精神で人を殺す方がよっぽど狂人だっていう」メッセージがある。しかもそれが説教臭くなくて、ホントにおもしろおかしく、楽しく描かれる。見事。

これは何回でも観たいですね、しかも観れば観るほど好きになっていく映画だと思います。