スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師


19時から『スウィーニー・トッド』鑑賞。

飛び散る鮮血!

復讐の炎!

恐怖の旋律!

これぞバートン印の良作だ!

これは『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』というタイトルよりも、

『スウィーニーと○○○ー○○○工場』というタイトルで全然構わない!

オープニングから完璧。美術から衣装から照明からトーンまで完璧に作り込んでおり、個人的にバートンで1番好きな『スリーピー・ホロウ』(意外と思われるだろうが)を彷彿とさせ、あれをさらに作り込んだ印象の映像はバートン映画でも屈指の出来。

CGもかなり使っているが、エスタブリッシュメントショットの使い方が実に上手く。街の雰囲気、様子など映像だけで伝わって来る。この色使いや独特の構図はバートンのもの。個人的には『バロン』や『バリーリンドン』などを思わせるくらい映像のクオリティはかなり高い。

ストーリーや主人公の過去、キャラクターの心情は全部歌で分からせるので、予告編を観た時にうっとうしくなるかなぁと思った主人公の過去を見事に展開させている。

まぁ、これは復讐に繋がる部分なのでどうかなぁと思ってたが、歌の回想1発で描いてるので、ここは見事としか言いようがないくらいうまい。それ以外でもワンカットが美術館の絵のようなので、歌で全部説明してしまうというのは、映像美が飛び抜けた映画ほど効果を発揮するんだなぁという事を実感した。だからこそ『ジーザスクライストスーパースター』は舞台でやるべきなのか(笑)

それだけじゃなく全体的にテンポはいい。日本にこの脚本を持っていったら、恐らく映画の時間は30分は長くなるはずだ。説明的なシーン一切無いしね。

ただ、確かにテンポはいいんだけど、シークエンス1つ1つの歌がちょい長いため、それによってタルく感じる部分もある。それはそこまでのマイナス要因ではないのだが、ミュージカルはミュージカルなんだけど、歌い踊るの「踊る」部分がなく、もうちょっとミュージカルシーンに工夫が観られればなぁという不満もなくはない。もっと言えば、ミュージカルシーンをもうちょっとだけ切り詰めれば、バートンの最高傑作にもなり得たはずである。

だが、R-15を獲得した残虐描写はホントに見事で、メジャーでここまでの血しぶきは『キル・ビル』以来なんじゃないかなとも思う。それだけじゃなく、アレをアレしたり、これをこれしたりと、書くと魅力が半減するので書かないが、とにもかくにも予告編ではもっとヌルいのかなと思ってただけに、この徹底した描写には感動を覚えた。

もう殺して、殺して、殺しまくって、血が飛び出しまくるだけじゃなく、

そこから先がもっとすごかったりして(/▽\)

ビッグ・フィッシュ』と『チャーリーとチョコレート工場』を観て、作品は傑作だけど、何か違うんだよなぁと思ってた人は絶対に観るべき。単純にスラッシャームービーだけど、ミュージカルでバートン印だから、ちょー個性的な殺戮映画です。