夕陽のギャングたち

『夕陽のギャングたち』鑑賞。

さすがレオーネ!文句なしの傑作!画面構築や一枚絵の美しさはさすがに『ウエスタン』ほどではないが、それでも強烈な街の造形、人の使い方などは『続・夕陽のガンマン』とまったく同じように迫力満点。激しい銃撃シーンに、ド派手な爆破!列車を総攻撃するシーンの畳み掛けはレオーネ作品の中でも1番の盛り上がり。静かな『ウエスタン』に比べ『夕陽のギャングたち』はもっと派手で、もっとテンポも速い。

『夕陽のギャングたち』も『ウエスタン』と同じように何かを待ってる所から始まる。砂漠の真ん中で立ち小便をして、しかも裸足、『ウエスタン』はここから10分以上待ち続けるが『夕陽のギャングたち』では待つ時間は3分ほどに短縮されている。浮浪者のような格好をした主人公が通りかかった馬車に「金を払うから乗せてくれ」と懇願するシーンから映画は始まる。

馬車に乗せてもらうも、そこにはいやらしい金持ちばかり、金持ちに蔑まれ、何も言わずにだまってじっとしている。待つのは短かったが、やはり『夕陽のギャングたち』も何かが起こるまでが長い。そして一瞬にして物語が動き出す!!そこで主人公は何者なのかというのが明らかになるのだが、それまでやはり10分くらいかかる。

そうだ!これがレオーネ節だ!うおー!!!

主人公達が行動を起こす前にキャラクターの過去をフラッシュバックさせ(しかもソフトフォーカスで台詞ほぼなし)さらにクローズアップやいろんなシーンをモンタージュさせるのはペキンパーにも似てるが、レオーネはキャラクターの表情にこだわり、コバーンとスタイガーの両者の顔を切り取る。

さて、そのコバーンとスタイガーだが、レオーネ作品の中でもベストキャスティングじゃないだろうか。もちろんクラウディアカルディナーレもデニーロも、それこそイーストウッドも素晴しいが、個人的にコバーンとスタイガーだったからこそ、これだけの作品になったんじゃないかとも言える。感涙必至のラストも間違いなく『レザボア・ドッグス』に影響を与えてるし、男と男の友情をあれだけハッキリと描いたのはもしかしたらジョン・ウーにも影響を与えてるのかもしれない。

レオーネは『荒野の用心棒』を観て、「そのまんまにしすぎだろ!」と思ったが、その後、『夕陽のガンマン』から印象が良くなり、『続・夕陽のガンマン』でマカロニウエスタンの最高峰を感じ、『ウエスタン』は『バリーリンドン』と並ぶ人生のベスト作となり、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』は『ゴッドファーザー』を墓石送りにするほどの傑作だった。そしてレオーネは好きな監督になったわけだが、デビュー作と『夕陽のギャングたち』だけ観てなかった、DVDは廃盤になってるし、ビデオでは観たくなかったのだが、借りてしまったわけだ。個人的に『夕陽のギャングたち』はレオーネの中でも3本の指に入る。私はやっぱりレオーネが好きだ。
あまりストーリーを知らずに観て欲しいので、こういう感想文になったが、マジでオススメだ!あういぇ。