魔法にかけられて
休み。9時半に『魔法にかけられて』鑑賞。
フワッフワのスポンジケーキの間にイチゴをいっぱいはさんで、たっぷりの生クリームをのせて、ラズベリーとかブルーベリーとかたっぷりのせたような映画
例えば、白身魚の刺身とかこってりこてこてのラーメンとか激辛のカレーとか好きな一方で、ビターなチョコやさらっとしたあんこを食べたりするでしょう。あれですね。
ハッキリ言って嫌いじゃないですよ。もっとダメな映画かと思ったけど、見せる人や作品の方向性を絞ってあって、計算も決まってるし、何よりも小気味いい。
正直、都合が悪い部分は全部すっ飛ばして進むし、頭がからっぽすぎてどこまでバカなんだっていう王子も意味分かんない、もっと言えば、前半は「なんてものを観てしまったんだろう」という後悔もあって、ミュージカルシーンは歌がぜんぜん良くないので、まったく盛り上がらない。
だけれども、後半。映画のトーンがガラッと変わり、予想を裏切るような展開になる。同じようにツッコミどころの甘々映画はたくさんあるけれども、こちらは怒りよりも、好感がたっぷりと持てる映画になってる。お姫様と主人公がいい顔をしていてね。セリフで説明しない演出も実にいい。お姫様は運命だとかを信じていて、主人公の男は弁護士で担当が離婚裁判(さらに子供がいて、奥さんには逃げられた)この設定だけで勝利してたようなもんだ。あとはどのように持って行ってもいい話になるだろうし。ベタなおとぎ話のクリシェと冷た過ぎるほどの現実をいいバランスで組み込んだ事も評価すべきだろう。
おとぎの世界はアニメで、現実世界に来たら実写になるというのも映画にしか出来ないアイデアだし、何よりも現実を知らないお姫様が現実世界に来て、現実を知るという設定がおもしろい。
『魔法にかけられて』は現実逃避をするために夢物語を観る人を突き放しつつ、それでも夢見る事って素敵だよねって言ってるところに共感する。これが全部夢に包まれてると観る価値もないが。女の子には絶対的にオススメ。『恋空』みたいなクソカスバカ映画を観るくらいなら幾分『魔法にかけられて』の方が良く出来てます。あういぇ。