金田一さん!事件ですよ!

1時過ぎに赤玉スイートワインのお湯割りを飲みながら『悪魔の手毬唄』を鑑賞。とにかく観たんだが、『犬神家の一族』もそうだけど、こういう猟奇的な殺人事件って現代よりも戦後の方が全然説得力あるね、それに気づいた。市川崑のモダンな演出スタイルは若干だが鳴りをひそめていて、ストップモーションとジャンプカットを組み合わせたりするのが唐突に出て来たりして、相変わらずだなぁと思う一方で、音楽の使い方は前作よりも弱いし、もっとスタイリッシュにしてもいいよなぁと思ったりもしたが、2時間20分、飽きさせずに持っていく力量はさすがの一言だ。っていうか、観て思ったんだけど、金田一耕助ってさぁ、そこまで有能な探偵じゃないよね?連続殺人事件が起こるのに、それを食い止める事が出来なかったり、しかも呪いとか、手毬唄になぞらえて殺人が起こるところまでたどり着いてるのに、肝心な時にどっか行ってたりして、結局、殺されちゃうし、何よりも、犯人が目の前で自殺しちゃうってどうなん?まぁそれは孫にも受け継がれる能力だったりするんだけど、結局、金田一映画の魅力って猟奇的に人が死んでいって、さらにその死体以上に言葉で言い表せないような血縁関係があるってことに尽きる。

調べたら金田一耕助っていろんな人が演じてるんだけど、石坂浩二って7代目で、その前には高倉健中尾彬も演じてたんですね。驚いた。高倉健は『悪魔の手毬唄』らしくて、今回観たヤツはリメイクだったわけだ。

んで『獄門島』を観る。一般の映画なのに首は飛ぶわ、血は飛ぶわで大騒ぎ。細切れのカット割りはあいかわらずの切れ味なのだが、走って犯人追っかける時の不協和音みたいな、おなじみの音楽が金田一以外で使われてたりして、驚きも多かったが、それにしても、金田一映画の怨恨の凄まじさときたら、半端ねー!どこまで怨めば気が済むんだよ!

というか、金田一耕助ってさ、やっぱりそこまで有能じゃないよね?いや、それね、『金田一少年の事件簿』から思ってたんだけど、あの童貞もさ、連続殺人のまっただ中に居て、止められないし、しまいにゃ犯人自殺させ放題で、『名探偵コナン』でも「推理で追いつめて犯人を自殺させるような探偵は殺人者と変わらねーよ」って揶揄されてましたよ。金田一さん!

犯人もすげぇよ、だって、離れ小島とかだから、犯人だって限られてるのに、その中で堂々と、殺害するし、しかも死体どっかに埋めるとかじゃなくて、吊るしたり、高いところまで運んだり、すげぇ重い釣り鐘の中に隠したり、島に伝わる数え唄や手毬唄に準えたりっつーか、準えてる時点でそれは呪いじゃなくて、人間の仕業に決まってるだろ!金田一は走っても犯人捕まえられなかったり、そんなに推理力がずば抜けてるわけでもないし、なんか天然なところもあるから、最後に金田一さんはすごく感謝されるけど、あれは人柄ですな。人柄にみんな惹かれてる。

ここまで突っ込んどいて何なんだが、その人柄にオレも惹かれている。金田一耕助。すげーおもしれーよ。好きの裏返しというか、なんか観ちゃうのよ。だからこれから全部借りてこようかなぁとか思ってるけど、『八つ墓村』って最初野村芳太郎が監督して、その後のトヨエツのヤツが市川崑なんですね。