13日の金曜日に『13日の金曜日』を観る


10時に起きて、『13日の金曜日』鑑賞。監督のマーカス・ニスペルはあのマスターピースである『悪魔のいけにえ』のリメイク『テキサス・チェーンソー』を手がけ、それが(個人的には)傑作だったので非常に楽しみにしていた。

ホッケーマスクのジェイソンが登場しているので、第一作目の『13日の金曜日』に忠実な訳ではない事は百も承知だったわけだが(第一作目にはあのホッケーマスクのジェイソンは登場しない)、このリメイク版では第一作目で起こった悲劇を冒頭に持って来て、その第一作目の事件から20年以上経った現在が舞台。

「キャピキャピ言ってる若者をぶち殺しまくりたい!」という事と『13日の金曜日』というキャッチーなタイトルから制作が出発したオリジナルの第一作目はセックスをする若者が惨殺されるだけという見世物小屋的な要素の中に、目を離した監視員のせいで溺れ死んでしまった息子に対する復讐劇があったわけだが、今回のリメイク版では、ホントに見ていてむかつくような世の中から抹殺してやりたいチャラチャラした金持ちの道楽息子連中がぶち殺されるだけという非常に小気味良い仕上がりになっている。

出てくる登場人物は妹を捜す兄以外は、とにかく鼻持ちならないほどムカつくクソガキばかり。ホントに「ああこいつらホントにムカつく!とっととぶち殺されろよ!」という事を意識させる演出のオンパレード。学生の分際で勉強もせずに親の別荘で、酒とヤクとセックスに興じるだけの若者というのはオリジナルの第一作目には無かった要素で、その設定だけでオリジナルよりも“ぶち殺されろ度”が高いのに、その中でも別荘を提供した金持ち坊ちゃんが性格も最悪という、二重のムカつきを用意してる当たりも非常に分かってる映画である。

見ているだけで若者をぶち殺してやりたくなる!という欲求を叶えてくれる『13日の金曜日』だが、もう一つ最大の魅力があって、それはゴア・エフェクト。トム・サヴィーニによる低予算ながら気合いの入った仕掛けは血しぶきホラーという特殊なジャンルを生む事になるが、リメイク版でもそれは健在。もちろんオリジナルほどのインパクトは無いが、アバンタイトルでは、ジェイソンが5人の若者を執拗にぶち殺しまくるという大盤振る舞いで、首チョンパから、頭に矢が突き刺さったり、脳天からマチェーテをブッ刺して持ち上げたり、寝袋に入れて燃やしたり、鹿の角に串刺しにしたりと、言う事無し。残虐なシーンを一切見せなかったオリジナルの真逆を行った『テキサス・チェーンソー』と同じく、元々、残虐描写を徹底的に見せるという作品だった『13日の金曜日』はマーカス・ニスペルにとって、その趣味を遺憾なく発揮出来た題材だったのだろう。

そして、忘れちゃいけないのが、やはりおっぱい。とにかく形の良い、バカでかいおっぱいがぶりんぶりん出て来て、どう考えてもシリコン入れてるだろというのもあったが、規制によってなかなかスクリーンで見られる事がなくなったおっぱいをこれでもかと堪能出来るのはこのシリーズの強みだ。

ストーリーは無いに等しく、ホントに若者がジェイソンによってぶち殺されるだけの映画だが、演出はかなり上手く。手持ちカメラの迫力とクレーンショットを緊張と緩和によって使い分けてるのだが、ジェイソンから逃げ回るシーンでもそれをやり、ほんのちょっとだけ逃げ仰せたシーンでもわざわざクレーンを使って映像美を強調。さらに絶妙なライティングによって夜のシーンでも何が起こってるのかが一目瞭然で、月明かりにしては不自然な明るさなのだが、映画的な演出としてはかなりリアルで、全体が明るすぎる夜の絵を作る邦画界もこれを見習ってほしいと思った。

結局、第一作目の続編的な扱いだったリメイク版だが、それでも、おっぱい、血しぶき、セックス、切株描写が大スクリーンで展開されるだけでサムアップ。純愛だとか難病だとかうるせー!とフラストレーションが溜まってる人は必見。とにかくスクリーンを血で染め上げろ!世界の人々の断末魔と阿鼻叫喚がオレは観たいんだ!あういぇ。