映画『へルタースケルター』が楽しみでしかたないのだが……


ビートルズで『へルタースケルター』が一番好きだと公言していたこともあって、前から同名のマンガが存在するということは知っていたし、気にはなっていたのだが、なんとなく買わずに今日まできてしまった。

ぼくは基本的に情報をシャットアウトしてから映画を観るようにしている。そのためか、新作であれが出るこれが出るという情報にもかなりうとい。『幸せの教室』の監督がトム・ハンクスだと知ったのも最近のことだし*1リドリー・スコットがSFを撮っていたなんてのも予告編で知ったくらいだ。なので、当然ながら、原作を知らない場合はその原作についても調べないし、読んだりはしない。

それでも『へルタースケルター』が読みたいと思ったのは、一冊完結のマンガだったということと、小説とちがって、モノによっては映像化したものが原作を下回る率が低いということ*2。それと小説に関しては、例え、その映画に興味を持ったとしても、そのための下準備として読むには時間のコストがかかるというのもある。あと、ブックオフの100円のコーナーでよく見かけたというのも大きな理由のひとつだ。

映画化が決まって、もう少しで公開という段階で原作を買いに行くというミーハー極まりないことをしてしまったわけだが、さすがにあの沢尻エリカで映画化するという話題性もあってか、まぁ、どこのブックオフにもないのだ。一生懸命探してたわけでもないのだが、昨日県内でいちばん大きいと個人的に思っているブックオフに足を運び、ようやく手に入れることが出来た。

それでまぁ、読んだわけなんだけども、これね、これから映画観ようと思って、原作未読のひとは絶対に読まないほうがいい。

だって……これ絶対に映画向きなんだもん!!映画への期待値がグンとあがっちゃったね!参った!

いやぁ、この話を沢尻エリカ主演、蜷川実花監督、浜崎あゆみ挿入歌でやりますか!これ以上のキャストスタッフは望めないんじゃないかってくらい完璧でしょう。

そもそも整形しまくって、かわいいかわいいともてはやされ、雑誌の表紙を飾れば売り上げアップ、歌手デビューも果たし、ハリウッドデビューまでしてしまう女優が、金持ちな彼氏とのデート現場をすっぱぬかれ、そこから精神をおかしくして、テレビで不用意な発言をし、仕事をドタキャンしたりして、干されるって………ほぼ沢尻エリカじゃないか!!*3

予告編にも少しばかり出てきているが、原作での主人公:りりこは感情をむき出しにして顔が変型するんじゃないかというくらい笑い、心の底から泣き叫び、激しく怒り狂う。しかもそれが、コロコロと変わり、ひとつのシーンだけで喜怒哀楽が全部出るようなところもある。あきらかに精神状態がひっちゃかめっちゃかで、そんなことを毎日演じていたら、おかしくなるのも当然といえる。さらに、あれだけマスコミにおいかけまわされ、連日報道され、精神をおかしくしていただろうに、その状況に映画とはいえ、再び投げ込まれるのである。そりゃ役が抜けないわけだ。

りりこは自分ではないスターを演じ、もはや自分という存在もその虚像に食われ、なくなりつつある。姿かたちも人に作られたものなので、言われたことをはいはいとこなすロボットと同じだ。そして、有名人になってしまった彼女はどこにも居場所がなく、孤独と狂気を常に抱えている――――いやはや、絵柄からは想像もできないほどのすさまじい物語であった。アシスタントについていた安野モヨコが後に『脂肪という名の服を着て』という作品を書くが、それも必然だったといえる。

しかもこれは沢尻エリカだけではなく、芸能界という波にのり、のまれ消えていった人などにすべて当てはまるストーリーだ。枕営業や次々に現れるキレイな後輩、そして老い、それによって飽きられていく自分とサイクルの早さ、整形問題など、物語がシンプルなぶん、芸能界に関するイヤな部分をストレートにすべてぶつけている。

原作では三人でなにがしするシーンや女性同士でやんややんやするシーンがあり、さらに主人公は基本的に素っ裸で、これにどこまで挑んだのかというのも見物だが、予告編を見る限りでは、カットせずその辺も描くようで、非常に楽しみになってしまった。

――――が!そんな期待に胸がふくらんでいるところに、それを割ってしまうような衝撃的なニュースが飛び込んできた。

http://shukan.bunshun.jp/articles/-/1340


た、頼むから公開中止だけはやめてくれえええええ!!!!!


ヘルタースケルター (Feelコミックス)

ヘルタースケルター (Feelコミックス)

*1:製作に名を連ねてるくらいなのかなと思っていた

*2:運がいいのか、ぼくはマンガ原作の映画でヒドい目にあったことはそんなにない。いや、探せばヒドい目にあった方が多いのかもしれないが、大旨ぼくは好意的に見ている。なので早いとこ『テルマエ・ロマエ』も観にいかなければならないのだ

*3:整形はしてないだろうけど