クライマーズ・ハイ


9時45分より『クライマーズ・ハイ』鑑賞。

こういう映画を観ると、やっぱりオレには映画監督という仕事は出来ないなと思う。原作読んで無いけど、原作読んで、苦労すら感じられる脚本を書けるとは思えないし、役者からアレだけの演技を引き出せる自信もないし、ましてや、あんな映像を作り出せるとも思えない。『犯人に告ぐ』以来のプロ仕様の邦画。間違いなく、今観るべきな映画の1本だと言える。

あれだけのテンションをラストまで持続しつつ、途中、現在のシークエンスとカットバックさせる事で、緊張感を緩和させる効果とクライマックスをいい具合に間延びさせるという効果があり、それをあえて、必要不可欠なシーンで作り出す技術に脱帽。

しっかりとした画角は日航機の墜落現場や主人公の心情を表すシーンだけに使い、それ以外は現場の騒々しさを表現するだけに固執したブレたカメラが映画全体のリズムを作り出す。臨場感。『クライマーズ・ハイ』はこの言葉だけに尽きるだろう。

正直、深く描き切れてない部分も多く、安西のシーンや佐山のシーンは絶対に原作ではもっと多く描かれてたはず。あと山崎努の社長とか、悠木自身の過去や家族の事ももっともっと原作ではちゃんと描かれてるはず、そこに不満は無くもないが、逆に原作への興味がわいたので良しとする。

役者は全員完璧な仕事っぷり、山崎努緒形拳の方が合うような気もしたが、個人的に『復讐するは我にあり』のイメージがあったので、山崎努もプロの仕事をしてるなぁと思う。

しかし日航機の墜落現場を再現したあのシーンはホントにすごいとしか言いようが無い。いい金の使い方をしたと思う。むしろああいう金の使い方を日本映画はもっともっとすべきだ。やっぱりいい美術があって、いい衣装がないとね。役者が良いモノを出す環境を作り出さないと。

あの映画の中でペットボトルが出てきたんだけど、まだ、あの時代にはないだろうと観てる最中は思ったが、なんとペットボトルって77年に作られていて、82年にはジュースなんかに使われてたらしい*1へぇ、知らなかった。

意外と説明がない映画なので、結構頭を使わないと置いて行かれる感もあるが、見応えアリの力作。これから原作もちゃんと読もうと思います。