2008年で最も期待を裏切った映画は?


自分は思ったよりも世間とズレてるんだなという話。

2008年で最も期待を裏切った映画と言われると何が思いつくだろう?人によっていろいろあるかもしれないが、ネットの評判やら、マイミクさんの日記など読んだりしてると、『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国(以下、インディ4)』と『スピード・レーサー』の2本の酷評が目立つ。恐らく2008年で期待値が最も高かった2本だったはずだ。

んで、この間、職場のマネージャーからもらった映画秘宝の2008年の7月号を読み返してみると、2008年夏、最強映画決定戦!の特集で、期待する映画の最初にあがってたのが、『インディ4』で、なんと2番目にあがってたのが『スピード・レーサー』だった。前者はあのインディアナ・ジョーンズの19年ぶりの新作。後者はウォシャウスキー兄弟の新作にして『マッハGOGOGO』の実写版。確かに期待するな!という方が無理である。『インディ4』に至っては、映画秘宝の2008年のワーストに入ってたので、よほど期待を裏切った映画だったに違いない。というかダメ映画だったんじゃないかという話も。

なぜ、違いないと書いたのかと言うと、私はこの『インディ4』と『スピード・レーサー』は去年のベスト10に入れようと思ったくらい好きな映画で、2008年のベストムービーにもランク圏外ながら、ちゃんと好きな映画のところに入れている。しかも『インディ4』は『インディ・ジョーンズ』の中でも2番目に好きだったりして、「褒め過ぎだろ!」と言われるかもしれないけど、やっぱり興奮したし、おもしろかった。職場でも『インディ4』はかなり嫌われていて、「オレ的には大分傑作だったっすねぇ」と言うと、ものすごい目で見られたもんだ。いや、青二才のくせに勝手な事書いてすいませんというのが本音だったりもする。私は世間的に酷評されてる映画を傑作と言ってしまう節があるのかもしれない。逆に映画秘宝でベストだった『スパイダーマン2』が私の中でワーストだったりもして、やっぱり何かずれてるのかも!?と思ってしまったりする。

まぁ『インディ4』の場合は脚本が悪いし、あのオチが許せないとか、まぁいろいろあるんだと思うけども、『スピード・レーサー』の場合は画面がゲームみたいでチカチカするだの、『マッハGOGOGO』じゃないだの、全体的に「オリジナルを愛する世代にすれば、ゲームっぽくしてしまったのが気に喰わない」と言う感じの意見が目立つ。

私が『スピード・レーサー』を評価する最大の理由は、実はそこにあって、「マリオカート」や「F-ZERO」をまるまる実写化し、しかもそれを『マッハGOGOGO』という筐体の中でやってのけた事が偉いと思ったからだ。アルトマンが『ロング・グッドバイ』の筐体で『第三の男』をやったように、ウォシャウスキー兄弟は『マッハGOGOGO』をぶち壊して、ゲームの実写化に努めた。スピード感やループするコースデザインなんかは「F-ZERO」だろうが、ジョン・グッドマンはマリオの格好をしているし、コースもワリオスタジアムだったり、シャーベットランドだったり、レインボーロードっぽかったりして、床のスイッチを踏むとアイテムがゲット出来たりするとか、ドギツイ色彩感覚も画面のチカチカもゲームキューブの配色だったりして、とにかく「マリオカート」を連想させるもんが次から次に出てくる。

もちろんゲームをしない人にとっては、どうでもいい絵作りだし、物語の転がし方もどうでもいい感じだし、ガキがおもちゃ箱をひっくり返したような映画と言われればそれまでで、「マリオカート」っぽくしたところで「だから何なの?」という話かもしれない。もっと言えば、ホントにウォシャウスキー兄弟の中で、「こういう絵にしたい!」というのが、たまたま「マリオカート」とかぶっただけの話かもしれないし(それでも、ジョン・グッドマンのマリオはどう説明するのだ?)

んで、『スピード・レーサー』は、確かにオリジナルを愛する人からは酷評されるだろうし、その理由も納得するのだが、じゃあ、逆に言えば、オリジナルを知らない、もっと「マリオカート」に触れてる世代から評価を得てると勝手に思っていた。私と同じような感覚で好きという意見ももっとあっていいはずだ。ところが、どうも、それも違ったようだ。というのも、この間、こんな事があった。

最近、年に1本も映画を観なかったヒラシタ*1がブルーレイとプラズマTVと5.1を導入して、映画を観まくっている。んで、ある日遊びに行ったら『スピード・レーサー』を観たと言われたので感想を聞いた。

「なんかブルーレイで観た?」

「昨日、『スピード・レーサー』観たわ、ブログにも書いたけど」

「最近、読んでなくて、んで、どうだった?」

「まぁまぁ」

「あれマリオカートの実写化みたいですごかったじゃん、ワリオスタジアムも出て来たし、主人公の親父なんてマリオそのものみたいな格好だったし、床のスイッチ踏むとアイテムをゲット出来るとか、そのまんまだったじゃん」

「あ、言われてみると、、、」

ヒラシタは私以上に「マリオカート」を愛する男である。私は『マリオカートWii』を買わなかったが、ヒラシタは買った。しかも『スピード・レーサー』はSFCの「スーパーマリオカート」の要素は一つもなく、色彩からコース設計も含め、GC版の『ダブルダッシュ』にかなり近い。ところがヒラシタは気づかなかった。いや、無理もない、なんとネットで検索したら、同じような理由で評価してたのは、このお方の記事*2だけで、あとは予告編が「マリオカート」っぽいなぁとか、本編を観てない意見の方が多かったりした。

つまり『スピード・レーサー』はオリジナルに思い入れが強かった人の期待を裏切っただけでなく、「マリオカート」に触れてる世代にも相手にされなかった映画だったのだ。現に予告編で「え?」と思った人も多かっただろうし、アメリカ版のタイトルを持って来てしまった事から特に目立つ事もなく、『スピード・レーサー』は見事にコケた。東京でも公開から一週間で二番館に落ちたと聞いた。アメリカでも大ヒットにはならなかったようだし*3映画秘宝でもワーストにあげてる人がちらほら居たので、やっぱりダメな映画なのかもしれない。

ここまでダメな要素が分かっていたとしても、それでも私は『スピード・レーサー』がやっぱり上記の理由で好きである。ぶっちゃけDVDを買おうかなと思ったくらいだった。

つーわけで、最終的に何が言いたかったのかというと、映画に関してだらだらと偉そうに感想を書いてるけど、私の感想はまったく当てにしない方がいいです。なんと言っても、全世界から嫌われてる『スターウォーズ/エピソード1』が『スターウォーズ』シリーズで一番好きと公言してる私ですからっ!!あういぇ。

スピード・レーサー 特別版 (2枚組) [DVD]

スピード・レーサー 特別版 (2枚組) [DVD]

インディ・ジョーンズ/ クリスタル・スカルの王国 スペシャルコレクターズ・エディション 【2枚組】 [DVD]

インディ・ジョーンズ/ クリスタル・スカルの王国 スペシャルコレクターズ・エディション 【2枚組】 [DVD]