演者の楽しさがこちらにも伝わる『ローラーガールズ・ダイアリー』
『ローラーガールズ・ダイアリー』をレンタルDVDにて鑑賞。
新作2泊3日でレンタルしたが、観たあとすぐにこのDVDが欲しくなった。とてもキュートで抱きしめたくなるほどに愛おしい……そんな映画である。恐らくこれから何回か観るだろうし、作品のおもしろさとは別に、またあのローラーガールたちに逢いたくなってしまうだろう。観てる間の多幸感たるやハンパじゃなく、なんでこれがブルーレイで出てないのか不思議なくらいだ。
ストーリーはホントによくあるような王道中の王道である青春ものである。普遍的な家庭で育った普遍的な能力を持つ女の子が、普遍的な田舎でくすぶってるところ、ローラーゲームと出会ったことで才能を開花し、そこで様々な人に出会っていろんな経験をし、生き方を見出していくというもの。
なぜここまで王道な作品に心を掴まされたかというのにはいくつか理由があるが、決定的なのはずばり監督ドリュー・バリモアの存在だろう。キャメロン・ディアスが『チャーリーズ・エンジェル』に出た際、製作もしていたドリューを評して「一緒に仕事をしていて楽しい」と言ったことがあったが、恐らく初監督作を撮るにあたり、その人柄が存分に発揮されたのではないかと思われる。作品を観ていて一番に感じたことは「出演者全員がとにかく楽しそうに演じているなぁ」ということ。演技を越えた何かがフィルムに焼き付けられたとき、観客は「おもしろかった」以上の、映画でしか得られないカタルシスを全身で感じるのである。
今回ローラーゲームという特殊なスポーツを撮影するにあたり、出演者は全員ローラーブートキャンプと称した合宿に参加した。特に主演のエレン・ペイジは脚本を読み、ドリューと役作りについてディスカッションしていくなかで、自分のキャリアの中でも重要な作品になると感じ、その前から数ヶ月にわたる特訓をしていた。劇中のローラーゲームのシーンはすべてノースタントで出演者本人が演じている。そのおかげでカメラはゲーム中のエキサイティングな瞬間をかなり寄って撮影することが可能になり、彼女達の表情のひとつひとつをスピーディーな動きの中で的確に捉えることが出来た。このキモとなるいくつかのローラーゲームのシークエンスはすべてクライマックスと言ってもいいくらいの完成度を誇っている。
ドリュー・バリモアはローラーゲームのシーンについてこう振り返る。
「大混乱してるのも、もみくちゃにされてるのも、全部本物のキャストなの。それが皆を結束させた。だからスクリーン上で見る友情は本物なの。こういった映画には、そういう経験が不可欠なのよ」
メイキングなどは見てないのだが、監督であるドリュー自らもローラーゲームに参加したことで、現場を盛り上げていったのは想像に難しくない。確かに展開はベタだし、これ!と言った大きな挫折もないし、主人公の設定などに嫌みを感じるかもしれないが、完璧なキャスティングや音楽の使い方も含め、ドリューのセンスと人柄を感じることが出来た愛すべき一作。
ごちゃごちゃと書いたが、この作品に関しては彼女達のこの表情がすべてを物語ってるんじゃないかなぁと思った。
必見!あういぇ。
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参考資料:『ローラーガールズ・ダイアリー』レンタルDVD特典、プロダクションノート