『イーグル・アイ』と『ディスタービア』


8時より『ディスタービア』鑑賞。D・J・カルーソ監督&シャイア・ラブーフ主演の映画。

ディスタービア [DVD]

ディスタービア [DVD]

教師を殴って、自宅軟禁処分となった主人公がご近所さんを覗いて、んで、お隣さんがもしかしたら、殺人犯かもしれねーっていう、、、、、

これ、誰がどう見てもヒッチコックの『裏窓』なのだけれど(『裏窓』知らない人はすぐに検索だ!)まぁ、そんな事はどうでもいいとして、

おもしろいなと思ったのは、主人公達が1つの行動をする理由がものすごく丁寧に説明されてて、妙に説得力があった事。

例えば、現代で『裏窓』的なシチュエーションを作るとすると大変だ。まず、家から出れないという状況。これが大変だし、仮に出れない状況を作ったとしても、退屈だから、ご近所さんを覗こうという気には絶対にならない。むしろ、外に出かけるよりも、家でDVD観たり、ネットしてたりする方が楽しいと考える人もいるからだ。

ディスタービア』に至ってはもっともっとすごい。X-BOXでのオンラインゲーム。iTunesのダウンロード。Mac。携帯。パソコン的な事に強い、言えばオタクのような青年が主役で、いくらでもヒマつぶせるだろ!?という感じ。

でも、ちゃんとそれらがダメになってる事を簡潔にさらに細かく説明していて、おもしろかった。別に映画の中だから、そんなのはどーでもいいだろという感じなんだが、恐らく、この脚本を書いた人はものすごい几帳面な人なんだろう。女と別れるときも、「なんで別れるのか理由を教えてくれ!」って言いそう(笑)

だから、主人公が、なぜ教師を殴ったのか?というのにも理由があるし、なぜ家から出れないのか?というのにも理由があるし、なぜ隣人が殺人犯かもしれないと思うのか?にもちゃんと理由がある。

さらに説明しなければならないシーンの演出がすごくて、ホントにまったく知らない友人を呼んで、その友人に全部説明するという、ある意味でまっとうな説明の仕方をしていておもしろい。

だから破綻してるようで実はしっかりした部品でくみ上げられてるわけだ。もちろん、つっこみどころも多々ある。主人公は明らかにオタク青年なのだが、そんなオタク青年が、ナイスバディで知的な美女とフォーリンラブなのだ!思わずありえねーと言ってしまうが、これは男の夢だ!脚本家の妄想だ!最高!

『裏窓』のパクリと言われてるらしいが、個人的にそれはまったく思わなかった。それは何故かと言うと、明らかに『裏窓』よりもハイテクだからである。
使ってる物がiPodに携帯にMacに、ありとあらゆるデジタルのマシン。しかもそれが手に入るもんばかりだから、非常に共感しやすい。なんで軟禁中なのに、そんなものが手に入るんだよ!というツッコミは置いておいてください。

シャイア・ラブーフの演技が素晴らしいのはいわずもがななのだが、それよりもデビット・モースが素晴らしい。母親役のキャリー・アン・モスも母親のオーラが出てて、適役だと思った。ちょっと前まではトリニティーだったのだが、彼女は元々こういう役の方が似合ってたのかも。

窓から覗くというシーンが肝になるだけに、そのシーンでの光の使い方やカメラアングルは凝っていて、特に照明の使い方が見事。ビデオカメラ片手に行動するシーンは思わず手に汗握った。

サスペンスというのは、「あー!そんな事したら危険だよぉ!」って言いながら観るのが一番。バカでラブストーリーで青春ものでスリラー。これヒットしないわけない。

悔しいのは、これDVDじゃなくて、やっぱり映画館で観たかったよぉ!

絶対に1200円でビール飲みながら観て、おもしろかったぁ!って言って帰って寝るっていう映画だからさ。『バンテージ・ポイント』と一緒。楽しんだもん勝ち!

10時半より『イーグル・アイ』鑑賞。監督と主演が『ディスタービア』のコンビ。

一般人が携帯電話の指示通りに動かなければならないという、いわゆる観客巻き込み型のジェットコースタームービー。ぶっちゃけ途中で話の展開が読めてしまったのだが、それもそのはずで実は映画に取り込まれてるパーツは古典的なものばかり。『北北西に進路を取れ』や『2001年宇宙の旅』が下敷きになってるが、一般人が息子を人質にとられて、携帯電話の指示に従って、走ったり、盗んだりするって…

『ニック・オブ・タイム』ですやん!

なんか歴史から忘れられてる感がある映画だけど『ニック・オブ・タイム』はここにも影響があったか!恐るべし!


何もないところで電線がぐおー!って襲ってくるところは『北北西』のトウモロコシ畑を連想させたりして、他にも見せ場がてんこもりで、ハラハラドキドキの展開なんだけど、一番感動したのは『2001年』でHALが読唇術で会話を盗み聞きするシーンのオマージュ。機械も進化すれば、シーンも進化するのかと感動。というか、他にも元ネタ的なもんはいっぱいあるはずなんだが、ものすごいスピード感でそれを考えさせるヒマもない映画だったんで、やっぱり楽しみましたよ。映画は違えど『フォーン・ブース』や『バンテージ・ポイント』と同じように勢いとノリとスピード感。

これは絶対に、レイトショーで1200円でハラハラしながら観て、喉からっからにして、帰って、ビールがぁぁぁって飲んで、寝る映画だ!

絶対にDVDダメよ!映画館で観なきゃダメ!