人を裁けば自分も同様に裁かれ、人を量るはかりで自分も量られる


パニッシャー:ウォー・ゾーン』をDVDで鑑賞。新潟で上映してなかったようだ。

「『パニッシャー』が観たいんですよぉ」方々で言っていたら、「え?ドルフ・ラングレンの?」と絶対に返されてしまい、何でだと思っていたら、実は原作がマーベルのコミックで三度目の映画化だと知った小生――――

ストーリーは超が付くほどシンプルなもので、昔、家族を殺された男がパニッシャーと名乗り、法で裁けない悪人を撃って撃って撃ちまくる(だけ)という映画。

ところがだ、シンプルながらもこの映画は映画にしか出来ない表現が特出している。ペキンパーよろしくの横一列になってスローモーションで歩くというカットやジョン・ウーばりの2丁拳銃という男の子大好きな要素だけでなく、内容も知らないで『バトロワ』にブーブー言う政治家先生やこんな低俗な番組子供に見せられません!と宣うくそファッキンPTAに顔射するような、狂いに狂ったウルトラゴージャスな一大凶悪グラン・ギニョールを見せたことは特筆に値する。基本的に頭部はずがーんと粉々に破壊され、肉片や脳ミソがぐっちゃんぐっちゃんに飛び散り、血はぶしゅぶしゅ吹き出し、生きた人間を文字通りがっつんがっつん喰らったり、ワンパンチで顔面をどばーんと貫通したり、足がショットガンでばちゅん!と吹き飛んだりという人体破壊がこれでもかと画面を覆い尽くす*1

ネオンの十字架が映されたり、教会で「人を裁けば自分も同様に裁かれ、人を量るはかりで自分も量られる」という聖書の文句を諳んじてみたりしてるが、それは「とりあえず、神の裁きっぽくしてみました」な雰囲気だけ。人間の本質は暴力だけど、神のイメージにしないと正当化出来ないんだろ?と言わんばかりに人が虫けらのように死んで、死んで、死んで、死にまくるハードゴア!ジジイも女も悪人というくくりでもって容赦なく殺され、無防備で丸腰の男に対しても躊躇無く引き金を引く!

こんなスペシャルな映画を監督したのは、監督二作目となるレクシー・アレクサンダー。写真を見てもらえばわかるが…

なんと女性なのだ!イケメンを観てうっとりするだけのパープリンがいるように、人体破壊に魅せられた女性もこの世にはいるのである。

もちろん人体破壊描写だけでない、主人公の気持ちが揺らいでるシーンではカメラが不安定に揺れ続け、シークエンスごとに色を統一する画面設計、『ブレードランナー』のように光と煙を使ったスタイリッシュな映像表現も見逃せない。さらに「地獄で会ったらケツ喰らわせてやる」「法には欠点がある」「一緒に来たけりゃ、バッヂを外してこい」「勘弁しろよ!脳ミソが飛び散ったぞ!」といったかっちょいいセリフもいちいちグッとくる。

というわけで、おっぱいもなしに暴力描写だけでR-15を見事に勝ち取ってしまった『パニッシャー:ウォー・ゾーン』は新世代の人体破壊映画として、圧倒的な評価を与えて申し分無い。新たな才能の誕生に立ち会えた事は映画ファンとして嬉しい限り。観る人を選ぶかもしれないが、さいこー!ちょーさいこー!!いえあ!!レクシー・アレクサンダー、あんた最高にイカした女だぜ!と、いの一番に頭の悪い感想しか飛び出さなかった事はここだけの秘密だ、あういぇ。

あと、あのマークを観て昆布先生(id:cinemathejury)が頭から離れなかったのも内緒だ!

関連エントリ

パニッシャー:ウォー・ゾーン』極上の暴力と殺戮! 映画の本質これ暴力也!――――DrasticDramatic
http://d1953coldsummer.blog64.fc2.com/blog-entry-79.html

*1:あとはカンフーがあったり、顔面を引き裂かれた男がレザーフェイスみてーになったりとか特出すべきところはいっぱいあるんだけど割愛