車があっても、なくても…
子供の頃――――というか今もだけど、ジャッキーが大好きだったぼくは、親にせがんで映画館に連れてってもらい、ジャッキーの映画をよく観た。当時は入れ替えがなかったので、2回続けて観ることもあった。もちろんレンタルビデオでも観てたのだが、ジャッキーの映画はいち早く観たい!というのと、スクリーンで映画を観る事はイベントの一つという認識があったのかもしれない。
当時映画館は古町か万代のバスセンターの近くにあり、幼稚園とか小学生くらいだとそこへのアクセスが非常に不便だった。自転車で行くにはちょっと遠いし、車で行って停めたら駐車料金がかかるので、バスを使わなければいけなかった。さらに正月映画として封切られると、雪が難敵となり、車で行くのすら面倒になる。それでも『ファイナル・プロジェクト』とかを観たくて、バス代を浮かすために大雪の中を歩いて帰ったりもした。とにかく新潟で映画を観に行くということはかなり面倒な作業だったのだ。
そこから10年以上経ち、ぼくにとっての大事件が起きる――――シネコンの登場である。
ショッピングモールが郊外に出来はじめたということも加味されて、映画館といえば商店街のアーケードにあるものという認識をシネコンは大きく覆した。1000台以上停められる駐車場は当然のごとく無料で、屋上に停めれば、車から歩いて数十秒のエレベーターに乗って劇場の入り口まで一直線。あげくの果てにスクリーンが8つ、ロビーはヘタなライブハウスよりも広く、500人以上の人間がなだれこんでもそこまでのストレスは感じない。スクリーンの椅子は最高の座り心地で、列の感覚もわりかしゆったりとしている。しかも2010年現在新潟には市内に4つもシネコンがあり、メジャー以外の映画もポツポツと来たりするので、観たい映画が観れない!という時もたまにはあるが、まぁ新潟は映画を観るには最高の環境であるということは断言してもいいだろう、他の県もわりかしそうだと思うが。
そう考えると東京の人は大変だ。ぼくも今までに何回かオフ会でフィルムセンターや渋谷のシネマヴァーラなんかに行ったが、ヘタしたら電車で数十分かけて行き、そこから歩いたりもしなければいけない。天気が悪ければ傘も差さなきゃいけないし、シネマヴァーラなんかはいいとしても、あるシネコンに行った時は、ぼくが思ってるシネコンのイメージとはまるで違ったので愕然とした。チケット売り場の小ささやあまりの狭さもさることながら、そこに人がごった返すからたまったもんじゃない。スクリーンもスタジアム形式ではなかったために、首は痛くなるし、結構それがストレスに感じた。
ただ、東京の人に「いやぁ、東京で映画を観るのは一苦労ですねぇ」と言うと、決まって「まぁ、でも、それが結構普通の感覚だからねぇ」と返してくる。まぁ、そりゃそうなんだが。
この人の言う通り、もしかしたら東京でも車なしはキツいのかもしれない。駐車料金は狭いうえに高いし、無いところもあるし、首都高は高速道路なのに止まるし、基本的に渋滞だけれども、それでも車なしはキツいだろう。例え電車が数分に一回来ようとも車がないと不便なのかもしれない。
それでも、それでも、映画を観るということに関していうと、車があったとしても東京はなかなかキツいと思う。ぼくみたいに映画を観るということが生活の中で重要なポジションにある者にとっては、車があるとかないとかいう以前の話だ。その辺地方はホントに恵まれている。
まぁ、とどのつまり、車があってもなくても、東京に住む映画好きの人はホントに偉いなぁってことですよ。だって、レンタルとかになるともっと大変じゃんねぇ。その辺どうしてるのかしら?あういぇ。