ハングオーバーとは二日酔いの意味である

ハングオーバー 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』をDVDで鑑賞。

結婚を二日後に控えた花婿ダグは教師と歯医者をやってる親友二人と花嫁の弟を連れ、独身最後のパーティーを行うためにラスベガスにやってきた。超豪華なスイートルームに泊まり、最高に楽しもうとホテルの屋上で酒を飲み交わす――――が、その翌日史上最高の二日酔いになってしまい、その日の夜の記憶が1nanoもなくなっていた。とりあえず結婚式に向かおうとダグを探すが、なんと部屋中探しても彼が見つからない!なんとか結婚式に間に合わせるため、3人は数少ないヒントを頼りに消えた花婿を追ってラスベガスを駆け回る!というお話。

二日酔いになってしまって、目覚めたら、その夜の記憶がなくてさぁ大変!と言えば、SABU監督の『MONDAY』を思い出すが、持ってたアイテムをひとつひとつ取り出すごとに記憶を取り戻して行き「偉いことしてもーたー!」という『MONDAY』に対し、『ハングオーバー』はホントにちっともその日の夜のことが思い出せないという設定になっている。起きたら二日酔いでその日どうやって帰ったか記憶がない!というのはホントに誰しもが経験してることだろうが、これを映画でしっかり仕掛け満載にしてやると、上出来の娯楽作になるんだということが証明された。二日酔いという言葉で柔らかくなっているが、これはジャンルとしては記憶喪失ものであって、観客巻き込み型の映画とも言える。その点において『ハングオーバー』は『北北西に進路を取れ』に負けずとも劣らない傑作である。

なんと言っても、この作品がすさまじいのは、これ全部回収するのか!?というくらいの小ネタの数々だ。目覚めたら記憶こそなくなっているが、泊まっていたスイートルームはめちゃくちゃで、何故かトイレにはトラがいて、別な部屋には赤ちゃんがいる。歯医者の歯は一本抜けていて、教師の腕には病院に行った形跡があり、パトカーを盗んでホテルに預け、しまいにゃ歯医者はストリッパーと結婚までしていて、べガスに来る時に乗って来たベンツのトランクには素っ裸の中国人がいるのである。

どう考えても、まともな夜を過ごしたとは思えないくらいの複雑な小ネタだが、自分たちがしでかしたことを辿って行く度にこれらの伏線をひとつひとつ回収していく展開がとにかく素晴らしい。

ほんの些細なことが思わぬ方向に転がって行くコメディということで『スーパーバッド』にも似ているが、こちらはその思わぬ方向自体がすっぽ抜けていて、それを辿るという作品なので、まったく新しい作品として観ることが出来るのである。

もちろん脚本が良く出来ているだけでなく、本物のラスベガスの一流ホテルでロケをしたことにより浮世離れした設定に一本芯が通すことが出来た。無名なキャストで固めたのも功を奏し、ヘザー・グラハムマイク・タイソンなどのゲストが良いスパイスになっていることも成功の要因を担っていると思う。



しかもヘザー・グラハムはおっぱいも出してるぞ!


というわけで、金をかけなくても凝りに凝った脚本と個性的なキャストを揃えれば良い映画は出来るという見本のような作品(と言っても日本映画に比べれば、遥かにバジェットは高いんだけども)。記憶をなくすほど飲んで二日酔いになってしまった人たちすべてにおすすめしたい。あういぇ。

ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い Blu-ray & DVDセット(初回限定生産)

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音楽も素晴らしい!

Hangover

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