2010年に観た映画を全部ふりかえる/その2


5月
(500)日のサマー/ウディ・アレンの『アニーホール』を今作るとこうなるのか!?という感じでおもしろかった。一方的に別れを告げられた後に恋愛を脳内で反芻するとこうなりますみたいな時間軸の並べ方もいいし、何よりも男がズルズルと逆恨みでもって恋愛を引きずる気持ち悪さみたいのもちゃんと描けていてよかった。

6月
告白/思想的にアレだとか、設定に無理があるとかいろいろ言われてるが、ぼくとしては原作で決定的に足りなかった部分を映像で補填してるだけでなく、これはちょっとなぁっていう部分もバッサリ削っていて、かなり監督はいい仕事してると感じた。ただラストに関しては原作派。それでもこのご時世にこれだけ冷たい無慈悲な物語も珍しい。

アウトレイジ/ライミが『スペル』を、スコセッシが『ディパーテッド』を撮ったように、“あの”北野武が帰って来たぞ!という感じ。正直、彼の映画の中でもかなり好きな部類に入る。なんの前触れもなくドーン!とかます暴力と痛さの描写にノックアウト。北野組初参戦の役者たちも良い感じ。唯一スクリーンで二度観た映画だよん。

アイアンマン2/ベストに入れてる人も多い気がしたが、個人的には「楽しんだけどまぁDVDやBDで見返すほどではないかなぁ」という感じ。スカヨハはよかったよ。うん。

プレシャス/傑作。これが作られて注目されるというアメリカ映画の懐の深さみたいのを感じた。アメリカの貧困層を一手に体現することとなったガボレイ・シディベのちょーナチュラルな演技がぱねぇ。

ザ・ウォーカー/結構評価低いと思うが個人的にはかなり好き。『ザ・ロード』が売れたからあれにアクションぶちこんじゃえ!みたいな企画の立ち上がり方も良い。何故主人公がバッテリーを定期的に購入してまでiPodをあそこまで大事にするのか?という伏線の張り方も素敵やん。ただしタイトルダサイ。ブック・オブ・イーライでよかったんだよ。

7月
踊る大捜査線3/今年のワーストの一本。みんなが思ってる以上に酷い映画だったよ。ほんとに。

鉄男 THE BULLET MAN/破壊的なまでの映像と耳をつんざくような音は絶対にスクリーン向け。いろいろと文句言ってる人多いけどかなり好き。というか鉄男をスクリーンで観れた!という感動の方がでかい。

トイストーリー3/傑作。今年を代表する一本といっても過言ではない。ベストにじゃんじゃかあがってくる理由も分かる。AKBで言えば前田敦子みたいな映画。個人的にはロッツォのキャラクターがかなり好き。彼の立場になってみると彼は終始彼なりの筋を通していて、さらに哀しい過去がある。もっとロッツォのことをかわいがってあげてよね!

プレデターズ/いきなりパラシュートで落下してスタートするという展開がすごくおもしろかった。ま、でもそんだけかなという気も。

アデル/世間的にはワーストの部類だろうが、実はかなり楽しんだクチ。予告編やティーザーなどからはまるで想像出来ない、女インディ・ジョーンズがミイラを巡ってドタバタと駆け回るスラップスティックコメディ。結構燃えるシーンも多かったし、オープニングの処理の仕方はガイ・リッチーテイストでかっこよかったよ。

借りぐらしのアリエッティ/『ポニョ』が14歳になったような映画なのだが、そのわりに主人公たちが自分勝手すぎて、それが理由で一族が滅んでしまうかもしれないという部分にどうしても納得出来ない。これが8歳だったらいいんだけど、14歳に引き上げられるとなぁ……

エアベンダー/シャマラン好きということを差し引いても好きな映画。ベッソンが『フィフス・エレメント』を撮った時の感じに似ている。全編にあふるる『ドラゴンボール』イズムに感動したっ!

必死剣鳥刺し/傑作。山田洋次時代劇に対する反発とそこから生まれた真新しさみたいなのには心底感服する。やっぱり時代劇はこうでないとね。あんな無茶苦茶なことしてるくせにさ、主人公報われるみたいなのって納得行かないんだよ。キムタクのアレとかさ。いや、まぁ、あれはあれで好きなんだけどね。因果応報って言葉を知らないのかねぇまったく。

インセプション/今年公開された映画の中でも最重要作品。なんつってもこの映画の魅力はひとつの目的に向かって3つのクライマックスが同時に進行していくということ。しかもそれが迫力のカーチェイスと潜入モノと山岳アクションというタイプの違うモノで、それはあの複雑極まりない設定だからこそ出来たことだと思う。それだけでなくカットが切り替わると次の場面になっているという古典的な手法が「ここは夢か」というトリックに使われてるあたりもうまい。間違いなくノーランの最高傑作だし、彼の集大成的な作品。

8月
ソルト/なんも情報を入れずに観たのですごくビックリした。こういうドンデン返しの連打なら大歓迎。あとジョリ姐は男をぶん殴る役をやり続けるべき。

ヒックとドラゴン/大傑作。あまりに出来が良すぎてベストにあえて入れなかった。AKBで言えば大島優子的ポジションの映画。バイキングとして生まれながらその才能には恵まれず蔑まれて来た男の大逆転劇という部分にひたすら燃えただけでなく、ドラゴンと育む友情にも泣かされた。

ベスト・キッド/正直、オリジナル版より好き。『新宿インシデント』を経たジャッキーの引き算の演技がとにかく見事。ジェイデンくんもすこぶる魅力的で、この映画を企画したウィル・スミスにはひたすら感謝のことばしかない。

魔法使いの弟子/そこそこ楽しんだ気がする。ジェイ・バルチェルの役がとてもよかった。

特攻野郎Aチーム THE MOVIE/すんげーおもしろかったし、興奮した。アクション映画ってこうじゃなきゃダメよねって感じで、無茶苦茶やってる感じもよかったし、ホストまがいのバカヤローが一切画面に映らないのもホントによかった。男臭さマックス!