『マチェーテ』をDVDにて鑑賞。
極太の麺にギットギトのとんこつスープ、山盛りの野菜にニンニクと背脂たっぷりという二郎のようなラーメン屋があったとして、身体がそういうラーメンを欲しているぼくはその店でお腹いっぱいラーメンをたいらげる。すると壁に「姉妹店登場!近日オープン!」というポスターがデカデカとはられていて、その姉妹店のメニューも写真でしっかりと紹介されている。
姉妹店というだけあって、そのポスターだけの印象だとじぶんが今しがた食べたラーメンと似ているかもしれないと思うわけで、その時点である程度味の予測はつく。いざその姉妹店がオープンしてラーメンを食べたときに、ホントに自分が思ってた味/食べたかった味が来た場合、その感想は二つになる。それは「自分が食べたかった味だった!」か「想像通りの味でそれを越えてくれなかった」
――――『マチェーテ』は『グラインドハウス』という作品におまけとしてくっ付いていたフェイク予告編を映画化してしまったというスピンオフの度を越したような企画であり、まさに『グラインドハウス』という映画から派生したノリの作品であった。予告編での見せ場がそのまんま映画の見せ場になっており、本編のドラマ部分がいささか蛇足になってる部分もあるが(それほどまでに予告編がすさまじかったと言える)、それでも『マチェーテ』という作品は「自分が食べたかった味がそのまんま来た!」であり、ぼくは多いに満足したクチだ。
そもそも、派手なアクションとバイオレンスとエロと笑いが過剰なまでに盛り込まれており、スピンオフでありながら『グラインドハウス』よりも本格派。だからと言って肩に力が入ってるわけではなく、スタッフ、キャストが多いに楽しんでる様子も伺えるくらい軽やか。政治的なメッセージも含め『ローリング・サンダー』に『デスペラード』のノリを加えたような感じで、いささかギトギトしていた(ように感じていた)前作『プラネット・テラー』が実はあっさりだったことにも気付かされた。それほどまでに『マチェーテ』は濃厚なグラインドハウステイストだった。
超豪華なメンバーが集結し、デ・ニーロやセガールはノリノリ。女性陣はそのコスプレも含めフルスロットルで健闘していて、噛み砕いたラス・メイヤー作品の女優のごとく目にも楽しい。そんな中主役にぼくらのダニー・トレホおじさんを配置するあたり、ロドリゲスはよーくわかっている。実際監督にはロドリゲスの他にもう一人クレジットされてるため、ふたりであーしようぜ、こーしようぜとキャッキャ言いながら撮影していたのだろう。
あいもかわらず好事家のみが絶賛するような感じであるが、ずっこけるようなクライマックスも含めて、その著しくバランスを欠いたところもニヤニヤと楽しませてくれるそんな作品だった。『グラインドハウス』が好きならばおすすめしたい。
――――あ、ちなみにそのラーメンを食べた時に「想像を下回ってた…」という人がいるのも当然であり、それがこの映画の感想にそのまま結びついてる人がいてもおかしくないのである。あういぇ。
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