しれーっと『アマルフィ』観ました。
「あんたが居るってことは、派手な事が起こるってことだろ?」
言わずと知れた『アマルフィ』の名セリフである。予告編の一番盛り上がるところで無音になり、そこに間髪入れずに飛び込んで来るので、とてもインパクトがある。しかもこれを言っているのが、福山雅治というところもすごく興味深い。何故かと言うと、『アマルフィ』の主演は福山ではなく、織田裕二だからだ。
それにしても、このセリフを思いついたとき、果たして脚本家はガッツポーズしたのだろうか?死ぬほどダサい言い回しだと思わないか?ぼくは思わず、予告編を観た時に噴き出してしまった。非常にダサイ、ダサ過ぎる。しかも、映画は明らかにつまらなさそうな匂いをぷんぷんに放っており、そのダサさに拍車をかける始末だ。もし『アマルフィ』を観ていてこのセリフが出て来たら、ぼくは「よっ!待ってましたぁ!」と思わず、歌舞伎のように声をあげてしまうだろう。
はてブでもid:tada-woさんのこの記事に端を発して、地味に盛り上がっている『アマルフィ』だが、実は、最近の予告編はこんなのばっかりである。予告編がある程度のところまでいったら、音楽が消えて、名セリフを放つのは意外と多い。しかも、そのセリフが無茶苦茶ださかったり、妙に演出が古臭かったりして、変なインパクトを放ってしまうのだ。ぼくが今までで記憶しているのはこの辺↓
「ぼくは野球をやる!野球をやるよ!」
「天国じゃさ、みんな海の話をするんだ、、行くか!海!」
「お前、、、、あいつか!!!!」
「行きなさい五右衛門、、、行きなさぁい!!!」
「おめぇ一人がいてぇんじゃねんだよぉ!!!!、、、……みんながいてぇんだよ…」
こうやって字にしてみると『アマルフィ』ほどのインパクトは無いが、ちゃんと上から声を出して、本気で、芝居がかって大声で叫んでみればそのダサさがよく分かると思う。とにかくすごい。
どれがどの映画だというのはあえて言わないが、とりあえず上から二番目のセリフは『ヘブンズ・ドア』のモノで、これは原作であるドイツ映画『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』にも使われている名台詞だ。もちろんオリジナルでは無茶苦茶かっこいいのだけれど、TOKIOの長瀬が言うと、とたんに笑えるのが不思議だ。ちなみに、ぼくはリメイク版の『ヘブンズ・ドア』は好きな映画だったりする。
http://d.hatena.ne.jp/katokitiz/20090210/1234244299
さて、そんなこんなで今日の9時半に観て来ました。『アマルフィ』!!最近、ホントにおもしろそうな映画がなくて、しかも、それをみんなちゃんと分かってるのか、周りでも、映画に関する記事が激減している(笑)
でも『ハリポ』やら『ごくせん』やら『ルーキーズ』がヒットしてるんで、ちゃんと映画ファンはそういうホントに良い映画でお金を使わないと、映画だって安くはないんだし。みなさん正解だと思います!
それでもさすがに一ヶ月近く映画を観ないと、映画に飢えて来まして、今やってるヤツだったら『アマルフィ』かなと。ちょー映画批評で90点を叩き出したりして、「実のところおもしろいんじゃねぇの?」って思ったりもしたのだが、、、、
まず見終わってすぐに思ったのは、『MW』が20点だったのに、なんで『アマルフィ』は90点なのか?理解不能だ。作品の質的にはあんまし変わらなくねぇ?こいつはフジテレビのたいこ持ちなのか??
『アマルフィ』はもちろんそれなりの娯楽作にはなっている。とにかく織田裕二がかっこよい。格好良すぎて鼻持ちならないくらいだ。織田裕二の為の映画だったとハッキリ言っていいんじゃないだろうか、おかげで、イタリアの奇麗な景色も霞んでしまったくらいだ。ただ、黒田というキャラクターに弱点がまったくなく、内面もよーわからんので、そのせいで人間味がまったく無いというのはマイナスポイントであった。常に冷静沈着で職場でも浮いている男が、最後の方で、何故あんな事をしでかしたのか理解出来ない。いや、もちろん燃えたんだけど。あと、まったくの悪人が出て来ないのもダメだと思う。みーんな良い人。良い人ばっかり。
それから「あんたが居るってことは、派手な事が起こるってことだろ?」というだけあって、いやぁ起きたね!!!派手な事が!いや、ド派手な事が起きたよ!!ただ、もし黒田が居なくても、あのプロットであれば、派手な事は起きたけどね!!
まぁ、このセリフによって、明らかに織田演じる黒田外交官がワケアリだという事が誇示されるわけだが、それよりもすごいのは福山雅治の役。こいつの方がよほどワケアリである。こいつ何ものなんだ??常に美女と肩を組んで登場してきて、さらに黒田外交官がローマに来たその日に黒田が昼飯を喰らう場所に居て、いきなり背中合わせにあのセリフである。しかも黒田に昔、女まで紹介したらしい。無茶苦茶だ。
あと『アマルフィ』はミステリーだったのか?サスペンスだったのか?アクションだったのか?全然分からない。ミステリーにしては、犯人がCMやら予告編でバレてるってどうなん?その前に、『ホワイトアウト』の原作者と主演と悪役が再び組んだら、ダメだろ?その時点で明らかに前回の焼き増しじゃんか!!
突っ込みどころも多くて、とっさの判断で「父親だ」と言っただけなのに、なんで天海と一緒にホテルに泊まらなきゃいけないんだ?まったくもって意味がわからん。他にも戸田恵梨香が無能なのか有能なのか分からないし、伊藤淳史やら大塚寧々が居ても意味の無いキャラになってるし、警察がとにかく無能で心底うすらバカなのもイライラさせられる。GPSのくだりに至っては、あり得ないとまで思わせる。まぁ多分、これね、3時間くらいあったんだと思うよ、それをバッサバッサと切ったんだと思う。それくらいヤバかったんだよ、作った時から。
外交官があんなに介入出来るもんなのかと、まぁ、そこを言い出したらキリが無い中で、一番気になったのは、急に映像がプツっと切れて、黒くなり、何事もなかったかのように次のシーンに入る演出。実際、問い合わせも殺到していて、映写のミスなんじゃないか?とかクレームが来たりしてるようだが、映画を見る限り、あの演出にまったく意味は無い。むしろ、「えっ!なんで!?何があったの?」という感じになり、マイナスの印象がある。かっこいいじゃんとは決してならない。ただ、『踊る大捜査線』の時みたいにクライマックスでスローになって、長々と続きそうなところでブツっと切れるから、あの退屈さをぶった切ってくれたのでよかったなぁと思った。
やっぱり予告編の印象をぶち壊す事が出来なかった『アマルフィ』だが、ぶっちゃけ、前半はかなり楽しめた。言っても、スピード感があって、これシリーズ化イケるんじゃないか?くらいにまで思った。なのでおすすめは、、、、
うーん、やっぱ出来ないなぁ。あういぇ。
なんか、とっちらかった感想になってすいませんでした。