2007年ベスト&ワーストムービー

私的2007年度ベスト10です。

10位『アヒルと鴨のコインロッカー

今年一番の拾い物。原作を読んでないからこそのおもしろさだとも思うが、思想的にはサム・ペキンパー、映画自体は『ダウン・バイ・ロー』を感じる事ができ、これらをウエルメイドな映像でまとめあげたのも見事としか言いようが無い。ラストも『ダウン・バイ・ロー』のまんまなんだけど、それにボブ・ディランを入れた事がなによりも良かった。ストーリーの事はまったく知らない状態で観てね。

9位『ブラック・ブック』

尊台ヴァーホーヴェン大河ドラマ的超大作。ナチにスパイする事になったレジスタンスの女が、そのナチの隊長に恋をしてしまうという、ヴァーホーヴェンらしからぬ傑作。レジスタンスに悪人が山ほどいて、ナチにいい人がたくさんいるという描写はさすが、残虐描写は幾分控えめだが、おっぱいあり、アレあり、あんなのもアリと、リアルすぎるほどにリアル。

8位『トランスフォーマー

マイケル・ベイの最高傑作という声もあったが、それも分かる気がする1作。脅威の映像革命という言葉は聞き飽きたが、まさに脅威の映像革命、ちょいダサの超合金ロボがアメリカの街中で大暴れする映像なんて誰も見た事がなかったし。通過儀礼に本物の迫力、人と人とは人種を越えて繋がり合えるかというメッセージ、すべてに泣けた。

7位『バイオハザード3

ゲームの世界観を踏襲せず、中途半端なSFにしたてあげた1、さらに主人公を2人にしてしまいどっちつかずの2はゲームの映画化としてもゾンビ映画としても微妙だったが、この3は最高。過去2作の設定はどうでもいいとばかりにオールドなアクション映画になっている。人類が滅びた世界でミラが銃と剣を片手にゾンビを撃ちまくり!!斬りまくり!!『マッドマックス2』+『死霊のえじき』+『AKIRA』を下敷きにしたシリーズ最高傑作。

6位『ディパーテッド

スコセッシが『グッドフェローズ』のテンションに戻った!あれだけ良く出来たオリジナルをただの暴力映画に変えたのは正しかったかも?感情や人物描写を削りに削って、暴力とFUCKと悪とねじれた正義を押し出し、まさに“死者”のようなキャラ達。映画自体はちょっと緩いかもしれないけど、私のツボを付きまくる映像や音楽はさすが巨匠。

5位『パンズ・ラビリンス

軍事政権のドイツに占領されたスペインを舞台にサディストなファシストのお偉いさんを義父に持ち、毎日、毎日おとぎ話の中にしか希望を見出せない女の子の冒険を描いたデルトロの最高傑作。ストーリーだけ聞くと『千と千尋の神隠し』や『となりのトトロ』を彷彿とさせるかもしれないが、中身は強烈な残虐描写とグロいキャラクターてんこ盛りの衝撃作。ギリアム、バートンに並ぶ、ダークなファンタジーだが、あくまでもデルトロらしさ満載。

4位『300』

衝撃の1作。ストーリーや生き様や設定や映像、音楽、役者すべてかっこよすぎ。ワンテイクで早回し&スローの大殺戮に燃えたし、マンガの1コマを表現するためのスローモーション。もちろん原作無くしてはうまれなかったが、これだけワンカットワンカットに気合いの入った作品も珍しいだろう。ザック・スナイダーしてやったりです。次はどう出る??

3位『アポカリプト

この世は地獄以上に地獄だ!という事を2時間かけて言い切ったメルギブソンの傑作。全編血まみれ、泥まみれ、死体まみれだが、そこにはサスペンスがあり、アクションがあり、スリルがある。いきなりの残虐描写から始まり、後はノンストップ活劇に!説明不要の演出、徹底したスピード感、とにもかくにも全てが最高過ぎ。メルギブソン自身がどんなクソ野郎でも『アポカリプト』は最高なのである。

2位『プラネット・テラー

間違いなくロドリゲスの最高傑作。グラインドハウスとはかけ離れた映画だが、それが逆に良かった。『バタリアン』だとか『死霊のはらわた2』とかの匂いを感じさせるだけで、タランティーノのように露骨な引用も無く、まるっきり娯楽映画として素晴しい出来!武芸の達人であるとか、銃の使い手とかに対する説明無し!片足マシンガールのかっこよさ、トラックに轢かれてぐちゃぐちゃになるゾンビ、これが出て来ただけでもいい。フィルムが傷だらけというフェイクさも私のツボをついた。

1位『ハッピーフィート

マッドマックス2』と『ベイブ』を足しただけなのに、ここまでおもしろくなるとは!ミュージカル、アクション、ラブストーリー、家族愛、差別、偏見、映画における要素はすべて詰まってる。何度もこのブログにも登場したが、非常に楽しい映画だった。『ヘアスプレー』より短いのもポイント。

血まみれ、ゾンビまみれ、殺戮ばかりですが、基本的に娯楽映画として良く出来てると思います。
実際、恋愛映画でおもしろいのは無く、殺戮映画でもつまらないものはつまらなかったわけで…

次点
『クローズZERO』ランクを作ってみたら惜しくも圏外。でもちょーおもしろかった!
『キングダム』男と男の熱い友情、プロとしての姿勢に泣いた。
『ゾディアック』フィンチャーの新境地。映像の作り方はかなりクオリティが高い。
犯人に告ぐ』良く出来たプロの映画。地味だがこういう映画を増やさなければならない。
『題名のない子守唄』とにかく傑作!そして衝撃作!トルナトーレの新境地、円熟味、完璧。
『ヘアスプレー』こちらも完璧な傑作。出来だけ取ったら恐らく今年1位。
クワイエットルームへようこそ』ダメという人も居るようだが、正直、かなりウエルメイドでリアル。好き。

特に『犯人に告ぐ』『題名のない子守唄』『ヘアスプレー』『クワイエットルームへようこそ』は私がプッシュしなくても、誰かが必ずプッシュするだろうと思い、あえて除外しました。まぁランキングを作るってそんなもんです(笑)(実際、それを全部ランキングに入れてたのはエメットさんだった!)

ここからは私的ワースト映画です

パイレーツ・オブ・カリビアン ワールドエンド』

文句無しにワースト。意味不明な演出の数々に、カッコいい事をまったく分かってない演出、壊滅的に悪く、何故3時間もあるのか分からない脚本、カッコいいだけのデップやらブルーム、これがおもしろいと言われる事の意味がまったくもって理解不能。海賊がかっこいい!とか言うヤツマジでバカ。海賊ってのは極悪人であって、そんなのに憧れてはいけません。犯罪者ですよ。痴漢ってすごくカッコ良くて素敵!って言ってるのと同じ事です。痴漢は軽犯罪ですが、海賊は女をレイプしまくり、人を殺しまくってるわけでそんなもんに憧れる事自体おかしい。とにかくすべてがムカつく。

『恋空』

あまりに酷過ぎて笑えるが、映画が始まってから1時間で出たくて出たくて仕方なかった。男として、人として、あのホストの出来損ないみたいな男の考え方に納得がいかず、実話というのは絶対にウソ。これに泣く?すごい感性ですねぇ、勝手に泣けば。

プレステージ

手品のタネは明かしてはいけないと劇中でも言ってたが、まさにそんな感じ。だいたい、バットマンウルヴァリンが手品で競うって無理あり過ぎだろ。もっと考えてキャスティングせいや。『インソムニア』『バットマンビギンズ』と並んでつまらん。ノーランは『メメント』の一発屋になりそうだ!

どろろ

予告編が1番うまい編集だった。予告編以上の事は起きず、予告編につまらない部分が足されただけ。っていうか、なんだこの映画は!マジでこんなもんがヒットする事がまずありえない。なんで、マンガの1番肝な部分である乞食とか身体障害者を出さない?CGやワイヤーアクションに本気を感じないし、全体的にやる気がない気がする。そもそも、なんとなく妻夫木と柴咲のカップル出して、適当な見せ場を用意して、中途半端にCGを作ってるところもダメ。ヒット狙う感も見え見えだし、マジでムカついた映画だった。これを褒めてはいけませんよ。制作者がつけあがるだけです。

『ローグアサシン』

まったくもっておもしろくない。ジェット・リーの魅力どころか、ジェイソン・ステイサム、デヴォン・青木、ケイン・コスギの出てる意味無し。これ作った監督は映画の事なんも知らん。そもそも作品の方向性がバカ映画なのか、サスペンスなのか、アクションなのかまったく見えず、それだったら、いっその事、全てをてんこ盛りにするくらいの勇気が欲しい。ちょーつまらん。

ちなみにぱてんさんの記事にこんなんがあったよ!

「第62回毎日映画コンクール」の各賞のうち、映画ファンの投票で決まる「TSUTAYA映画ファン賞」部門の 中間集計 。

◇日本映画
(1)恋空              1987
(2)ALWAYS 続・三丁目の夕日 1968
(3)HERO            1691
(4)クローズ ZERO       1001
(5)どろろ              544

 ◇外国映画
(1)パイレーツ・オブ・カリビアン ワールド・エンド 2039
(2)バイオハザード3                1340
(3)ダイハード4.0                1309
(4)ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団        1188
(5)スパイダーマン3                1054
 (数字は得票数)

『恋空』『どろろ』『パイカリエンド』は私のワースト映画だよ!とにかくこれに投票したヤツ全員ブッ生き返す!だいたい、本当の映画好きってのはこういうのには投票しないもんだんだよ!ボケがぁ!