『惡の華』で再注目?『小さな悪の華』

『小さな悪の華』をレンタルDVDで鑑賞。

町山智浩氏のトラウマ映画館や押見修造のマンガ『惡の華』などでずっと前から観たかったのだが、レンタルがなく、DVDもそれなりの値段がしたので泣く泣くスルーしていた*1

そうしたら同じように『惡の華』で興味を持った友人が「観たい!」とツタヤに問い合わせ、他の店舗から送ってもらってレンタルするという荒技に出た。ぼくは知らなかったのだが、ツタヤは今そういうサービスを行ってるらしい。ちなみにその友人はぼくに映画の存在を訪ねて来た際「あ、観たことないけど知ってるよ。主人公がやりたいことやって最後に○○するヤツでしょ?」と思いっきりネタバレされてしまったのであった。大変申し訳ない。次から気をつけなければ。

調べてもらうと『小さな悪の華』が置いてあるのは全国で三店舗。その内の二つが東京で、もう一つが新潟の長岡のツタヤだという。元々新潟にあったらしいのだが、年間で数人しか借りないので他のお店に回されたのだとか。

そんなこんなである意味でものすごい労力を使った友人のご相伴にあずかることになった。

15歳の少女がボードレールの『悪の華*2に感化され、悪の限りを尽くすというのがあらすじ。『地獄の逃避行』の逃げない版というか『テルマ&ルイーズ』の少女版というか、そういう感じ。

映画自体は結構緩いのだが、薄い氷の上をゆーっくり歩いてるようなイヤーな時間が続いていく。少女二人の純粋な気持ちとしての「悪」がエスカレートしていくのだが、エスカレートと言ってもゆっくりゆっくりその氷の階段を一段一段上がっていく感じなので観ている側から胃がキリキリするような気持ちを味わった。フィクショナルでありながらもリアリティで非常に怖く、主人公をかっこよく描いていた『時計じかけのオレンジ』と同様に『小さな悪の華』も主役の二人の女の子がかわいらしくて、ついつい「この子たちに救いはないだろうけど、それでもどうなってしまうのか末路まで見たいような見たくないような!」という複雑な感情を抱いてしまった。奇しくもこの二本は71年の作品であるが、それと別に内容はまるで違うが、映画の雰囲気、緩さ、衝撃的なラストも含めて『ウィッカーマン』にかなり似ているなという印象を受けた。とにかく反キリスト的、反倫理的、エロや残酷シーンを直接見せるわけではないが、それ以上の物を真っ正面から見せてくれる。そしてそれはとてつもなく退廃的であり美しい。そりゃそうである。彼女たちは悪の限りを尽くすことで輝いているのだから。

というわけで、内容に関して一切触れることが出来ないので是非『惡の華』で興味を持った方はネットで内容を調べずに観ていただきたい。ピーター・ジャクソンもこれを映画化しており、そちらは不勉強で観てないのですぐさま観たいなと思ったのでありました、あういぇ。

ちなみにこれを借りて来た友人は「観たかった映画を観れたという感動でお腹いっぱいでした」という良いんだか悪いんだか分からない感想を言っておりました。

スマイルBEST 小さな悪の華 [DVD]

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*1:とか言ってたらDVD廉価版になってやんの

*2:と思われる本