とはいえ「人が消える!」という映画はおもしろい『ファインド・アウト』

『ファインド・アウト』をレンタルDVDで鑑賞。

誘拐され、殺されかけたところを間一髪で脱出したジル。しかし、犯人と争った形跡などの証拠が一切出ず、彼女の妄想と片付けられてしまい、精神病院に入れられる。一年後、今度は同居していた彼女の妹(大学生)が行方不明に。試験の当日でパジャマのままいなくなったことから、自分を誘拐した犯人が舞い戻ってきて今度は妹を誘拐したと警察に相談するも相手にされず、彼女はひとりで妹の行方を追う………というのが主なあらすじ。

古くは『バニーレイクは行方不明』から、最近では『フォーガットン』や『フライト・プラン』『チェンジリング』といった、自分の知らないうちに身内が消え、誰もその人の言うことを信じないという映画の系譜。しかし、この手の映画はその消えてる人がホントに消えたか、もしくは主人公の妄想でしたーで落ち着くことがあり、大概はいわゆるひとつのポップコーンムービーとして消費されることにもなるが、この『ファインド・アウト』はそれを逆手に取り、その両方のオチをミスリードしつつ、さらにひとひねり加えたものになっている。

それだけじゃなく、もしこういうことがホントに起きてしまったらどうなるのか?ということをシミュレートした作品にもなっており、こないだの三鷹女子高生ストーカー殺人事件じゃないが、警察というのは事件が起きたとしても明確な証拠がないかぎりはなんの役にも立たないということが描かれ、これがもし自分に起きたらどうなるだろうということを考えてとても怖くなった。そういった意味ではホラー映画ともいえる(実際ラストの展開はホラー映画そのものといった具合)。というか実際アメリカでは“ミッシング・パーソン”といって社会問題になってるわけなんだが(それこそストーカーの相談のように何万件という数のひとつと捉えられているんだろう)。



ここからオチには言及してませんがややネタバレてます


「主人公が誘拐されたと警察に言ったのは妄想」というシーンが何度もでてくる時点で妄想ではないことがわかるわけで、ただ単に警察が動いてないだけの事件なだけに、それを素人が追うというシーンに無理がないのはうまい。何度も何度も車を借りたりするのも、いかにもありそうな行動で妙な説得力がある。銃社会だからこそ主人公はあそこまで強気に事件を調べられるわけだが、そこには女性の強さもしっかり浮かび上がらせている。ひとつひとつのハードルを丹念にクリアし、少しずつ前進しながら事件の真相が明らかになる脚本はすばらしく、誰が演じてもおもしろくなるに決まっており、これに旬のアマンダ・セイフライドを起用したことも大正解に思う(全裸シルエットのシャワーシーンというおまけもついている)。


ネタバレ終了



というわけで、実写版アンパーンチ!な『フォーガットン』や、やっぱりそういうことかーい!という『フライト・プラン』にガッカリした人ほどおすすめ。しかし、いつものように多分に褒めているきらいもあるので、普通くらいにおもしろいという心構えで観ていただきたい。社会問題になってるときに不謹慎だが、いくらオチにガッカリしがちとはいえやはり人が消える!という映画はおもしろくて観てしまうのである。

ファインド・アウト ブルーレイ&DVDセット(初回限定生産) [Blu-ray]

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