超常現象サンプリングムービー『レッド・ライト』

レッド・ライト』をレンタルBDで鑑賞。

物理学者であるキリアン・マーフィーとシガニー・ウィーバーは超常現象に悩まされる家族や超能力をつかって人々をだます輩のトリックを暴き、すべての超常現象は物理学で証明できるとして、それを大学の授業にいかしていた。そんなある日、40年前に自分をペテン師だと糾弾した記者をその不思議な力で殺したという伝説の超能力者:ロバート・デ・ニーロが表舞台に登場する………というのがあらすじ。

超常現象を科学の力で解明するといえば日本でも『TRICK』や『ガリレオ』というヒット作があるが、まさにアレのハリウッド版でもっといえば、バラエティでもよくある、ニセ超能力者VSトリックハンターにストーリーがついてるような感じ。

映像のトーンはハリウッドらしからぬゴシック調で全体的に暗く、カメラもそれにあわせて何かがそこにいる/誰かに見られてるようなイヤーな動きをする。トリックを暴く事例がたくさんあるのが楽しく、大概の超常現象にはトリックがあるというのをハッキリ見せていて、その過程だけでもボリュームたっぷり。時にサスペンスになり、ミステリーになり、ホラーになり、最終的にはフェイクドキュメンタリーになるなど、とにかく変な映画であり、松本人志はこういう映画をしっかり勉強してから既存にないものを作り上げればいいんじゃないかなと思った。それくらい今までの文法にはないトリッキーな作品であった。

さて、この作品。オチでこれまでの伏線がある程度回収できるようになっているのだが、それでも謎が残りまくるので、その辺の作り込みは甘いように思った。タネをあかしたのにもかかわらず、へぇ!そんなトリックがあったのか!とスッキリさせてくれない。ハッキリ言ってオチも含め、物語そのものは中学生がノリで考えたようなもので、それをあそこまでしっかりと娯楽映画として作りあげたのは評価に値するが「タネをあかしてもすべてがわかるわけじゃない」というスタンス(監督のインタビューより引用)はこの手の作品でやるのはいかがなものかと思った。

ここから超絶ネタバレ。オチにも触れてます。ホントに超個人的な感想になります。

信じたいもの 映画「レッドライト」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー カゲヒナタのレビュー

見終わったあとに『レッド・ライト』で検索したらヒナタカさんのレビューに引っかかったのだけれど、もう一語一句完全同意で、とにかくオチがわかったあとでも「え?だから?」という印象しか残らなかった。

実はこの作品。ロバート・デ・ニーロ演じる超能力者の能力はウソで、なぜそれがキリアン・マーフィーに分かったかというと、キリアン・マーフィーこそ本物の超能力者だったからというのがオチ。映画のなかで不可解な現象が中盤に起こり、それはロバート・デ・ニーロに会ったからと観客は思うのだが、それはミスリードで実はキリアン・マーフィーが無意識で起こしていたものだということが最後に分かる。

スリードであることは理解できても、それでも腑に落ちないのはロバート・デ・ニーロの存在だ。デ・ニーロは40年前に自分を糾弾した記者を不思議な力で殺したとされてるわけだが、それはなんだったのか?んで、中盤にシガニー・ウィーバーも謎の死を遂げるわけだが、それも偶然だとすればものすごく虫が良すぎる話である。ヒナタカさんのレビューにて、あれは「オッカムの剃刀」と呼ばれるものであり、病死したという説明もふくめ、実は意味があるんだとコメントされてた方がいたがそれを知ったところで「で?だから?」としか思わなかった。そういった世界中のトリックを物語にすべりこませたいということなのだろうが、さまざまなトリックや超常現象について資料を読みまくった結果、これみよがしにその知識だけがふくれあがり、もうこれくらいのこと説明しなくてもわかるでしょ?というひとりよがりな映画になったという印象しか受けない。故にデ・ニーロが力を分析されるシーンでも、一切説明はなく、そこで起こしたいくつかの不思議な現象もすべてトリックだったとすれば、そのタネあかしも最後でするべきだったのではないかと思う。まぁ超能力マニアと呼ばれる方々にとってはこれは誰もが知ってる超有名な現象でその辺のことは言わなくても分かるでしょという感じなのかもしれないが……

っていうか、なんでデ・ニーロは40年間も隠居生活を送ってたんだよ!!そもそもよぉ!あとキリアンはどんな力を持ってたんだよぉ!会場ぶっ壊せるならトイレで相手のことボコボコにできたじゃんかよぉ!!



ネタバレ終了


というわけで、そういう観点からいくと「この監督とは友達になれない」という作品だったが、このハリウッドにない雰囲気を楽しみたい、観客をダマすような映画が観たいという方にはおすすめ。