小津はパンフォーカスを使っていたのか?
昨日知り合いの映画好き(64歳で親父より年上)と一緒に年末にBSで放送された小津のドキュメンタリーを観てたんですよ。そうしたらまぁ名場面がいろいろ紹介されて、最近デジタルでキレイになってるでしょう。それでいろいろ見てて改めて思ったのは小津安二郎ってパンフォーカス使ってたんですかね?
いやね。例えば室内の手前に人がいて、奥に玄関が見えるとそこにも人がいて、その間にはふすまやらちゃぶ台やらがあるんだけど、すべてにピントが合ってるんですよ。改めて高画質で見たらそれに気づかされまして。ほら、よくリマスター盤で聴くと、あ、ここにこんな音が入ってたんだとか気づくときあるじゃないですか。あれと一緒ですよ。
んで「小津+パンフォーカス」で検索してもほとんど黒澤の記事にしかたどり着かず。モヤモヤしてツイッターにも書いたんですが、特に反応もなく、こうしてブログの記事にしてみた次第で。
Tシャツ干してるシーンがあって、奥に土手があって子供が歩いてるシーンとかもすべてにピントが合ってるんですよ。屋外ですよ。屋外。当時は巨大な撮影所とかあったからそれでできたことだと思うんですが、ここまでくるとすごいを通り越して異常というか、言っちゃ悪いけどちょっと気持ち悪いですよね(笑)キューブリックが左右対称に異常にこだわるみたいなもんですよ。
まず小津はセットを写真に撮って、それで小道具とか役者の位置とか決めるらしいんですが、その写真が番組で紹介されて、当然ながら手前にピントが合ってると奥はボケるわけですよね。映画になるとそれがない。
だからこないだ『東京物語』が世界一位になったじゃないですか。『2001年』とか『市民ケーン』とか『めまい』とか押しのけて。それもなんとなく頷けますよね。映画人としてあの世界っていうのはたどり着けない境地みたいなもんなんでしょう。いや、実際パンフォーカスなのかどうかはわかりませんが。
『市民ケーン』はすべてのピントを合わせるために照明をガンガンたいてスタジオはつねに熱かったそうです。もし小津もそうだったとしたら、役者たちの評価も格段に上がりますよ。だってみんな涼しい顔してるんだもん。笠智衆なんて朴訥ですからねぇ。朴訥の極み。
あと笑ったのは小津安二郎ってローアングルで語られがちだけど、あれは間違いで、ホントはローポジションっていうらしいです。誰だよ最初にローアングルっていったやつは。オレも堂々と「小津といえばローアングルでぇ」とか言ってしまったじゃないか!(笑)
あ、そうそう。忘れてたけど、そのドキュメンタリーで小津がサイレント期にフィルムノワール撮ってるというのが紹介されてた。女ガンマンが和服で二丁拳銃持つっていうのがあって、すごく観たいなと思った。
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