友情!勝利!努力なし!『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』鑑賞。

アベンジャーズ』を観たときに盆と正月とゴールデンウィークが一緒に押し寄せてきたみたいだ!と評したが、こちらは年に一回開かれる地方の花火大会に遊びにきたみたいなユルさとスキがあり、親戚でワイワイやるというよりかは悪友と酒飲みながらギャーギャー騒ぎたいという印象を持った。前者が『七人の侍』だとするならば、後者は『子連れ狼』といった印象。

しかし『子連れ狼』にたとえておきながらなんだが、少年ジャンプの友情!努力!勝利!から努力が抜け落ちたようなシンプルさで、ダーティワードはほぼなく、下ネタに聞こえない下ネタを入れるなど、明らかにティーン向けに制作されている。監督は『スーパー!』で映画ファンの心を鷲掴みにしたジェームズ・ガンだが、そのわりに血も出ないし、グロ要素もない。登場するキャラクターはアライグマや筋肉ムキムキなど、存在が立ちまくっていて魅力的だが、ある意味ステレオタイプで、人間ドラマの部分においては深く掘り下げておらず、全員見事に滞りなくアホ。故にいちいち作戦を立てたり行動を起こしてもキレイに成功せず、スラップスティックに笑わせてくれる。

とても分かりやすい映画ではあるが、子供にせがまれて映画館に来たお父さんを退屈させないような仕掛けがあり、それは劇中で流れる音楽によって表現される。「レザボア・ドッグス」や「ウォッチメン」なんかもそうであるが、かつてヒットチャートを駆け上がっていったものをメインに選曲。その素晴らしさと使い方もあいまってサントラが大ヒットを飛ばしているほど。冒頭で主人公が宇宙人に拉致される際にウォークマンを持っていて、それを大事にしている設定だが、基本的に意味がなく、かっこいい音楽が使いたいというだけで付け加えたような感じである(もしかしたら原作がそうなのかもしれないが)。最近でもBSで毎週「懐かしのフォーク」的な番組が放送されているが、それの洋楽映画版と言い切ってもいいくらいだ。

もちろん音楽だけではなく、ニック・ホーンビィがアドバイザーとして参加したのかというほどサブカル臭も強い。わざわざマットペインティングのような状況説明ショットを入れてみたり、そもそもの展開が「インディ・ジョーンズ」っぽかったり、「フットルース」にケヴィン・ベーコンという固有名詞や、エンドクレジット後の特別ゲストなど、全体的に80年代風味が炸裂しているのも特徴。

ぼくがこの作品を観て思ったのは日本製アニメ『カウボーイ・ビバップ』である。銀河系をまたにかけて活躍するアンチヒーローが即席のチームを組み、かっこいい音楽をバックに宇宙船で戦ったり、銃撃戦を繰り広げたり、格闘したりとかなり共通点があり、『クロニクル』同様、これを観て「ああ!またオマージュという形で実写化よりもらしいものが作られてしまった!」と素直に思った。もちろん監督がそれを意識して作ったとは思えないが………

そもそも説明不足のシーンも多いし、ティーン向けということもあってヌルっちゃヌルいが、お祭りにいって「このわたあめ、こんな値段もするのに和三盆も使ってないのか!」と怒るようなもんで、そこに行って、あえてそれを食べることの喜びみたいなものがこの映画には溢れている。わざと間口も広く作ってあるので、もうこの秋は『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』一択という感じで、是非お父さんはお子様を連れて、ノリノリで観にいくことをおすすめしたい。カルト化も必至。小学生の頃に「ミュータント・タートルズ」とか観て燃えたヤツらも同じく必見だ!

GUARDIANS OF THE GALAXY

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