これぞ低予算ホラーの醍醐味『ヴィジット』

『ヴィジット』を鑑賞。

先週、急に5連休になることが決まり、大急ぎで東京行きを決めて、新宿でラーメン凪を喰らったあとに池袋で観た。ホントに急なお誘いだったのにOKしてくださった亘さん、ケロみんさん、チケットの手配等、ありがとうございました。

僕とスターの99日』を子供側の視点から描いたような話で、要は母親が男と遠くに出かけるので子供たちが長い間会ってもなかった田舎のおじいちゃん、おばあちゃんの家にお泊まりに行くというもの(そういえば動画を送るとかSkypeで近況を言いあうとかまったく一緒じゃないか)。姉と弟、ふたりしてこの「体験」を映画にしたいとつねにビデオカメラをまわしており、モキュメンタリー形式/POVで全編撮られている。

シャマランといえば、心霊映画、宇宙人侵略、ヒーローコミックものなど、あるジャンル映画の視点を変えてサスペンスフルに描く監督というイメージがあり、物語の後半になって「あー、これって宇宙人侵略をやりたかったのかー!」とその構造が分かり、それ自体がドンデン返し的な役割をしているという作品が多い。

しかし、今回の『ヴィジット』はそれとは関係ないストレートなホラー映画に仕上がっていた。

これを言ったら反発もあるだろうが、それこそ『悪魔のいけにえ』や『死霊のはらわた』のような「低予算ホラー」のパワフルさや良さみたいなものをこの時代に突きつけられたような気がした。やはり映画というのは金がなくとも有名なスターが出てなくても演出や撮り方次第でとてもおもしろくなるのだ。

さらに今作では「出てる本人たちが映画を作りたがってる」という設定のため、ラストのへっぽこ○○○も含めて、いかにも素人が作った雑な感じの映画という雰囲気も存分に出ており、その構図すらも作品の良さとして含まれてるというか、もっといえば「映画って何なの?」という問いかけにもなってるような気が……というのは汲み取りすぎだろうが、何から何までぼくにとっては心に響いた。そんな作品だった。

しいていえば、もっと素人が雑に編集したような感じを出しても良いかな?とか、これ誰視点の映像なの?とか、モキュメンタリーになりきれてない感もあったが、中盤のシーンは『シックス・センス』以来の戦慄だし、ただの隠れんぼが一転して恐ろしくなったり、巨大なオーブンを掃除するだけで怖かったり、素っ裸のババアとか、顔に○○○とか、とにかく見所満載の作品に仕上がってるのでホラー映画が苦手な人にもおすすめです。笑えるシーンも多々あり。