実は『ゴッドファーザー』が苦手なんっす。。。

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ 完全版 [DVD]

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マカロニウエスタンの父・セルジオ・レオーネの遺作にして、代表作の1本。アメリカの半世紀を駆け抜けたギャングの生き様を重厚に演出したこれぞ映画の1本で、企画自体は『ゴッドファーザー』よりも早かったという正真正銘のギャング映画。細部にまで気を配った画面構築は相変わらずだが、この作品では映像の力を『ウエスタン』より抑えめにし、この作品は同じ監督が撮ったとは思えないほど、別な魅力に包まれている。過剰なクローズアップもなければ、女がひどい扱いを受けるのも初めて、残虐な描写も徹底している。人間の動きやセリフなどを中心に演出した事で映画的な動きはないが、まったく飽きる事がないのも不思議。音楽はさすがモリコーネと呼べるものでとても品格があり、作品に圧倒的な味付けを施しているのは間違いない。真っすぐに進まない時間やロバートデニーロの老けメイクも含め、語りどころの多い大傑作だ。

3時間49分というとてつもない長さの作品だが、まったく飽きる部分が無く。どこを切ってもこの作品にはならないという脅威の完成度を誇っている。エピソードそのものは長くないのだが、時間の進み方が優雅で、緊張感も持続する。サスペンドさせた緊張感をレオーネは一瞬の暴力で爆発させるのだが、この作品では、執拗に人を殴るなど、バイオレンス描写に一切の手抜きがない。まるでギャングの暴力を観て来たかのようなリアリティ溢れる演出である。

ゴッドファーザー』はある種、ギャングをカリスマ的に演出したが、こちらは人間臭い部分や神格化されてない部分をしっかりを描いていたので好感が持てる。特に主役を演じたデニーロがそれを体現。抑えた演技を駆使して人物像を作り上げたのは脅威。その分、ジェームズ・ウッズの演技はパワフルで両者の個性が、それぞれ出ていた。

映画自体が長いし、映画の演出も長いが、これを傑作と呼ばずして、なんと呼ぶという作品。