暗黒街の顔役
7時から『暗黒街の顔役』鑑賞。私の人生のベスト作である『スカーフェイス』の原作。
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皆殺しのバイオレンス映画っていうのはこの時点で完成されていた事がわかるし、
ここまですごい映画がなんで一般的に評価されてないのかが不思議だ!
超が付くほどの大傑作とは『暗黒街の顔役』の事を言う!
『暗黒街の顔役』はモノクロだから一切血が出ない。血は出ないが、バイオレンス描写は映画史上最高と言っていいくらいのインパクトがあり、映画は90分ちょっとだが、映画はたったの一言で説明出来る。どういう映画かというと、
90分の間にキチガイギャングの周辺でハードに人が死んでいくだけという映画
店が唐突に爆破されたり、
これでもか執拗に銃弾がぶち込まれたり、
店に数人のギャングが入って、あっという間に店が蜂の巣になったり、
横一列に並ばせて、処刑したり、
レストランでお茶を飲んでたら、恐ろしい程マシンガンをぶち込まれて死んだり、
カーチェイスの末、道路脇に車2台がすごい勢いで落ちたり、
とにかく人が徹底的に死んで、死んで、死んで、死にまくる強烈な映画なのだ!
こんなに凄まじい映画見た事ない!
まぁ、それだけじゃなくて、冒頭の脅威の長回し、光と影をうまく使った映像、凝った美術、フェイドイン/アウト、オーバー・ラップ、クレーン・ショットなど、撮影テクニックもてんこ盛り!
撮影テクニックだけじゃなく、カレンダーがめくられる映像とマシンガンをオーバー・ラップさせたり、人が死ぬと、かならず十字の印が出て来たり、映画的な表現も次から次に出て来る!
ポール・ムニの唯一無二の演技(シャレじゃないよ)はクライマックスを盛り上げ、『スカーフェイス』ほどではないが、ラストも強烈。『勝手にしやがれ』にも絶対に影響を与えている。
『暗黒街の顔役』のリメイクである『スカーフェイス』は当時評論家に徹底的に叩かれたらしいが、実はこの2つはストーリーの中心になってる部分がまったく違う。『スカーフェイス』はキューバから来た移民の話に変えられていて、学歴もなければ金もなく、みんなから虐げられたトニー・モンタナが「今にみてろよ!」という気持ちをこめて、麻薬犯罪で成り上がっていく話だ。冒頭、汗と脂にまみれてファーストフードで働くトニー達は休憩中に、クラブに行く金持ちをみながら「みろよ、あの服と車、コカインで稼いだ金で買ったんだ」と、羨望と蔑みが混ざったような表情と口調で言う*1ここが『暗黒街の顔役』によりも明確に現れる部分であり『スカーフェイス』の核である。
しかもコカインに手を出してからは、ずっとイカれっぱなし。だから、元々持ってた狂気にコカインがプラスされ、恐い。さらに主人公が持ってる怒りというのには共感出来るし、各シーンでも盛り上がる。
個人的に『暗黒街の顔役』と『スカーフェイス』は別物と思っている。そもそも90分そこそこの映画が3時間になってる時点で別物と言っていいだろう(笑)『スカーフェイス』には『暗黒街の顔役』と同じシーンも出て来るが、設定も違うし、リメイク版にはリメイク版にしかないシーンもある。リメイクというよりはジャンル映画の再構築という方が正しい。
『風は友の彼方に』と『レザボア・ドッグス』
『第三の男』と『ロング・グッドバイ』と『ビッグ・リボウスキ』
『お茶漬の味』と『とらばいゆ』
『片腕必殺剣』と『ブレード/刀』
『ウエスタン』
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ/天地黎明』
『キル・ビルVol.1』
あと観てないけど『遊星からの物体X』もそんな感じなんだと思う。
『スカーフェイス』も上記の映画と同じ括りである。『スカーフェイス』は公開当時、一部の評論家*2にボロカスにけなされ、映画も大ヒットと呼べる物ではなかった。それは『暗黒街の顔役』が偉大すぎるせいもあっただろうが、今までに観た事ないようなバイオレンス描写や、あえて成金をバカにしたようなケバケバしい美術、そしてファックの連発、めちゃくちゃかっこよかった演出、それらはオリジナルへの冒涜と呼ばれてしまった。
だが、実際今でもカルト的な人気があるのは『スカーフェイス』であり、黒人ラッパーの間ではトニー・モンタナは崇拝される存在になった。
私は『スカーフェイス』を初めて観た時、ホントに衝撃で、3時間近くある映画だが、何度も何度も繰り返し観た。スラングとかセリフも覚えたくてわざわざ英語字幕でも数回観た。DVDも廉価盤を買った後にdts盤を買いなおしたくらい好きだ。だから『スカーフェイス』が酷評されたというのはホントに信じられない。
そこまで思い入れがあるし、『スカーフェイス』を支持する人の大半は恐らく『暗黒街の顔役』を観てないだろう。もちろん『スカーフェイス』を嫌う人も、その逆と言える。
私は前者だが、それでも『暗黒街の顔役』は超絶に素晴しい。今までいろんなみな殺し映画を観て来たが、ハッキリ言って頂点だ。正直人生のベスト作に入れていい。
『スカーフェイス』よりも徹底的に人が死ぬだけの『暗黒街の顔役』はとにもかくにも最高。
っていうか全部の作品観てるわけじゃないけど、ハワード・ホークスって、『リオ・ブラボー』とか『赤い河』とか『赤ちゃん教育』とか、『ヒズ・ガール・フライデー』とかどれもこれも映画史に残る傑作じゃん!すげぇよ!ハワード・ホークス!
その後『スカーフェイス』鑑賞。何回も観ているのになんで何回観ても感動するんだろう。
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私はギャング映画の中で『グッドフェローズ』と『スカーフェイス』が好きだ。この2本は何回も何回も観た。特に『スカーフェイス』は3時間近くあるのに全編に緊張感がある。いつも何かが起きそうな緊迫感に包まれ、ホラー映画のような移動撮影でフッたかと思うと、唐突のバイオレンス描写で観る者の心をズタズタにする。
特に有名なチェーンソーのくだりでは壁をカメラが抜けたように外を映し、青空と道路をクレーンでなめるように映して、外の車を映したあと、また戻って、窓を抜けて、血みどろのシーンになるというデ・パルマならではの演出で魅せてくれる。
ケバケバしいだっさい美術は金持ちをこれでもかと凝縮して表してるし、アル・パチーノの大演説も観れるし、何よりも映画史上最高のクライマックスは、それまで続く強烈な演出を全部忘れさせるくらいの迫力と完璧さに満ちている。
やっぱり『スカーフェイス』は最高なのであった。あういぇ。