フィクサー

10時45分より『フィクサー』鑑賞。まったく情報を入れずに観に行った。だから、どういう映画なのか?一体どういう話なのか?というのも不明。もみ消し屋の話らしいというのと、ジョージ・クルーニーが出てるというのだけ。

んで、みんなそう思ったと思うんだけど、観てるそばから?マークが連発するような作品だった。すげぇ置いてかれてる感があった。これはどういう事だろう?と、でも途中で気付いた。これ『ボーン・アイデンティティ』シリーズの脚本家が監督してる。『ボーン』シリーズはスパイアクションなのにもかかわらず、ハリウッド製なのに派手さが一切ないリアルな作品。そう『フィクサー』はまさに『ボーン』シリーズをもっとリアルに、もっと骨太にしたような作品で、完成度は高くないが、なるべく映画的な説明を避けようとし、実録物のような演出で映画を構築する。

フィクサー』は徹底的に説明がない。これでもか!ってほどである。だから家族構成やら、一体このキャラはどのように関わってるのか?というのが細かく描写されていく。キャラクターの思想の変化や「人間ってのは不可解な生き物だよ」というセリフ通り、意味不明なシーンも、ストーリーを展開するのにいらないシーンも、説明不足のシーンも多々あるが、逆に言うと、それが日常であって、映画の中では徹底的に説明されすぎてるという事も言える。普通あれだけの人間や金が動く事件にかかわってるものなんて全部説明されないし、実際、事件を観てても、私たちは表面ばっかりで、その裏に隠されてるものは提示されない。映画的な演出も時間が戻るくらいで、後は一切ない。スローモーションだとか超絶なクレーンショットなどもない。しかも長回しを効果的に使ってるから、緊張感が常に持続している。

徹底的に説明がないジョージ・クルーニーはこの難しい役どころを抑えた演技で見事に演じ切った。他の役者も同様。この手の映画は絶対にハリウッドでは製作出来ないが、ジョージ・クルーニーとソダーバーグの力でここまでの物が出来上がったのだろう。

従来のポップコーンムービーばかり観ていると、ついていけない感はあると思うが、それに飽きてる観客は絶対必見の作品。まさに骨太です。ラストも嫌な後味が残りますよ。あういぇ。