映画史上最高の失敗作『ハワード・ザ・ダック』が遂にDVD化!

「子供の頃に初めて喰った中華そばの味が忘れられない、新潟もたくさんラーメン屋出来たし、いろんな種類の店もあるけど、あの当時のままのシンプルな中華そばが喰いたい。今、喰いなおしたら、そうでもないかもしれないけど、思い出も込みだから、あれは越えられない」

昨日親父が酒を飲みながらこんなことを言った。確かにそうだ。子供の頃に体験したなにがしというのはいまだに記憶の底にへばりついてたりするのだ。

ぼくは物心付くか付かないかの時に母の影響でジャッキー・チェンばかり観ていた。初めて見た映画は『ファースト・ミッション』。そのせいで『ドラゴンボール』や『聖闘士星矢』は“リアル”ではなく、ホントのホントに絵空事でちっとも興味が持てなかった。ぼくにとって“映画”は子供の特撮やアニメと同じだった。なので子供の頃はビデオに録画した金曜ロードショーをルドヴィコ療法のように見続けた。

その時にお気に入りだった映画がある。それがハワード・ザ・ダック/暗黒魔王の陰謀』だ。

何度もTVで放映されているので、知ってる人も多いだろう。他の人にとっては『グレムリン』や『ミュータント・タートルズ』と同じ扱いで、ぼくはこの口の悪いアヒルをずーっと何度も何度も観ていたのだ。

ハワード・ザ・ダック』はあのジョージ・ルーカスが制作し、ティム・ロビンスも出演している超大作で、なんと30億円以上かけて作られている。

ハワード・ザ・ダック』は子供心にワクワクする映像の塊だった。


全盛期のリー・トンプソンがこんな姿で出て来たり







こんなカットがあったり






こんなドデカイビーム砲を構えてみたり






こんなでっかいエイリアンが出てたり






ギター弾いて暴れたりと、


今こうやって画像を見ても、「やべぇ!また観たい!」と素直に思ってしまった。やっぱり好きな映画なんだなぁということだ。

ホントに好きで繰り返しよく観て、今でもあの主題歌をてきとーな英語で口ずさめるほどなのだが、大人になってから衝撃の事実を知る。なんと『ハワード・ザ・ダック』は映画史に残る大失敗作だったのである。

公開当時にはコケたものの、時を経て名作と呼ばれるパターンもいくつかある。それでも『ハワード・ザ・ダック』は真の失敗作というか、莫大な制作費をかけて大コケしたうえに中身もヘナチョコという映画の先駆け的な存在として名高く。『ハドソン・ホーク』や『スーパーマリオ/魔界帝国の女神』『カットスロート・アイランド』『ショーガール』『バトルフィールド・アース』にしっかり先輩風を吹かせている。

実際ウィキペディアでも

世間的にかなり不評であり、IMDbのワースト100作品に含まれている。最低の映画を選ぶゴールデンラズベリー賞ラジー賞)でも最低作品賞・最低脚本賞・最低視覚効果賞・最低新人俳優賞の4部門を受賞している。出演者でも、ティム・ロビンスなどは試写の最中に「嫌な汗が出てきた」という程だった。

と紹介されるほどで、一部熱狂的なファンが居るという書き方すらされてない。

ネットでの評判を集めてみると

脚本のストーリーやセリフ、ちゃちい特撮、ぬいぐるみ丸出しのダックの作り、明らかにダメな演技を「OKテイク」として使ってたりと、ここまで全てヒド過ぎる映画は珍しい!!

例えばグレムリンみたいにさ、可愛ければいいんだけども、この主人公、可愛くない、むしろキモい(笑)。しかもなんかムカつく。

ここまで突っ込みどころ満更な映画ですが、このバカバカしさ、偉大なるC級映画です失笑、苦笑、ばか笑いする作品です

全米NO.1を謳い文句で宣伝した。深夜放送のCNNでは「クソ映画で人気が無かった」と説明していた事を覚えていたので配給会社の宣伝には呆れた。

騒ぐアヒルの記憶しかない。

いきなりの強引過ぎる地球に吸い込まれるシーン、その後にアッサリと理由が出てきてそんなもんかぃ!!と激しく突っ込んでしまった。アヒルのキャラに見ててちょっとイライラ

「製作総指揮ジョージ・ルーカス」を信じて映画館で見た俺はケツの青い少年だったよ。

う〜ん、再度観てみたけどやっぱり面白くない。

可愛さのかけらもない主人公をどう見ろと?

ハワードって今では屋上の遊園地だとか、商店街のパレードなんかでひょこり居そうな気がしませんか?

こういうしょーもないモノはテレビ画面で吹替え版を観るのに限る。アヒルが気持ち悪いが、そこがいい。

アメリカで酷評されるのも無理なし!

こういうの笑えな〜い。アメリカ人の旦那も苦笑いする馬鹿らしい作品。

幼稚でエゲツイ、誰にも薦められん。

所詮子供の映画って印象は拭えなかった

と、ここまで叩かれるか!ってくらいボロカスである。そりゃラジー賞もとるわな。さらにmixiのコミュニティでは作ってから1300日経ってるのに参加人数が104人という少なさ。『ハワード・ザ・ダック』ファンってホントに一部なのな!

そんな失敗作を代表する『ハワード・ザ・ダック』が遂にDVD化され、10月7日に発売される。

所ジョージ版も収録!『ハワード・ザ・ダック 暗黒魔王の陰謀』が初DVD化、豪華特典付き
http://www.cdjournal.com/main/news/george-walton-lucas-jr/25296

なんとコレクターズエディションには当時のパンフレットが復刻されて入ってたりするぞ!こんなナイスな仕事をしたのは……そうです!あのキングレコードさんです!ひゃっほー!

キングレコードは最近までthe pillowsを支え、『ガルシアの首』や『片腕ドラゴン』も特別仕様で発売し、ショウ・ブラザースのDVDをこれでもかと発売したりする会社で。キングレコードが出すコレクターズ・エディションはホントにファンの事を理解してるような素晴らしい商品が多く、ぼくもその作りの良さでファンになってしまったので、『ハワード・ザ・ダック』も1-Clickで購入してしまった。だって、ちゃんと買わないと、こういういい商品が出なくなっちゃうじゃん!

ただ、好きと今までいろんなところで公言し、DVDまで買ったはいいけど、不安な要素はいくつかある。

まず、失敗作というのを知ってから観なくなってしまったこと。

さらにTV用に編集されてるバージョンを観てたこと。

最後に思い出の中でかなり美化されてる可能性も否定出来ないこと。

子供の時はホントに繰り返し観ていたのだが、それは子供だから楽しめたんであって、今は「くだらねぇや!」って思うかもしれない。最後に観てから絶対に10年以上の時が経過しているから、脳内で別な映画に変換されてるかもしれないし、TVバージョンを繰り返し観ていたので、20分もプラスされた110分の上映時間でダレてしまうかもしれない。

それこそ子供の時に観て感動した思い出は思い出のままで取っておいた方がいいとも思うが……確かに酷評するのは分かる、子供向けのくだらない作品かもしれない、だが、昨今の邦画を観てくれ、どうだ?『ハワード・ザ・ダック』の方が何億倍もマシじゃないか?

ハワード・ザ・ダック』は今の時代だからこそ、ホントに再評価されるべき映画だ(あとスピルバーグの『1941』も)。頼むされてくれ、ここまで来たら、ホントに後に引けないので、届いたらマジで写真を載せて、ちゃんとしたDVD自体のレビューも書こうと思うのであった。あういぇ。



【追記】『ハワード・ザ・ダック』のレビュー書きました。

やっぱりハワードが好き! - くりごはんが嫌い