ひたすら車が走るだけの映画『バニシング・ポイント』

なんか風邪気味な感じが…『バニシング・ポイント』鑑賞。最近『デス・プルーフ』やら『デビルズ・リジェクト』の元ネタとして、名前が出てくるようになり、とても、とても観たかった作品だ。アメリカン・ニューシネマの括りらしいが、全然知らなかったんですねぇ。

まぁ観たんだけども…最高!!!最高にかっこよすぎ!!!

こんなかっこいい映画があったとは!!!やばい!『バニシング・ポイント』はマジで最高だぜ!
なんというか、一言でいうならば『イージー・ライダー』の車版って感じで、ホントにあれを車に置き換えただけ。ベトナム帰りでヤク中の元バイクレーサーがひたすらカリフォルニアを目指して車で走るだけの映画。ぶっちゃけ、マリファナとロックとおっぱいと車とバイクしか出て来ない(いや、それが最高なんだが)もちろん素晴しいスタントアクションやら、劇中でかかるロックでテンションが上がり、1時間38分の間、ほぼセリフもなく、ひたすら車がアメリカの広大な大地をひた走る。普通の映画っつーのはドラマがあって、それを盛り上げるためにカーチェイスやらなんやらがあったりして、『TAXI』とか『ミニミニ大作戦』も見せ場の1つとして車が出て来るんだけど、『バニシング・ポイント』はドラマもなく、ただひたすら車が走るだけという極めて潔い演出が好きだ。

ただ、車で走るだけの映画だけど、やっぱりそこにあるのはカウンターカルチャーだよね。『イージー・ライダー』にもあったし、『ウッドストック』もそうだけど、この時代特有のハッパだとか、セックスとかロックンロールとか暴力とかそういうもんが随所にある。衝撃のラストもそうだけど、当時、警官は体制側の象徴で、だから『勝手にしやがれ』の主人公にみんな憧れたんだが、絶対にこの時代の映画は警官が悪者に描かれるんだよね、そういう事が当たり前だった時代。

この時代のアメリカ映画はハッピーエンドになる事を避けてた傾向にあったが、実際、現実のカウンターカルチャーは何も変えなかった。今では廃れてるし、映画の中でしか観る事が出来ない。既存の文化に対して反発してみても、それは何かを変えるという事にはならなかった。アメリカンニューシネマの中で体制に逆らってる人間はヒーローになるが、それと同時に挫折も虚無感も感じ、最終的に主人公は救われない。私はこういう現実的な映画が非常に好きなのだが、『バニシング・ポイント』もしっかりとそれに法った演出をしている。

イージー・ライダー』の方が有名だと思うが、非常にかっこいい映画です。おすすめ!あういぇ!

追記、なんとブルーレイでも発売決定!