脚本だけが悪い『黒帯』

11時まで寝て、ラーメンを喰らい、12時45分より『黒帯』鑑賞。

とても素晴しいし、こういう映画を待ってた!と言いたいが惜しい!という作品。

素晴しい点はいくつもある。いきなり千葉真一の息吹のようなシーンから始まるが、まさにそこから空手の魅力が90分にぎっちり詰まっている。かつてクンフーを広めるために映画に出たブルース・リーのように本物の空手家をスクリーンに登場させ。しっかりとワンテイクで、さらに全身を映して、空手の技を細かく演出したのは素晴しい。今の格闘映画が妙なバストアップと細かいカット割りで台無しにしてる事を考えると、ブルース・リーが『燃えよドラゴン』で魅せた衝撃が蘇ってきそうな感じだ。しかも主人公の人がすごくジミー・ウォングに似てるし、顔もいい人を選んでいる。大日本帝国と言われた軍国主義の日本を舞台に、流派は同じだが思想が違う2人の生き様を描いた作品だが、その時代背景やら、空手のシーンやらで、個人的に『ドラゴン怒りの鉄拳』を思い出してしまった。

1番重要な試合シーンの撮影がヘンチクリンだったり、クライマックスの長回しがガキのケンカにしか見えないのはご愛嬌だとしても、ヘンに音楽は鳴らないし、無駄なセリフも無いし、格闘家としての姿勢や哲学的な要素まであり、かなり盛り上がる。

ただね、この『黒帯』という映画は…

脚本が壊滅的に悪い!というか悪過ぎる!!!!ぶっちゃけ、小生意気なガキにムカついたりしたし(これはオレだけだろう)手を出すな!と教えられてきた主人公が手を出したり出さなかったりでよく分からんし、それぞれのキャラが何考えてるか分からんし、ビックリするくらい都合が良く話が進むし、特に後半が酷過ぎるんですねぇ、ホントに前半は素晴し過ぎるくらいいいのに、後半で急転直下に悪くなる。演出はホントに素晴しいんですよ、セットもロケハンも映像もホントに素晴しい。ただ、脚本がホントに悪い。なんだろう、集中力が途切れたのか?みたいな感じにがたがたになるんですねぇ、だって、おかしいもん。偶然が偶然を呼びすぎてるのもさることながら、マンガよりも酷くなるの、特にあのくだりだよ、見た人なら分かるあのくだり。ラスト付近の。畑みたいなところの…

あー!!!!もどかしいからネタバレツッコミするぜ!マウスでドラッグよろー。

主人公が誘拐したとかなんとかいうところがさあるわけなんだが、なんて軍隊よりも先にあの売春を斡旋してるところが主人公の居場所を嗅ぎ付けたんだ?あそこは絶対に要らないはずなんだよ、その後の展開になんの影響もない。なんであんなシーンを入れたか意味がまったくわからん。さらにあの軍隊長みたいなヤツもなんなんだ?だいたい、大日本帝国とか言われた軍国主義の日本がよぉ、いきなりあの主人公を許してるところがわからん!納得いかんぞ!
ネタバレツッコミ終了

誰だ!こんな酷い本を書いたのは!と思ってたら、あいつですよ、あの才能の欠片もないあいつです…はぁ…、、、、、こいつにはいつもがっかりさせられるんですが、またですか…『らせん』『コールドスリープ』『アナザへブン』と、駄作ばっかり撮り続けてるヤツですよ。『ドラゴンヘッド』という映画もありましたが、あまりに妹がボロカスにけなしすぎてたので観てません。『ドラゴンヘッド』の原作は大好きなんですがね。あえて観てみようかな。

まぁそれにしても「黒とは染まらず自らの信念を貫く色である」とかいう名言が飛び出したからよしとしよう。あういぇ。