銀杏BOYZの『光』と『あいどんわなだい』

HDDに撮ってて、見てなかったニュース23鑑賞。銀杏BOYZが出演したヤツだ。番組の最後の最後に登場して、12分ある新曲を披露していた。もちろん尺に収まるわけなく、途中でカットされてたが、すごく感動した。胸が震えた。久しぶりに音楽を聞いて、泣きそうになってしまった。銀杏BOYZを聞くと、音楽を聞いてて、細部があーだこーだだとか、音質がどうのこうのとか、言うのがすごくバカらしくなる。それは私みたいな人間の事を指すんだけど、音楽ってかっこいいか、すごいかだから基本的に。

昔、Mr.ChildrenがMステに出た際、ウルフルズの『ええねん』を評して、

「いやぁいいなぁっと思って、これ聞いてるとオレ何グダグダ歌ってんだろうって(笑)自分の歌ってる内容がね、嫌になってきます、でもとっても素敵で僕は大好きですね。」

と言ってた。まさにそれなんだ。峯田和伸というか、他のメンバーもそうなのだけれど、人間そのものが音楽というか、ロックというか、すさまじくかっこいいんだ。

新曲の『光』は吉田拓郎のようなフォーク調の曲だが、「君の首を締めていたよ 君は「殺して」と言う 君はいつかの僕だったんだ」という衝撃的なフレーズがあって、オブラートに包まない生々しい歌詞は健在だ。やはり銀杏BOYZはかっこいい。

んで、その前に出した『あいどんわなだい』をyoutubeで聞いたんだけど、これがめちゃくちゃかっこよくて早くCD借りてこなきゃと思った。

仕事から帰ってきて、メディアパワーに行き、銀杏BOYZ『あいどんわなだい』ユニコーントリビュート音速ラインの新曲をレンタル。帰って『あいどんわなだい』を聞く。すげぇかっこいい。かっこよすぎる。銀杏BOYZって嫌いって人も多いし、目を背けたくなったり聞きたくない事をぶつけてきたりするけど、そのどうしようもなさがかっこいいっていうか、ウソ無く歌ってる気がする。誰とは言わないけど、ヘタなラブソングが虚構なもんに聞こえるんだよね。

今回の『あいどんわなだい』もすごくシンプルで素直なラブソングだ。「純情可憐な君を気持ち良くしたい 純情可憐な君とweezer聴きたい 純情可憐な君と杏仁豆腐食べたい」とか、普通だったら「君に会いたい」とか「キレイな星を見せたい」とか歌うんだけど、銀杏BOYZはそうは歌わない。直球にリアルに、好きな娘としたい事を叫ぶ。こういう部分に私はとても共感を覚える。特に銀杏BOYZはセックスの事について包み隠さずに歌うけど、『あいどんわなだい』でも「おしべとめしべがおっぺけぺー」「ジーザス! YES! 骨になるまでキスしたい」とか、普通の人は恥ずかしくて歌えない様な部分も歌う。そういうのが私みたいな人にはかっこいいんだよなぁ。でも、そっちの方がホントだもん。AVとか激しいラブシーンの映画とかなんてウソだもん。セックスって冷静に考えるとすげぇヘンだもん。客観的に見るとアホみたいじゃん。

一般的に女の人が恋愛体質だっていうけど、峯田和伸もそうなのかもしれない。ここまで恋愛の事を本気で歌えるアーティストって居ないし、ここまで大っぴらに言える事もすごい。

あいかわらず音は歪みまくって気持ち悪いし、妙にバカでかい音で収録されてるし、いい音で録音しようとしてるアーティストとは真逆に作ってるけど、オレみたいな人間にはかっこいいんだな。ラストにビートルズのパロディをしてるところもおもしろいし、とにかく「あいどんわなだい」はとてつもない傑作ですよ。12時まで寝て、銀杏BOYZを聴きまくる。『あいどんわなだい』があまりに良い曲すぎるために、また銀杏BOYZブームが到来する。んで、前に買おうと思ってた、ドキュメンタリー『僕たちは世界を変えることができない』を購入。

15時頃『僕たちは世界を変えることができない』鑑賞。すごくいいタイトルだ。世界を変えることは出来ないけど、音楽を奏でる事は出来るし、何かを突きつけたりする事は出来る。このドキュメンタリーはゴイステ解散から峯田の映画出演、ライブ、アルバムレコーディング、発売までを追ったものだ。発売に先駆けて、映画館で上映もされたほどの力作である。

まぁドキュメンタリーとしては完成度も低いし、かなりイビツな出来だし、わけわかんないもんが延々映ったりするけど、2時間半、まったく長さを感じさせない。ここが映画と違う部分でドキュメンタリーのおもしろさになるんだよなぁ。何よりも銀杏BOYZがどのように音楽的な方向性を変えていったかとか、迫力のライブ映像とかが素晴しい。これ編集した人、ホントに銀杏BOYZが好きで好きでしょうがないんだよね。そんな感じの映像だった。第三者がどうのこうのじゃない。銀杏BOYZが好きで好きで、でもちゃんと他の人にも見せる様な作品にしようと、そんな感じの温かさが伝わって来る。私は青春パンクが流行った時、結構聴いてたけど、似てるバンドがドカドカ出てきて飽きた。でも銀杏BOYZサンボマスターだけは未だに聴き続けてられる。その理由がこのドキュメンタリーを観て、ちょっと分かった気がした。私は音楽性がどうのこうのというよりもこの峯田和伸という男が好きなんだな。心から尊敬してるんだと思うよ。